【ライブレポート】Fear, and Loathing in Las Vegas、でんぱ組.incとの2マンで「想像を超えていく感覚」
Fear, and Loathing in Las Vegasが12月9日、Zepp Toykoで<“PHASE 2”Release Tour Final Series>の東京公演を開催した。9月4日の新木場STUDIO COASTを皮切りにスタートした<“PHASE 2”Release Tour>は11月24日の神戸VARIT.まで全35公演を駆け抜けるロングツアーだった。そして同ツアーのファイナル公演が“Final Series”となる。これは12月6日のZepp Sapporoから12月13日のZepp Fukuokaまで、札幌、東京、名古屋、福岡の4つのZepp会場を廻るもの。その2公演目となるZepp Toyko公演をレポートしたい。
◆Fear, and Loathing in Las Vegas × でんぱ組.inc 画像
3rdアルバム『PHASE 2』はタイトル通り、Fear, and Loathing in Las Vegasの第2章突入を意味するアルバムでもある。ベーシストのメンバーチェンジを経て制作された新体制によるサウンドは彼らならではの攻撃的なバンド感を核に、よりプログレッシヴに、よりバラエティに富んだ仕上がりだ。同アルバムを掲げて行われた<“PHASE 2”Release Tour>は“Final Series”を含めて全39公演の大きな規模で開催されることとなったわけだが、その<Final Series>のゲストとしてアナウンスされたのが、Zepp SapporoのMUCC、Zepp Nagoyaのキュウソネコカミ、そしてZepp TokyoおよびZepp Fukuokaのでんぱ組.incだ。この異色とも言える対バンライブの東京公演はまず、でんぱ組.incのステージからスタートした。
「でんぱ組.inc、始まるよー!」という掛け声ともにスタートしたステージはドラム、ベース、ギターからなる楽器陣が徐々に演奏を盛り上げる3ピース生バンド編成によるもの。フィジカルでクオリティの高いセッションがFear, and Loathing in Las Vegasファンをも高揚させる。その躍動的なサウンドに乗って6人のメンバーが登場するとオープニングナンバーの「ちゅるりちゅるりら」へ、会場がのっけから“Oiコール”に包まれた。続く「Future Diver」ではクラウドサーフが続出、高速ビートや展開の激しいアレンジはステージ上のフォーメーションのキレもスピード感も壮観だ。中盤では「イツカハルカカナタ」「キラキラチューン」などの聴かせるナンバーで客席に光るイロトリドリのサイリュームが揺れた。「めっちゃアウェイだと思ってきたんですけど」と始まったMCではメンバーの最上もががFear, and Loathing in Las Vegasへの想いを語る場面も。
「光栄どころか、ちょっと恐れ多いんですよ。というのは、(Fear, and Loathing in Las Vegas)をめちゃめちゃ聴かせていただいておりまして。……でも、好きなアーティストさんとライブをするっていうのがホントにイヤで(笑)。だって、緊張するじゃないですか。私たちが全然フェスとかに出ていない頃から聴いていたから。ラスベガスさんと一緒にライブが出来ると思ってなかったので、すっごい嬉しいです!」──最上もが
その後に寸劇を挟んで披露された「でんでんぱっしょん」では新体操のリボンを用いたダンス、ラストには最新シングル「でんぱーりーナイト」を披露して全8曲のステージを終了した。
Fear, and Loathing in Las Vegasがステージに登場したのは、でんぱ組.incの熱が会場に残るなかでのこと。再び暗転した場内に輝くレーザーがバンドロゴを描き、バックドロップのバンドロゴと一体化するという演出がドラマティックだ。と、SEに乗って姿を現したメンバーに場内が割れんばかりの声援でそれを迎える。1曲目は「Are You Ready to Blast Off?」だった。「Zepp Tokyo!始めるぞ!」「今日を最高の日にしようぜ!」という短いMCに続けて、「Rave-up Tonight」へ。アルバム『PHASE 2』同様の流れだが、オートチューンを駆使したSoとスクリーム担当のMinamiからなる2人のボーカル陣に加え、ギタリストのSxunもボーカルを取るアレンジや、ベーシストKeiのスラップなど、やはりイントロからして新鮮に響く。
「舞台袖からでんぱ組.incさんのときの客席を観ていたんですけど、スッゲェみんな楽しそうにしていて、めちゃくちゃ早くライブしたかったです。さっき客席にあった光る棒みたいなのはなくなっちゃったんですか? せっかく今日、オレらとでんぱ組.incっていう組み合わせでやっているわけやから、そういうのアリやと思うねん。お互いを思いやる気持ちとか、全員が全員で楽しむ気持ちを持てたら、何をやっても大丈夫だと思うから。タオルでも光る棒でも思いっきり回してください」──Sxun
そして演奏された曲は「Swing It!!」。客席にはサイリュームとタオルが溢れ、この日この場所だからこその貴重な光景が広がった。「Thunder clap」のインターではMinamiがショルダーキーボードを抱えて、Sxunのギターソロにつなげる。また、「Counterattack by the Sesame Sized Bodies」ではカオティックな楽曲のドラマをTomonoriのドラムが築き、エンディングではKeiがタッピングを披露するなど、各プレイヤーの見どころにも事欠かない。
贅肉を削ぎ落としたシャープなキレ味、6人によるダイナミックなサウンドはライブならではの高揚感をたっぷり満喫させてくれる。音源では一聴してポップに感じる楽曲も、目まぐるしく展開する楽曲アレンジや小節ごとにガラリと色を変える各パートのアンサンブルがステージ上からリアルに伝わるようだ。とりわけ、中盤に披露された4つ打ちとメタリックなギターリフが印象的な新曲「Let Me Hear」や、「Rain Inside Your Eyes」は圧巻だった。特に後者は、アコースティックギターが使用された音源に対して、ライブではTaikiとSxunのクリーンアルペジオがしっとりとした世界観を築くアプローチが秀逸。大人びたバラードがあまりにも彼らの新境地を感じさせる。
「今回の<Final Series>も含めてツアー全体がそうなんですけど、いろんなアーティストさんに出演してもらっています。同じエンターテイメントというか、みんなを楽しませるという意味ではでんぱ組.incのみなさんも同じだと思うんですよ。やったことがないし、やってみたら面白いんちゃうかなと。こういう人とやるんや?っていう驚きもあったと思う。オレ、ステージ袖から観てて思ったんですけど、アリやと思うんです。オレらもどういう感じになるんかなと思ったら、ビックリするくらい盛り上がってるやんけっていう驚きがあったし、自分の想像を超えていく感覚ってむちゃくちゃ気持ちいいと思うんですよ。みんなが初めてラスベガスを観たときとか、オレらが初めてライブをやったときとか、そういう一回目の気持ちを呼び覚ますために次はこの曲をやりたいと思います」──Sxun
SxunのMCに続いて演奏されたナンバーは「Just Awake」だった。彼らの2ndシングルが披露されたこと勢いを増した後半戦はまさに怒濤の様相。「アルバム『PHASE 2』をリリースして、全国をガッツリと廻ってきたわけなんですが、自分たちとしては“初心を忘れずに”というテーマを決めていたんです」というMCに続いては、「Chase the Light」「Love at First Sight」といったお馴染みのナンバーを披露。会場中に鳴り響いたシンガロングが激しくも温かい彼ら特有の一体感を象徴するかのように痛快だ。ステージはMinamiが客席内へ飛び込んだラストナンバーの「Stay as Who You Are」まで一気に駆け抜けた。
最後のMCで「アンコールはやらない。みんなが初っ端からガンガン来てくれてたのもわかってるし、そのままの勢いで、オレらも今日この日しかできないライブをやりきるからさ」と宣言した通り、全16曲のステージは全身全霊を傾けているといって過言でないほどに、凄まじく高密度なプレイの応酬。アグレッシヴにジャンルを越境しながら、ロックに欠かせぬオリジナリティの高いグルーヴが全体を支配していた。最新アルバム『PHASE 2』からのレパートリーを中心に“第二章”を体現した彼らだが、それを誇るかのようにステージ後方に掲げられたトレードマークのバックドロップが、やけに眩しかった。
■<“PHASE 2”Release Tour Final Series>
2014.12.9@Zepp Tokyoセットリスト
【でんぱ組.inc】
01.ちゅるりちゅるりら
02.Future Diver
03.バリ3共和国
04.VANDALISM
05.イツカハルカカナタ
06.キラキラチューン
07.でんでんぱっしょん
08.でんぱーりーナイト
【Fear, and Loathing in Las Vegas】
01.Are You Ready to Blast Off?
02.Rave-up Tonight
03.Scream Hard as You Can
04.Swing It!!
05.Thunderclap
06.Counterattack by the Sesame Sized Bodies
07.Let Me Hear
08.Ley-Line
09.Rain Inside Your Eyes
10.Just Awake
11.Step of Terror
12.Flutter of Cherry Blossom
13.Chase the Light!
14.Love at First Sight
15.Virtue and Vice
16.Stay as Who You Are
■初回生産限定シングル「Let Me Hear」
\1,200 + tax VPCC-82322
01.Let Me Hear
02.Sparkling Sky Laser
03.Abyss
※ジャケットステッカー封入
※次作シングルとの連動特典あり
◆Fear, and Loathing in Las Vegas オフィシャルサイト
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