【レビュー】ONE OK ROCK、映像作品に国も音楽性の壁も存在しない感動のうねり

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2014年5月に劇場公開されたONE OK ROCKの初のドキュメンタリー映画『FOOL COOL ROCK! ONE OK ROCK DOCUMENTARY FILM』が、半年を経てついにDVD&Blu-ray化。日本のバンドをテーマとした音楽ドキュメンタリーの新たな傑作として、コアなファンの枠を超えた感動のうねりを広げている。

◆「Decision (featured in Fool Cool Rock)」動画

舞台となるのは、2013年10月から1か月半にわたって行われた、大規模なヨーロッパ・ツアーとアジア・ツアーだ。正真正銘、海外での熱狂的な歓迎ぶりを見るだけでも圧倒的だが、日本でも海外でもまったく変わらないパワフルな演奏のたくましさと、ライブ映画としては最高レベルの音質の良さは驚異的のひとこと。映像監督は、80年代から日本のミュージックビデオ制作の草分けとして活動する第一人者・中野裕之。なぜONE OK ROCKが日本を、そして海外のオーディエンスを熱狂させるのか。その答えがこの映像の中にある。

ファースト・シーンは、パリのライブハウス。いきなりの機材トラブルにも負けず、バンドの鬼気迫るテンションの高さと、オーディエンスの熱狂的なリアクションをワンフレームに収めるカメラワークが素晴らしい。そのままボン(ドイツ)、ロンドン(イギリス)、を回って再びパリに戻り、アムステルダム(オランダ)に至るヨーロッパ・ツアーの模様を、各地の観光名所を押さえながらスピーディーに編集した、ロード・ムーヴィーとしての見ごたえも充分。

楽屋裏ではフランス語、ドイツ語のMCを一生懸命練習したり、いじられ役のTomoyaを中心に楽しくはしゃぐ4人の姿や、現地でのインタビューなど、ファンにはうれしい素顔が見える映像もたっぷり。そして何と言っても驚くのは、どこへ行っても会場を取り囲むように列を作っている、ヨーロッパのファンの熱狂的な姿だ。ツアーバスの中からその光景を見て、“これ、俺らのファン? ウソでしょ?”とマジリアクションするメンバーの姿が何とも微笑ましい。ライブでは日本語の歌にも、しっかりとコール&レスポンスを返す。そこには国も音楽性の壁も何も存在していない。

フィルムの後半は、韓国のソウルから始まるアジア・ツアー。続いて香港、バンコク(タイ)、クアラルンプール(マレーシア)、シンガポール、ジャカルタ(インドネシア)、そしてタイペイ(台湾)へと、革ジャンを着込んでいたヨーロッパとはうって変わって、Tシャツ短パンのラフな姿で旅は続く。クアラルンプールでは会場の不備で危うくコンサート中止の瀬戸際まで追い込まれ、ジャカルタでは野外の会場を満員にし、タイペイではToruが誕生日をみんなに祝われる。Taka以外のメンバーがツアー用に作ったインスト曲を披露する時の、リハーサルでの4人のシリアスな意見交換の様子も印象的だ。

楽屋裏では笑顔が絶えない4人だが、音を奏でる時の表情は一変する。悲喜こもごも、様々なエピソードが登場する中でバンドはたくましく前進してゆく。音楽映画の枠を超えた、ドキュメンタリー映画の醍醐味がここにある。

ツアーの最終地となったタイペイでのクライマックス、オーディエンスが「Wherever you are」を全員で大合唱するシーンを見て、心が動かない音楽ファンはいないだろう。そしてメンバー自身も、ヨーロッパとアジアで出会った様々な人たちの姿を忘れないだろう。その思いはきっと、次の楽曲に反映されるに違いない。真の意味でのワールドワイドなロックバンドに向けて、ONE OK ROCKの新たな第一歩はこの作品から始まる。

取材・文◎宮本英夫




DVD&Blu-ray
『FOOL COOL ROCK! ONE OK ROCK DOCUMENTARY FILM』
2014年11月12日発売
【DVD】
AZBS-1021 ¥3,800(tax out)
【Blu-ray】
AZXS-1008 ¥4,800(tax out)

◆ONE OK ROCK オフィシャルサイト
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