【倉木麻衣×BARKS連載対談】第七回(2009~2010年)「何か変化をしたい年だったんです」
■「わたしの、しらない、わたし。」がいるよという時期だったと思うので
■その時、伝えたい思いを歌にしてきたという感じです
倉木:そうですね。たぶんライブをやらなくなると、スイッチが切れちゃった人みたいになっちゃうのかな(笑)。一時期、ツアーをやりきって少しお休みをいただいた時に、燃え尽きてしまったんですよ。無気力で何もやる気がなくなってしまった時があったので。発信し続けることが自分には合ってるのかな?と思いましたね。
烏丸:30年、40年やっているアーティストに話を聞くと、たとえば新曲と昔の曲の割合いだとか、自分たちがやりたいこととお客さんが求めてるもののギャップをどう埋めようか?という悩みがけっこう多いんですよ。いろんな人がいろんなものを求める中で、自分のどの側面を出してあげればいいのか?みたいな。そういう難しさを感じたことはないですか。
倉木:いえ、そういうことは……私はライブで必ずアンケート用紙を配っていて、どの曲が気に入りましたか?とか、全部書いていただく用紙を置いてたんですね。今はネットでやってるんですけど。そうすると暗い中でみなさん書いてくれるんですよ、裏面にまでびっしりと。それを全部読んで、統計をとって、この曲はライブでは絶対やりたい曲とか、そういうものを大事にしながらやっていけてるので。そのへんは、あまり悩みは感じないです。
烏丸:そうか、それでお客さんの声を自然に取り入れられている。
倉木:そうですね。そこに“今回はこういうテーマを掲げています”というコンセプトを決めて、自分が発信したいメッセージ性というものをライブを通して、セットリストや演出を考えていくんです。
烏丸:きわめて健康的な感じですね。スタッフから見て大変なところはないですか? もちろんライブをやること自体大変なことですけども。
倉木:それが、私も含めてスタッフの方もすごく大変なんですけど、一緒に楽しんでもらえてるのがすごくうれしいですし、同じ目線で頑張れるチームなんですね。
西室:それも幕張2DAYSやハロウィン・ライブをやったことの積み重ねで、こういう感じのチームワークが培われてきたのかもしれないです。当時は目の前のライブをやることに精一杯で、本当に2DAYSできるんだろうか?とか、演出をどうする、衣装をどうするとか、細かいことが大変だったりするんですけど。でも倉木の中で“こういうものをやりたい”というイメージがあればあるほど、スタッフとしてはそこに近づけたい気持ちになるので。お互いリスペクトしながらモノを作っていくという感覚なのかなと思います。
烏丸:僕、ふと思ったんですけど、こうしてスタッフの方も隣に座っていただいて普通にインタビューするって、なかなかないですよ。これは一体何だろう?と思うんですけども。
倉木:うふふ(笑)。
烏丸:それがチームワーク、信頼関係ということなんだろうなと思うんですけどね。
西室:我々は運命共同体なので(笑)。
倉木:倉木麻衣というアーティストをスタッフの方も一緒に作ってくださって、ファンのみんなも一緒に支えて、今まで作ってきてもらった倉木麻衣なので。人と人とのつながりが一番大事なんです。
西室:実はこのひとつ前の『touch Me!』のツアーから今に至るまで、ダンサーやバンドのメンバーが基本的には変わってないんですね。17歳でスタートした時には、キャリアの長いミュージシャンの中に本人が入っていくという編成でやってきたのが、若い世代にガラッと一新して、倉木が引っ張っていくチームに変わっていったのが、ちょうど10周年の手前ぐらいだったんですね。『touch Me!』は曲調もメッセージもより倉木らしいと言いますか、そういうものに変わってきたタイミングで、やりたいことへのモチベーションもどんどん上がって来ている中で、チームのみんなが倉木についていくという図式になっていって。そこから長い間メンバーが変わらずに来れたというのは、スケジュールの管理は大変だったと思うんですけど、そこを実現することが、お客さんも求めていることだったりするので。そこが明確になっていたので、やることがたとえ大変でもモチベーションは上がりますし、やりやすいということはあります。こう見えてリーダーっぽいところはあるんですよ。
烏丸:こう見えて(笑)。
西室:ふわっとした感じに見えますけども(笑)。でもアーティストとしての個性を確立したのが、この時期だったと思います。大変なことを積み重ねれば積み重ねるほど、本人の中で確固たるものが出てきて、今に至るという感じがします。
倉木:その頃の気持ちは、『touch Me!』というアルバムの曲によく出ていると思います。特に「touch Me!」という曲は、もっと自分のリアルな感情をぶつけられるんじゃないか?と思って、歌詞を何パターンも書いたんですよ。今までの自分を破るという作業にチャレンジしたので、ものすごく大変で、“これで行こう”というものを生み出すまでにすごく労力を使いました。ある意味すごく不安を抱えていたので、これを出すことによって、今までついてきてくれたファンの方も“どうなってしまうんだろう?”と思うかもしれないですし。でもここで自分の信じたものをリリースしてみて、手応えを感じられた時に、自分自身も変わっていけたというか、さらに一歩前に進めたということで、自分の転機になった1曲であり、アルバムでもあるので。私の中では『touch Me!』は大きいですね。
烏丸:10年近くアーティスト活動をしていると、みなさんそういう壁に当たるものなんですかね。
倉木:どうなんでしょうね? でも私にとっては、何か変化をしたい年だったんですよ。自分の中に“まだまだ無限のものを発信できるぞ”という思いが、すごく強かった時期でもあったかなと思います。ほかにもKOSE化粧品のコマーシャルをやらせていただいたり、まだまだ知らない倉木麻衣が……まさに「わたしの、しらない、わたし。」がいるよという時期だったと思うので。まさにその時、伝えたい思いを歌にしてきたという感じです。
文◎宮本英夫
◆ ◆ ◆
次回の連載対談は、倉木麻衣の2011年~2012年をお届けします。
■ベストアルバム『MAI KURAKI BEST 151A -LOVE & HOPE-』
2014年11月12日(水)発売
【初回盤A:2CD+DVD】VNCM-9024~9025 4,200(tax in)/3,889(tax out)
特典:DVD「LOVE -visual collection-」
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※全形態共通特典:倉木麻衣単独ライブ300回アニバーサリーライブの公開リハーサルへ150組300名様ご招待! 応募用シリアルナンバー封入!!
■<15th Anniversary Mai Kuraki Live Project 2014 BEST “一期一会” ~無敵なハート~>
09月06日(土) 三郷市文化会館(埼玉)
09月13日(土) 磐田市民文化会館(静岡)
09月20日(土) 久喜総合文化会館 大ホール(埼玉)
09月23日(祝・火) 桐生市市民文化会館 シルクホール(群馬)
09月28日(日) 東京エレクトロンホール宮城(宮城)
10月04日(土) 福岡国際会議場 メインホール(福岡)
10月10日(金) 愛知県芸術劇場 大ホール(愛知)
10月13日(祝・月) 札幌市教育文化会館 大ホール(北海道)
10月18日(土) 西条市総合文化会館 大ホール(愛媛)
10月19日(日) サンポートホール高松 大ホール(香川)
10月26日(日) 武蔵村山市民会館(さくらホール) 大ホール(東京)
11月01日(土) 大津市民会館 大ホール(滋賀)
11月09日(日) 大阪国際会議場(グランキューブ大阪) メインホール(大阪)
■<15th Anniversary Mai Kuraki Live Project 2014 BEST “一期一会” ~Premium~>
12月06日(土) 開場15:00/開演16:00
会場:東京・日本武道館
[問]H.I.P. TEL:03-3475-9999
チケット料金:全席指定 8,000円(税込)
※6歳以上有料。5歳以下入場不可。
※チケットは入場引換券となります。座席は入場時にご案内致します。
※座席のお問い合わせには一切お答えできません。
一般発売:11月15日(土)
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