期待の精鋭が華麗なる競演を果たした<PURE ROCK JAPAN LIVE ~EXTRA vol.2~>
国内のヘヴィ・メタル系アーティストの豪華競演で知られる<PURE ROCK JAPAN LIVE>。1999年にスタートし、近年はクラブチッタ川崎を拠点に行われてきたイベントだが、そのスピンオフ版として、今年2月に第一回が開催されたのが<PURE ROCK JAPAN LIVE ~EXTRA~>だ。そのシリーズ第二回となる公演が、去る9月20日に日本のロックの殿堂である東京・新宿ロフトにて繰り広げられた。
今回のラインナップも、LIGHT BRINGER、BLOOD STAIN CHILD、GYZEという、国内外から注目される精鋭陣。この3組が一堂に会するのは初めてのことで、それだけにこの特別な場で、彼らがいかなるパフォーマンスを見せるのか、大いに期待が寄せられていた。
一番手に登場したのはGYZE。昨年6月に1stアルバム『FASCINATING VIOLENCE』がヨーロッパでリリースされ、逆輸入的に日本でも話題となった札幌出身の3人組だ。この9月3日にビクター・エンタテインメントからようやく同作の日本盤が発売になった直後ということもあって、バンド側の意気込みは相当なもの。音楽性はメロディック・デス・メタルに分類されるものだが、涙腺を究極なまでに刺激する叙情的な美旋律は何よりも特徴で、アグレッシヴなサウンドとの効果的な対比によるドラマが、この日も見事に描かれていた。
ライヴの構成そのものも、新たなGYZEの幕開けを宣言するかのようだった。MCも必要最低限にとどめ、時には曲間にSEを配して、矢継ぎ早に楽曲を畳み掛けていく。とにかく音楽そのもので勝負する、そんな気概で魅せていった。初めて彼らのステージを観たオーディエンスも少なくなかったと思われるが、その多くを惹き付けたのは間違いないようだ。事実、終演後も彼らの物販席では、『FASCINATING VIOLENCE』を買い求める観客の列がなかなか途絶えなかったほど。10月末から名古屋、大阪、札幌、東京で行われる単独ツアーに向けて、確かな足跡を刻み込んだショウだった。
続いてはBLOOD STAIN CHILD。メロディック・デス/ブラック・メタルとトランスを融合させた個性的なマテリアルで知られ、初期からワールド・ワイドな規模でアルバムがリリースされてきたバンドである。KiKi(vo)を擁する編成での初音源となったシングル「LAST STARDUST」(2014年1月)は、まさにBLOOD STAIN CHILDらしさに溢れた仕上がりで、彼(彼女)らの個性的なポテンシャルを改めて実感させたが、この日のライヴもまた瑞々しい魅力を放っていた。
特筆すべきは、メンバーが一体となることで生まれる躍動感で、ダンサブルな楽曲群と相まって、フロアに大きな揺れを作り出していく。好評だった今年5月の単独公演すら、軽く上回る充実ぶりだ。高いモチベーションを保ったまま、活動がなされていることが容易に伝わってくるパフォーマンスである。
事前に“サプライズ”があることも明かされていたが、何と新曲「Meteolight」を初披露。すでにプリ・プロダクションが行われている6枚目のアルバムへの期待感が煽られたのは言うまでもない。前作『epsilon』がリリースされたのが2011年6月。待望の新作に関する続報も待ちたいところだ。
最後を締め括ったのがLIGHT BRINGER。類稀な歌唱力を持つFukiを始め、演奏陣も敏腕揃い。ポップ・センスも自在に織り込んだプログレッシヴ・メタルとでもいうべきテクニカルで多彩な楽曲が、唯一無二のパーソナリティを体現していると言っていい。GYZEとBLOOD STAIN CHILDの快演でフロアの盛り上がりは尋常ではなかったものの、彼(彼女)らは何も臆することなく、その熱気をより上昇させていったのだから凄まじい。もちろん、LIGHT BRINGERを目当てに足を運んだファンも多かったはずだが、何度もそのライヴを観てきた人も、その“試合巧者”ぶりには感服したに違いない。さすが国内シーンを代表する若手の筆頭とされるバンドだけのことはある。
『genesis』(2012年)と『Scenes of Infinity』(2013年)の2枚のアルバムからの楽曲に加え、ライヴ会場限定で販売されているシングル「ICARUS」収録の2曲で構成されたセットリストも、狙い通りといったところだろう。LIGHT BRINGERならではの強みを巧みに表現しつつ、勢いよく駆け抜けていく見事なパフォーマンスだった。
そしてアンコールでは、何とBLOOD STAIN CHILDからKiKi(vo)とRYU(g)、GYZEからRyoji(vo&g)を迎えて、長らく愛されてきた代表曲の一つである「Diamond」をセッション。この日、最大級の歓声に包まれ、盛大な喝采の中でイベントの幕は閉じられた。なお、ステージ上でも告知されたが、LIGHT BRINGERは11月5日にニュー・アルバム『monument』をリリースし、その後に東名阪ツアーを行う。さらに12月には7月の東京公演の模様を収めたライヴ作品(DVDおよびBlu-ray/詳細未定)の発売も控えている。
写真●箭内史子
<PURE ROCK JAPAN LIVE ~EXTRA vol.2~>セットリスト
■GYZE
1. Day Of The Funeral
2. Fascinating Violence
3. Last Insanity
4. Future Terror
5. Regain
6. Trash My Enemy
7. Final Revenge
8. Midnight Darkness
9. Desire
■BLOOD STAIN CHILD
1. Exotic-6-Cordinator
2. Sirius VI
3. Freedom
4. Electricity
5. Another Dimension
6. Meteolight
7. Last Stardust
8. STARGAZER -X-
9. Moon Light Wave
10. Type-N
11. Final Sky
12, Over The Galaxy
■LIGHT BRINGER
1. 創世
2. ark
3. noah
4. ICARUS
5. 陽炎
6. if
7. espoir
8. Venus
9. Hyperion
<encore>
10. Diamond
◆LIGHT BRINGER
◆BLOOD STAIN CHILD
◆GYZE
◆PURE ROCK JAPAN LIVE ~EXTRA~
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