クリープハイプ 尾崎世界観、200人を前に「今日は特別な日にしましょう」
クリープハイプが、10月14日にKYOTO MUSEにてスペースシャワーTVのライブ番組『SPACE SHOWER TV “LIVE with YOU”』の公開収録を実施。プレミアムチケットを手にした200人を前に、メジャーデビュー後初となる京都でのライブを繰り広げた。オフィシャルからのレポートをお届けしよう。
◆クリープハイプ 画像
唇の端っこに笑みをたたえ、「今日は特別な日にしましょう」と尾崎世界観(Vo&G)が言い、たった一度しかない特別な夜の幕が切って落とされた。「メジャーデビューして、初めてスペースシャワーTVでパワープレイに選ばれたこの曲から」と、冒頭にいきなり「オレンジ」。そして息つく間もなく「エロ」。不揃いのまま鮮やかに切り込んでくるイントロのギターを、小川幸慈は自信満々に弾き倒してみせる。
“あなたの側で、生きてる音楽”をコンセプトに、スペースシャワーTVがトップミュージシャンと送るプレミアムライブ番組『SPACE SHOWER TV“LIVE with YOU”』。今回登場したクリープハイプはこの夜、とても濃密なライブを繰り広げてくれた。
性急にかき鳴らされるギターが胸をかきむしるように迫ってくる「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」。そして「ホテルのベッドに飛び込んだらもう一瞬で朝だ」。ステージ上の4人には、なんともいえない“余裕”がみなぎっているのがわかる。夏に全国ホールツアーをやり遂げたことで得たものが、こんなふうにハッキリと演奏や歌や声に現れるとは。この日、披露された新曲では、初めて耳にしたであろうにも関わらず、観客から会場を揺らすほどの大きなリズムを刻む手拍子が起きていた。初めて耳にするけれど、初めてじゃないような感触。音も歌も自然に手肌を通して沁み込み、体の中から血を沸きあがらせる。何千回も聴いた曲も、初めて聴く曲も、4人が作り出すサウンドと、そこに共通する世界観の虜になっているかのように、フロアは思い思いに叫び、踊り、揺れて応える。
ポーカーフェイスで何を考えているかわからない長谷川カオナシ(B)は、「グレーマンのせいにする」のようにうっとりさせるメロディーを生み出すからたまらない。その彼を指して「そろそろイケメンとデュエットしようかな……あ、やっぱやめようかな」と尾崎は言い放つ。本気と冗談の境目がよくわからない独特の思考回路も含めて、何が起きるか分からない危なっかしさが妙に人間くさくていい。この日、小泉拓(Dr)の背後&頭上と、フロアの左右には、波打つたびに表情を変える妖艶なサテン地の幕が張られていた。そのセットが赤やオレンジの照明とも相まって、クリープハイプの音楽に潜む艶っぽさを浮き彫りにする。
「今日はとってもやりやすいです」といつにも増して穏やかなMCの後に、まもなく発売される新曲の「百八円の恋」を。“痛い”というフレーズが山のように折り重なって聴こえるこの歌の持つ突進力の激しさに、胸のすくような爽快さを覚えた。なりふり構ってなんかいられないし、どこまでも突っ走ることしかできない。けれど、その突っ走る勢いに私たち聴き手は振り落とされたり置き去りにされることはない。それはきっと4人が一番分かっている。「連れて行ってあげるから」なんて歌わなくたって、優しく包んでくれなくたって、言葉にする以上に音楽で歌で充分に伝えることができているし、自分たちの真意は伝わっている。そんな確かな自信のようなものを彼らはまたひとつ、手にしたんだろう。
アンコールで「寝癖」を歌い終えた時のこと。尾崎がちょうどマイクに向かって何かを言おうとしたその瞬間に、フロアから「最高!」と声がかかった。その時の彼の照れたような表情はとてもすがすがしかった。
この日の模様は11月22日21:00よりスペースシャワーTVにてオンエアされる。今ここで鳴り響いているクリープハイプの歌、今の彼らの勢い、そして生々しく進化している様をその目に焼き付けてほしい。
写真◎渡邉一生
文◎梶原有紀子
セットリスト
1.オレンジ
2.エロ
3.おやすみ泣き声、さよなら歌姫
4.ホテルのベッドに飛び込んだらもう一瞬で朝だ
5.新曲
6.憂、燦々
7.グレーマンのせいにする
8.新曲
9.傷つける
10.百八円の恋
11.ラブホテル
12.かえるの唄
13.新曲
14.社会の窓
15.HE IS MINE
EN1.寝癖
EN2.二十九、三十
EN3.左耳
◆クリープハイプ オフィシャルサイト
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