【インタビュー】KAGERO 萩原朋学「自分の好きな音楽を聴くときって100均のイヤホンでも良いんですよ」
◆曲の作り方としてはあの人が全部持ってくるんですよ、材料はドドっと。
加工の段階で各々こっちにパーツが回ってきて、削ったり足したりしてる感じですね。
──今回のアルバムについてですが、まず3ヶ月連続シングル曲配信があって、会場限定で発売されていたシングルも収録されているということで、既にリリースされたものが半分あります。極端に言うと、単曲で1曲ずつ配信して行っても良いわけじゃないですか?
萩原:まあ、そうですね。
──それをアルバムにまとめる上でのテーマというのはありましたか?
RUPPA:いや、テーマっていうかたぶんCDが好きっていうだけだと思うんですよね。アイドルちゃんが配信も毎月のようにやったりするけど、それをCDにして握手券にして、ってやるじゃないですか。それって握手券が必要だからCDを作ってるだけで、1枚のCDに5分くらいしか入ってないでしょ?それってなんかなって。CDアルバムで10何曲入り、3、40分入ってます、というものは作りたいんですよね。たぶんアルバムタイトルをナンバリングにしているのもそこにあるんですけど、そこまでアルバムのトータルのイメージを作り込んでいく作業というのは我々はあんまりしていないんですよ。
萩原:うん、そうですね。そもそもアルバムを作って下さいと言われて、ゴールのモチーフとして何かを見ながら作ったことはないですね。
RUPPA:今回は先に出している曲があって、アルバムを12曲で行こうかとなったら、「もうちょっとああいう曲が欲しくない?」とか「バラード書こうか」とか、違う感じの曲が欲しいなと思った部分を足しているくらいかな。
菊池:それに会場限定のときとは尺も違ったりアレンジも全然違ったりするしね。
──会場限定でリリースしたものも録り直しているんですね。
萩原:全く別物ですね。ライブでアップデートしてきたやつを録れるチャンスがアルバムでもらえているということなんで自然といえば自然なんですけど。
──アルバムを通して聴くと「The Spring Landscape」のようなメロウな曲があったりするのでトータルな流れを考えた結果こういう一枚になったのかなと思ったんですが。
RUPPA:そうそう、「The Spring Landscape」は後から書いてる曲で。あとは「13 -Thirteen-」もそうかな。
萩原:普段、アルバムを作るっていう前提じゃなくて曲を作ることになったら、練習しているときもライブを想定して曲順を選んだりしているんですけど、たぶん白水さんも含めて、「The Spring Landscape」とか「13 -Thirteen-」というのは、あったらやれるんですけど、やらなきゃと思ってそれを出してくるということはないんですよ。だからアルバムを作るタイミングだから出てきたんだと思います。
RUPPA:そうだね。曲をバーって並べたときに「あ、こういう曲欲しいな」と思って、浮かんできて出した曲が集まってきてる。
──曲作りというのは、これまで通り白水さんとRUPPAさんが曲の核になるものを持ってくるんでしょうか?
RUPPA:う~ん……「13 -Thirteen-」って智恵ちゃんが持ってきたの?
菊池:うん。白水君とやりとりしつつ。
RUPPA:これ意味わかんないもん。「13拍子のネタを幾つか書いてこい」ってLINEがバーンって飛んできてて。
一同:ははははは!
RUPPA:「明日までに智恵子書いてこい」って。
菊池:それでピアノのリフとかもパソコンで書いたので最初弾けなかった……そんなことはどうでも良いか(笑)。
──いや、どうでも良くないですよ(笑)。パソコンでどうやったんですか?
菊池:GarageBandで。私エレピ使ってるくせにMIDIを繋げられないんで、手書きで音を置いて行ったので、Macで。
萩原:でもベース後付けって初めてじゃないかな? ドラムとピアノで骨組みを作ってからベースとサックスに乗っかってもらうというのは今までないですね。
──アルバムを聴いて感じたのは白水・萩原対RUPPA・菊池みたいな感じで、ドラムとベースがより一体感を増しているように思ったんですよ。
萩原:マジすか? 今回は『KAGERO ZERO』のときよりは2人で何かを合せたことは一度もないんですよ。この2人(RUPPA・菊池)がいるとき以外に何かしたことはないですね。
──そうなんですか? 作り方としては例えば菊池さんが元になるものを作ったところにRUPPAさんがメロディを乗せるとかいうこともあるんでしょうか。
RUPPA:あたしがメロディを書いてるのってほとんど無くて。前に比べると白水が書いてくる曲はメロディが埋まってる場合が多いので。
菊池:ギターとフンフンフン~って。
──ギターの弾き語りで送ってくるんですか。
萩原:そうそう。
菊池:あと歯笛みたいなの。
──歯笛?
萩原:ヒューヒューって(笑)。だから曲の作り方としてはあの人が全部持ってくるんですよ、材料はドドっと。加工の段階で各々こっちにパーツが回ってきて、削ったり足したりしてる感じですね。ただ本人の中にある程度明確なビジョンがあって、最初はそこに寄せて行くと言うかそこと合う合わないの繰り返しで。バチっと合うときもあるし、全然違うアプローチになるときもあるし。でもRUPPAさんが作った「Pile Bunker」と「13 -Thirteen-」はそうじゃなくて、白水さんのイメージは他の曲よりも出来上がりのビジョンは少ないと思います。その状態でこっちに投げてくれてるんで。
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