【独占ライブレポート】SIAM SHADEのNATCHINとeversetの緋村剛の21gが初ライブ、初ワンマン
SIAM SHADEのNATCHINとeversetの緋村剛(Geno)が作りあげたバンド、21gが初ライブで初ワンマンを実施。熱狂やまない始まりの一夜のロングライブレポートをお届けする。
◆アーティスト名 画像
ついに、彼らはその姿を眼前へと現した。2014年10月4日(土)初台DOORS。<21g LIVE「Genoration」Chapter 1>と題し、21gの初めてのライブがワンマンという形で行われた。場内には産声を上げた姿を目にすべく、これから書き記してゆく21gの歴史の最初の1ページをしっかり目撃しようと、後ろまでビッシリと観客たちが押し寄せていた。
ライブは、21へカウントアップしてゆく映像からスタート。21を告げると同時に映し出されたのが、「天照賛歌」と」エメラルドグリーン」のPV映像。満員の観客たちが、手拍子や声を上げながらその映像を見つめていた。PVの映像が終わると同時に流れ出した、勇壮なSE。高ぶる感情と、場内から沸き上がった無数の手拍子。高まる期待。舞台へメンバーが姿を表すたびに上がる歓声。そして…。
Geno(Vo)のがなる言葉を合図に、腹の奥底へズズズンッと響くヘヴィ&ドライブな楽曲が場内へ放たれた。幕開けを飾ったのは、「21Genoration」。リズム隊の叩き出すヘヴィなグルーヴが刺激的だ。激しい演奏の上で激烈なリフビートを刻んでゆくmi-ya(G)。身体を揺さぶる豪放な音を背に、観客たちへ雄々しき姿で挑みかかっていたGeno(Vo)。重く、しかも野太く響き渡るGenoの歌声が、豪快な音の上で荒々しく踊り続けていた。
「魂が天照らす!」(Geno)
Genoの叫びに続いて流れたのが、1stシングルの一翼を司る「天照賛歌」だ。激しく唸りを上げた演奏の上で、馳せる気持ちをぶつけるよう、Genoが“俺たちはあと幾つ夢中になれる夢を見れるだろう 気が狂いそうなんだ”とメッセージしてゆく。誰もがその演奏と歌声に触発され、気持ちを嬉しく震わせていた。身体を揺らさずにいれない演奏に触れ、気持ちを高ぶらせるGenoの歌へ導かれると、自然と魂が武者震いするのを覚えてしまう。Genoのラップへ拳を振りながらコールしてゆく満員の観客たち。初ライブにも関わらず、なんて一体化した熱狂のグルーヴがここには生まれているんだ!これが、音楽が生み出すアドレナリンというヤツなんだろうな!
場内に響いた猫の声。「ねこのうた」と題した甘いタイトルとは裏腹に、楽曲は刺すように強烈なリフを突きつけてゆく。一見ファニーな歌詞ながら、そこにはしっかりと21gらしい毒が滲み出ている。攻めの姿勢を削ることなく、楽曲に甘い要素を盛り込みながら、彼らは凛々しき演奏をグサグサと突きつけてきた。
「無謀にも誰も曲を知らない中で始まったワンマンライブですが。ここにいる全員で楽しんで帰りましょう、よろしくー!次に演奏する「つき」という曲では、流れ出したら“チッチチー”と口づさむことを条件反射にして欲しいわけ。俺はいつか、何千人の人たちが“チッチチー”と歌う声に合わせて、この楽曲を歌いたいんだ!みんな、ついてこれるか!」(Geno)
ツ・ツ・チーという観客の言葉のリズムは、まさに「つき」の下で無数の夢を具現化する合図のようだ。楽曲自体は、雄大な景観広がるミッド・グルーヴなスタイル。Genoもチッチチーと反復されるビートの上で「過去の悠久の時間の中で、月がそこから目の当たりにしてきた、無数の儚い人間模様」を朗々と歌いあげていた。途中には、Genoの振りを合図に観客たちが“チッチチー”とスキャットしてゆく場面も登場。シンコペーション冴え渡るこの楽曲、ライブの中で一つの刺激的な波間を描く表情を持った歌になりそうだ。
一転して奏でたのが、変拍子ナンバーの「チョコレート3丁目」。ヘヴィに、フリーキーに攻めゆく演奏。初見では意外とリズムを取り難いかと思ったが、観客たちはウネるリズムに乗り、しっかり身体を揺らしていた。リズムが変幻しながらも身体を躍動させてゆくこの手の楽曲も、21gにとって大切な表情だ。
中盤では、Act.(Dr)とNATCHIN(B)のリズム隊によるセッション演奏がスタート。NATCHINの弾きだす跳ねたグルーヴにAct.が絡む形で進行。NATCHINは声を張り上げ、観客たちを熱く熱く煽っていた。そのまま演奏はAct.のドラムソロへ。途中には観客たちとのコール&レスポンスも登場。雷鳴のごとき猛々しいドラムプレイを通し、観客たちの高ぶる感情へ嬉しい刺激を叩きつけていた。その後に続いたのが、mi-ya(G)のソロ。彼女はギターではなく、20年以上続けてきたピアノを用い、美しくも哀切な演奏をしっとり場内へ響かせた。激しいだけではない、切々とした表情を描き出していけるのも21gの大きな強みだ。
そのまま楽曲は、mi-yaの哀切なエレピの演奏を軸に据えたバラード「淋しさで咲く華」へ。マスクを脱ぎ捨てたGeno(Vo)が、哀切なピアノの音色の上で想いを、言葉を、ひとことひとこと紡ぐよう歌いだした。いつしか、Act.のドラムとNATCHINのベース演奏も加わり、楽曲に優しく色を添えていた。Genoの感情がグッと込み上がるたびに、その気持ちへ寄り添うよう、演奏も高揚した音色を響かせていた。Genoの生きざまを描き出した、この「淋しさで咲く華」。切々とした演奏の中へ暖かな温もりを感じたのも、Geno自身の感情がそこへ投影されたからだろうか。
哀愁を抱いた空気が、次第に熱を帯びだした。何処か刹那な感情を抱きながら、キラリと輝く刃のような演奏を突きつけ、ふたたびスリリングに攻めだした。破裂寸前の感情を抱きながらドライブしてゆく様が魅力的な「たとえ話」だ。ハイテンションな演奏の中から滲み出る温かさが、胸に優しさも忍ばせていた。
「バンドって楽しいっすね。音楽って楽しいなぁ」(Geno)。「今日という日を、このメンバーと迎えられたことを心から嬉しく思います」(Act.)。「嬉しくて言葉が出ないんですよ」(mi-ya)。「みんな曲を知らないのに集まってくれて、ホントありがとうございます。剛の身体のこととかあったりで真剣に相談され、一緒にバンドを組もうと決意した時から、ギターは女性で、できれば関西人。その子に関西弁でMCをやって欲しいっていう願望があったんだよね。mi-yaに、MCで「なんでやねん」とか言って欲しいんだよね」(NATCHIN)。「吉本新喜劇じゃあるまいし、なんでやねんって、そんな言わないですから」(mi-ya)。そんなトークもメンバー内で交わしつつ…。
「ぶっ飛べばいいんだよ!!みんな廃人になろう!!」(Geno)
Act.のリズムに合わせ、場内中で起きた手拍子。Genoも、みずから手拍子しながらシャッフルナンバー「廃人列車」を歌いだした。“出発進行”の歌を合図にグルーヴしだした演奏。重さを抱きながら、でも軽快に演奏は疾走してゆく。いつしか会場中の誰もが、そのビートに心地好く乗車しては、楽しく身体を揺らしていた。Act.がドラムを叩きながらさりげなく敬礼していたのも、楽曲の雰囲気に合わせてのこと。全員が楽曲としてあるべきメッセージを実践してゆく。それって素敵なことじゃない!
Genoが、歌詞を書いたスケッチブックを手に歌いだした。身体をズンズン弾ませるディスコビートが炸裂。「we are gonna take it」が、会場中の人たちの身体を心地好く縦に揺らし出した。場内の空気がどんどん上がってゆく。パーティムード、まさしくその言葉の似合う風景が場内に広がっていた。誰もが身体を揺さぶるビートに溺れるように拳を振りまわし、ディスコロック・ナンバーにノッてはしゃいでいた。大サビではGenoの声に合わせ、コール&レスポンスも起きていた。
「もっとアドレナリンいっぱい出してちょーだい」。高ぶり出したアドレナリン。Genoが豪快にタオルを振り出した。会場中の人たちも思いきりタオルを振りまわし、「Mr.アドレナリン」が作り出した身体中のエナジーを沸騰させる演奏へ嬉しく飛び込み、大騒ぎし始めた。誰もがGenoの煽りに合わせ、一緒にタオルを振りながら、熱狂の海へ溺れてゆく。理屈も屁理屈も関係ない。ただただ無邪気に音にまみれ、はしゃいでいたい。それがライブの醍醐味であり、楽しさ。その当たり前の姿勢を、思いきりアドレナリンを掻き立てる演奏で21gは届けてくれた。
止まない熱狂の声を受けアンコールで奏でたのが、21gにとって大切な表情であり、このバンドの顔とも言える「エメラルドグリーン」だ。唸りを上げて走り出した演奏。場内中の人たちが拳を振り、メンバーらを熱く熱く求めていた。“愛してる”。Genoが観客たちへたぎる思いをぶつけるよう熱く熱く歌いかけてゆく。熱を帯び、どんどん高ぶりだした演奏。サビでは会場中の人たちが拳を振り上げ、“エメラルドグリーン 君がいるなら”と歌い、叫び、開放的な緑の世界へ思いを馳せては、思いきり熱狂していた。この場にいる誰もが満面の笑顔で気持ちを一つに、ここにいる喜びを思いきり全身で満喫していく。ともに上がっていく感覚。そう。これから始まる輝かしい光の風景へ向かって、心と一緒に駆けだしていた。
会場が明るくなってさえもズッとズッと止まないアンコールの声。その声に導かれ、みたび舞台上へメンバーが姿を現した。「一緒に歌ってくれるかーい!」。再び届けたのが「天照賛歌」。演奏が始まったとたん、場内中の人たちが拳を振り上げ思いきり騒ぎだした。Genoも客席へ身を乗り出し、高ぶりきった観客たちの気持ちへさらに熱いエナジーを降り注いでゆく。“気が狂いそうなんだ 夢幻泡影の箱の中 まだ心踊るなら きっとそれを希望と呼ぶんだ”。サビでは会場中の人たちがGenoと共に歌いながら、熱狂の渦の中へ思いきり溺れていた。誰もがその瞬間を忘れたくない記憶としてその身へ刻むよう、気が狂いそうなほどの熱狂を全身で感じ続けていた。その興奮の讃歌が、いつまでもいつまでも胸に響き続けていた。
21gの物語はまだ始まったばかり。まだまだ遅くはない。この暴走列車へ共に乗り込み、一緒に翠玉緑な未来の景色を見続けようじゃないか!
文◎長澤智典
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今日のライブをやったことで、すごい盛り上がった部分と課題の残る部分の2つが見えてきたことから、次からのパワーアップに向け、時間を使うべきところが浮き彫りになりました。ますますファンのみんなへの期待に応えていけるように、曲作りとライブを頑張っていきたいなと思います。今日は、みんなのおかげで素晴らしいスタートになったと思います。ありがとうございました!──Geno(Vo)
当然みんな楽曲を知らないわけですし、ここまで一緒に楽しめるライブになるとは思っていなかったんで、この先の21gが楽しみだなーという感じはしますね。それと同時に、なんか昔の自分を思い出しましたね。
自分がインディーズの頃は、ライブを重ねながら、どんどん観客を増やしては、そろそろ勝負というときに音源を作っていた。でもメジャーに行ってからは、音源を作り、宣伝して楽曲を広めてから、音源を持ってツアーをまわるというパターンが当たり前になっていた。
今回は2枚のシングル盤を先行発売はしてますけど、改めて原点に返ったというか。このままライブ経験を重ねていけば、楽曲のクオリティもどんどん上がれば、アレンジ面のレベルも上がってゆく。それが見えることで、今後音源にしていく曲や、ライブのみで演奏してゆく楽曲の振り分けも容易にしていける。そうなったときに、やっとバンドらしいというか、21gらしい姿でアルバムを作っていけるなという予感がした。そんなライブになりましたね。
しかもこの日は、本当の意味でのアンコールまでかかったことはすごく嬉しかったです。12月20日にも、再び初台DOORSでワンマンが決まりましたし。その日は、今日とはまた違う内容の構成になれば、来年にはアルバムを…という構想も考えながら活動をしていくので、これからが楽しみです。──NATCHIN (B)
21gは女性のお客さんが多いから、けっこう受け入れてもらえるかなと不安だったけど。「可愛い」と女の子に言ってもらえたりなど、女性にも応援してもらえたことがすっごい嬉しくって。まぁ、課題もいっぱい見えたんですけど。でも、まずはひと安心。いいスタートを切れたかなーって感じですね。
それと、私はピアノを20年間やってきた理由もあって21gには加入しているんですけど。そこもアピール出来たのは嬉しかったこと。MCでは、Genoさんが私に大阪弁を求めてるようだから、今後は、もうちょっと大阪弁を出していきましょうかね(笑)。でも、あんだけあったかく迎え入れてもらえたら、21gはいいバンドになっていくのは間違いないです。──mi-ya(G)
個人的には、純粋に楽しめたライブだったというのが感想ですね。こんなにも期待して待っててくれた人たちがいるのをすごく感じれたというか。今回の初ライブに向けて、自分の中ではやれるだけのことは可能な限りやったうえで臨んだ結果が今日。なので今後は、やれることの範囲をどれだけ広げていくかだなと思っています。このメンバーだったらもっといろんなことが出来ると思うし、可能性もいっぱいある。課題を潰しつつ、いいところはどんどん伸ばしつつでやっていけたらいいなと思っています。
ドラムソロですか?!今日は、Genoの歌を支えるバンドの一員としての静の部分と、1ドラマーとしてのテクニカルな部分など、ドラムだけでいかにお客さんに訴えかけるという動の部分。その二面性を。冷静な自分と野性的な自分二つの表情を見せれたなとは思っています。要所要所リズムを刻むだけの職人よりは、パフォーマーとしての面を全面に出していこうと自分は思ってる。
今日のライブは、自分たちの中でも、どれだけ期待されているかを見計らった上で、それ以上の期待も予想もすごく感じれた内容だったなと思います。──Act.(Dr)
◆ ◆ ◆
セットリスト
~SE~
21Genoration
~MC~
天照賛歌
ねこのうた
~MC~
つき
チョコレート3丁目
リズム隊インスト
~ドラムソロ~
mi-yaソロ
淋しさで咲く華
たとえ話
~MC~
廃人列車
we are gonna take it
Mr.アドレナリン
-ENCORE-
エメラルドグリーン
LIVE日程
2014年10月19日(日) 渋谷VUENOS
出演;defspiral/21g
†яi ZEICHEN 21 出演
2014年10月29日 (水) 梅田AKASO
2014年10月30日 (木) 名古屋CLUB QUATTRO
2014年11月05日 (水) 新宿BLAZE
出演:BULL ZEICHEN 88/†яi¢к/21g
12月19日(金) 初台DOORS
出演:21g / DUSTAR3
21g LIVE<Genoration>Chapter 2
12月20日(土)初台DOORS
出演 21g
CD「天照賛歌」
21g-002 / 1,500円(tax in)
01.天照賛歌
02.21Genoration
03.天照賛歌 Instrumental
04.21Genoration Instrumental
天照賛歌Music Video
天照賛歌Bonus Track
「エメラルドグリーン」
21g-003 / 1,500円(tax in)
01.エメラルドグリーン
02.ねこのうた
03.エメラルドグリーン Instrumental
04.ねこのうた Instrumental
エメラルドグリーンMusic Video
エメラルドグリーンBonus Track
◆21g オフィシャルサイト