【ライブレポート】ジョン・レジェンド、当然のようにスタンディング・オベーション
長いこと待たされた。そう思うファンも多いだろう今回のジョン・レジェンドの来日公演。それもそのはず、単独公演としては3年ぶり、そして前作から5年をあけて発表された4枚目の最新アルバム『LOVE IN THE FUTURE』が出たのも2013年、そんな待ちに待った来日公演となるのだ。大阪公演の翌日に行われた東京公演は、場所はパシフィコ横浜 国立大ホールで、「LOVE IN THE FUTURE」から6曲の全20曲が、甘く・力強く・そして本当に美しい声で歌い上げられた。
◆ジョン・レジェンド画像
暗転したステージに湧く歓声と、響き始めたストリングスの音が混じる会場。ステージ中央にスポットが当てられ、ピアノとジョンの姿が現れる。さらに大きな歓声に「東京、最高にするからね」と英語で応え、「LOVE IN THE FUTURE」の収録曲である「MADE TO LOVE」から本当に最高の公演がスタートした。
前半には1枚目のアルバム「GET LIFTED」の出だしを思わせる「PRELUDE」~「LET'S GET LIFTED」の展開や、ジョンの歌声とストリングスの魅力が引き出されたアレンジの「SOMESHING(THE BEATLES)」という選曲でファンの心をつかんだ。また、ビックリしたと言うか、想像以上だったのがMCで、ピアノで遊ぶように音を出しながら、オハイオの家族の話や、自分が子供の頃の話だったり、「LAURYN HILL」の作品に参加した事や「KANYE WEST」との出会いなどのアーティストとしての道のりに関しての話を自然に、そして多くのジョークを交えながら話してくれた。このジョークの面白さは、MCが始まるとファンから「面白い事言ってくれよ」と期待の声が飛ぶくらいだった(この公演は会場に外国人のファンが多く、MCへの反応も良かった)。
そしてジョンは後半も丁寧に一人一人に向けて歌うかと思えば、ファンにハンドクラップや一緒に歌う事を求めたりと、とても多彩なステージングで常に楽しませてくれた。後半の出だしは「SAVE ROOM」「GREEN LIGHT」とアルバム「ONECE AGAIN」「EVOLVER」のそれぞれ代表曲と言っても良い曲からスタートし、「GREEN LIGHT」のサビをファンと一緒に歌って、会場に一気に熱を入れたかと思えば、「ROCK WIHT YOU(MICHAEL JACKSON)」のカバーを持ってくるというキラーっぷり。大人の色気がありすぎる「ROCK WITH YOU」に会場は完全にROCKされて大歓声が止まない。しかしそこは大人のライブであって、最後に向けてひたすらヒートアップさせるのではなく、また上品に聴かせてくれる展開になっていった。
特に「BRIDGE OVER TROUBLED WATER(SIMON & GARFUNKEL)」のカバーをピアノの弾き語りで歌い上げた時には、ホールという大きな空間に響く音の美しさに、この会場で聴けて良かったと感動しながらに思えた。これがBLUENOTEやBILLBOARDでは、ここまで伸びやかで繊細な音の残像を堪能出来なかったかも知れない(しかしBLUENOTEやBILLBOARDは、ステージとの距離で感じられる「熱」もやはり最高なのだが)。
その後、最新アルバム収録曲の「YOU & I」を歌い終わった時に、水を一口飲んで、それまで着ていたジャケットを脱いだのだが、これが最後に向けて「さあ、いくよ」と言っているかのようだった。実際、「ORDINARY PEOPLE」のサビを会場のみんなで歌うように煽ったり、曲の一部をアカペラで歌って、媚薬代わりのファルセットでファンを酔わるなど、ジョンから発せられる熱量はどんどん上がってきたのだ。アンコール前ラストの曲「SO HIGH」は力強く伸びやかで、「ジョン・レジェンド」を凝縮したかのような素晴らしさ。これには当然のように会場はオールスタンディングで拍手が鳴り止まない。
暗転したステージにむけて続く拍手。ひとりジョンだけが戻ってきてアンコールに応えた。このツアータイトルにもなっている「ALL OF ME」だ。オールスタンディングのまま会場は静まり返る。そしてステージにひとり、ピアノ弾き語りで歌うジョン。何年も待った公演はあっという間に終ってしまったとファンは感じただろう。そんな終始引込まれっぱなしの<JOHN LEGEND THE ALL OF ME TOUR>であった。
写真:Kayoko Yamamoto
文:Yutaka・Kobayashi
ジョン・レジェンド<AN EVENING WITH JOHN LEGEND THE ALL OF ME TOUR>
2014年10月1日@パシフィコ横浜国立大ホール
1.Made To Love
2.Tonight
3.Prelude / Let's Get Lifted
4.Used 2 love you
5.Save The Night
6.Something
7.Maxine
8.Again
9.PDA
10.The Beginning
11.Save Room
12.Green Light
13.Rock With You
14.Who Dow We Think We Are
15.Bridge Over Troubled Water
16.You & I
17.Caught Up
18.Ordinary People
19.So High
20.All Of Me
ジョン・レジェンド『ラブ・イン・ザ・フューチャー』
SICP-3845 \2,200+税 国内盤のみボーナス・トラック収録
1.ラブ・イン・ザ・フューチャー(Intro)
2.ザ・ビギニング…
3.オープン・ユア・アイズ
4.メイド・トゥ・ラブ
5.フ―・ドゥ・ウィ・シング・ウィ・ア― feat.リック・ロス
6.オ―ル・オブ・ミー
7.ホールド・イン・ロンガー
8.セイブ・ザ・ナイト
9.トゥモロー
10.ホワット・イフ・アイ・トールド・ユー?(Interlude)
11.ドリームス
12.ワナ・ビ―・ラブド
13.エンジェル(Interlude)feat.ステイシー・バース
14.ユー・アンド・アイ(ノウバディー・イン・ザ・ワールド)
15.アサイラム
16.コート・アップ
17.ソー・ゴーン
18.ウィ・ラブド・イット feat.シール
19.エイム・ハイ
20.フォー・ザ・ファースト・タイム
21.メイド・トゥ・ラブ ベニー・ベナッシ・リミックス(Bonus Track)
◆ジョン・レジェンド・オフィシャルサイト
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