【インタビュー】PENICILLIN、新作「SOL」に「人智から離れた壮大な力と哀愁を」

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■無軌道というか型破りな感じが瑞々しくて、好きなんですよね
■山口百恵さんの歌も男とか女とか超越しててすごくカッコいい──HAKUEI

──ミュージックビデオも黒が基調の衣装からして新鮮だし、モノクロームの世界から後半は陽の光が射し込んでくる映像になっていて。

HAKUEI:夜から夜明けへと時間が移り変わっていく感じですよね。衣装も新しい方にお願いしているんですけど、曲やジャケットのイメージを把握した上で考えてくれたんです。なので、楽曲の世界観すべてひっくるめてのヴィジュアルイメージになっていますね。

O-JIRO:PENICILLINにしては珍しく、あまり色のないミュージックビデオなんですけど、だからこそ光の射す感じやメンバーのパフォーマンス、たまに入ってくる色がより際立つ映像になってますね。サビでの花のカットがすごく綺麗だったり、質感もいい感じだし。

千聖:監督に、「花が燃える感じってどうかな?」って提案したらホントに燃えたので嬉しかったですね(笑)。あとHAKUEIくんが壁を背に歌うシーンもスパニッシュな雰囲気が出ていて、ちょっと暗めの映像になっているところから段々太陽の光が射す感じが気に入ってますね。

──結成22年目にしてまた新しいPENICILLINに出会える作品ですね。では、3曲のカバーについて聞きたいんですが、まず、山口百恵さんの「プレイバック Part2」(1978年)をセレクトした理由は?

千聖:いちばん最初に選曲会の段階で決まったんじゃなかったっけ?

HAKUEI:「ロックっぽい曲だし、やりたいね」って言ってたね。

O-JIRO:「プレイバック Part2」か「イミテイション・ゴールド」のどっちかをカバーしたいねって言ってて「“プレイバック Part2」のほうがみんな知ってるんじゃないの?」っていう話をしてましたね。

千聖:あと、10年ぐらい前に個人的にセッションライブでカバーしたことがあったんですよ。そのときに自分なりにアレンジしていたので、当時のイメージを元にPENICILLINサウンドへ当てはめていった感じですね。

HAKUEI:この曲は歌が難しかったですね。譜割りが詰まってるので滑舌をしっかりして歌わないとって。

千聖:確かにBメロとか早口だよね。

O-JIRO:構成も特殊ですよね。

千聖:’70年代の歌謡曲ってほぼ決まった方程式がないんだよね。

HAKUEI:その無軌道というか型破りな感じが瑞々しくて、好きなんですよね。山口百恵さんの歌も男とか女とか超越しててすごくカッコいい。

──HAKUEIくんのボーカルもそういう匂いがしますよ。

HAKUEI:女性の曲をしっとり歌うっていうのとは違う感覚で彼女のちょっと突っ張った雰囲気が出るといいなと思って歌いましたね。テクニカルな面に重きを置くんじゃなくて、内側から出る想いで勝負したいと思って、邪念を捨てて歌いました。今までのカバーの中で圧倒的に難しかったけど。

O-JIRO:ドラムも自分では思いつかないようなフレーズのキメが多いんだけど、これ以外ないと思わせられる曲ですね。今まであまり使ってなかったシンバルを使ってみたり。緩急のある曲なので、いろいろ考えて叩きましたね。後半の展開も奇抜だし。

千聖:きっと単にいい曲を作ろうというより「山口百恵さんにこういう曲を歌わせたらカッコいいだろうな」って感じだったんでしょうね。宇崎竜童さんは天才なんだなって。歌詞を書かれている阿木燿子さんも。

HAKUEI:そう。歌詞も凄いんだよね。

千聖:そういう曲を10代で歌いこなす山口百恵さんも凄い。迫力があるんですよね。

O-JIRO:アレンジするときに原曲のテンポもでタイムラインに並べるんですけど、TVでもきっちり同じテンポで歌われるんですよ。しかもバックをひっぱるぐらいのスタイルで。

HAKUEI:当時のTVは生演奏だったもんね。

千聖:リアルタイムで聴いてた当時と少し違う方向で改めてリスペクトしましたね。

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