【インタビュー】陰陽座、風神と雷神をテーマとした驚愕の2連作を同時リリース
■このアルバムを最後に陰陽座が作品を重ねることがなかったとしても
■陰陽座の信念はこのアルバムで言い切れたという気持ちはあります
▲『風神界逅』 |
▲『雷神創世』 |
瞬火:出し惜しんでる暇などないですよ。早くやるべきことをやらないと。運良く長生きしたとしてもあと30~40年で死んじゃうんですから。これは変な言い方に聞こえるかもしれませんが、厳然たる事実ですからね。しかもその内、元気にバンド活動ができる時間がどれだけあるのかを考えたら、もう本当に時間がない。
――としたら、次はもう3枚同時発売ということも考えられますよね(一同笑)。
瞬火:それはね、別の意味で元気じゃなくなりますね(笑)。3枚になると、さすがに受け止める側も、「ちょっと待ってよ」ってなっちゃうと思うんです。ベスト盤ならともかく。2枚までですよ、ドキドキするのは(笑)。2枚同時ということに関しても、ただただ純粋にいっぱい聴けると喜んでくれる人だけではなく、多すぎるわって思う人もいると思うんです。ただ、出たときは、2枚が同時にきちゃうから、どちらか一方からにしようかなと、ちょっと及び腰になったとしても、それが陰陽座の作品として積み重なった後であれば、たとえばそれは5枚目と6枚目と何も変わらない11枚目と12枚目ですよね。だから、いいんです、時間がかかったって。同時に出たときは、勘弁してよって実は思っていたけど、よくよく聴いたら、すっごい名盤が同時に出てたんだねって、後で気付いてくれたっていいんです。とにかく僕らは、このタイミングでこれを放つ必要を感じたので、放っているということなんです。
――名盤でよかったです。世の中には2枚同時発売の“迷盤”のほうが多いですから。サウンド面について言えば、シンフォニックな要素が、陰陽座の楽曲作りですごく重要になってきましたね。
瞬火:そうですね、ずっと我慢してましたから。
――我慢、ですか?
――かつて、能楽堂でやったライヴがありましたよね。あれはあれですごく興味深かったですし、またやって欲しいなと思うんですが、これだけシンフォニックな要素が入ってくると、何かオーケストラと共演してのコンサートなども観たくなってきますよ。
瞬火:それはですね、メタル・ファンのイケない習性ですね(笑)。これはやって当然というものから、意外なものまで、ロック・バンドとオーケストラの共演は、ロック史上に多々ありますが、個人的にはそのどれもが好ましいと思いながらも、でも、何でしょうね、陰陽座がやると「お前もか」みたいな感じに受け止められそうだという気がしますね(笑)。「陰陽座のくせに生意気だ」という感じで。それに、オーケストラの人たちは、音大で正しく楽器を習得した、演奏の申し子たちじゃないですか。そんな高等な人たちと音を合わせるような身分じゃないという、単純にそういう気持ちもあります。ただ、オーケストラをバックに黒猫が歌うなら……。
黒猫:それは陰陽座じゃない(笑)。
瞬火:いや、オーケストラとの共演となるとちょっと身に余りますが、楽曲そのものをオーケストラで演奏、というなら、それはそれで僕が聴いてみたいですけどね。ただ、そもそも僕、譜面が書けないので無理ですね。
黒猫:オーケストラ譜は書かなくていいでしょ(笑)。
――それは専門の人がいますから。
瞬火:へぇ。便利な世の中ですね(笑)。
――いや、最近の話ではないです(笑)。アグレッシヴなものからポップなものまで、“妖怪ヘヴィ・メタル”という個性的な様式に則った、一つ一つの楽曲が魅力的に響いてきますが、全体像の特徴として、歌詞において、陰陽座の基本的な姿勢というものが、かなりはっきり示されたアルバムだなとも思うんです。
瞬火:そうですね。確かにアルバム2枚分の曲数があることもあって、今までずっと言ってきた陰陽座の信念とか基本理念というものは、余すところなく言い尽くせたと思います。だから、変な話、このアルバムを最後に陰陽座が作品を重ねることがなかったとしても、陰陽座の信念はここで言い切れたという気持ちもありますし、作品を重ねていくとしても、ここで歌い切ったからもう次からは歌うことはないということもなく、この信念がまだ変わっていないということを、表明し続けるんだろうなとも思ってますけどね。でも、とにかく今回は、そういうものが明確にわかる曲はたくさんあると思います。
――さて、それぞれ<風神>と<雷神>というタイトルが冠された2回の全国ツアーが年をまたいで行われますが、『風神界逅』『雷神創世』の楽曲を完全に振り分けたライヴになるということですか?
瞬火:ということです。陰陽座がアルバムを引っ提げるということは、そのツアーでは新しいアルバムの曲がほぼすべて演奏されるということですから、それを2枚分まとめてやってしまうと、24曲の新曲を演奏してその日のライヴは終わり、ということになってしまいますからね。それはいかんでしょう。
――いや、それもいいと思いますよ(笑)。
瞬火:そういうのもたまにはいいかもしれませんが…いや、やっぱりいかんでしょう(笑)。まぁ、二つで一つの作品ではなく、独立した作品なんだという意味も込めて、1作1作をきっちり引っ提げて廻りたいなと。なので、ツアー・タイトルが、もうちょっと曖昧な言葉だと、どっちで何をやるかわからないじゃないですか。そこは明確にしておこうと。だからツアー<風神>に来る方は、ひとまず『風神界逅』しか予習しなくて大丈夫ですし、<雷神>のときは『風神界逅』のことは一旦忘れても大丈夫です。
黒猫:自分たちとしてはホントに凄いアルバムが2枚もできて、すごく嬉しいので、そのままのテンションで臨みたいですね。やっぱり陰陽座の醍醐味というか、楽曲はライヴでやって真の完成を見るみたいなところがあるので、ぜひそんなところを、ファンのみなさんにも観ていただきたいし、一緒に担っていただきたい気持ちですね。すごく楽しみです。
取材・文●土屋京輔
11th Album『風神界逅』
KICS-3104 定価¥2,870+税
初回特典:特製スリーブ・ケース、カラーフォトブックレット封入
1.風神
2.神風
3.然れど偽りの送り火
4.一目連
5.蛇蠱
6.飆
7.無風忍法帖
8.八百比丘尼
9.眼指
10.雲は龍に舞い、風は鳳に歌う
11.故に其の疾きこと風の如く
12.春爛漫に式の舞う也
12th Album『雷神創世』
KICS-3105 定価¥2,870+税
初回特典:特製スリーブ・ケース、カラーフォトブックレット封入
1.雷神
2.天獄の厳霊
3.千早振る
4.人首丸
5.夜歩き骨牡丹
6.神鳴忍法帖
7.天狗笑い
8.青天の三日月
9.累
10.蜩
11.而して動くこと雷霆の如し
12.雷舞
<全国ツアー2014『風神』>
11月9日(日) 川崎 CLUB CITTA'
[問]ディスクガレージ 050-5533-0888
11月13日(木) 仙台 Rensa
[問]キョードー東北 022-217-7788
11月17日(月) 札幌 PENNY LANE24
[問]ミュージックファン 011-208-7000
11月22日(土) 新潟 LOTS
[問]FOB新潟 025-229-5000
11月27日(木) 大阪 なんばHatch
[問]大阪ウドー音楽事務所 06-6341-4506
11月29日(土) 福岡 DRUM LOGOS
[問]GreeN Music 092-714-0230
12月1日(月) 広島 CLUB QUATTRO
[問]夢番地(広島) 082-249-3571
12月3日(水) 名古屋 DIAMOND HALL
[問]サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
12月7日(日) 東京 TOKYO DOME CITY HALL
[問]ディスクガレージ 050-5533-0888
<全国ツアー2015『雷神』>
1月24日(土) 川崎 CLUB CITTA'
[問]ディスクガレージ 050-5533-0888
1月27日(火) 新潟 LOTS
[問]FOB新潟 025-229-5000
1月31日(土) 札幌 PENNY LANE24
[問]ミュージックファン 011-208-7000
2月3日(火) 仙台 Rensa
[問]キョードー東北 022-217-7788
2月8日(日) 広島 CLUB QUATTRO
[問]夢番地(広島) 082-249-3571
2月11日(水) 大阪 なんばHatch
[問]大阪ウドー音楽事務所 06-6341-4506
2月14日(土) 福岡 DRUM LOGOS
[問]GreeN Music 092-714-0230
2月17日(火) 名古屋 DIAMOND HALL
[問]サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
2月22日(日) 東京 TOKYO DOME CITY HALL
[問]ディスクガレージ 050-5533-0888
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