【インタビュー】高中正義、『SUPER STUDIO LIVE!』に「誰にもできない自分の音というものを」
■今回は全部で10曲あって、8曲が35年前の再現
■新曲にはストラトも入ってるけど、昔のやつは全部SGです
──話を戻します(笑)。このスタジオ再現ライブの企画を聞いて、すぐに“いいな”と思ったんですか。
高中:というか、たとえば「BLUE LAGOON」のこのバージョンは、5~6年前に日比谷の野音でやってるのね。スタッフに言われて。個々の曲は、2013年や2012年も同じバンドでやってる。こうやって8曲まとめてこの順番で、35年前の再現としてはやってないけど。スタッフも、学生時代に聴いたこのバージョンが好きで、“ライブ・バージョンでお願いします”ってもう何年も前から言われて、やってることだから。だからまぁいいんじゃないかとは思ったけど、特に新しいアイディアというわけじゃない。この順番でやるのが初めてなだけで。
──曲間のつなぎとか、オリジナルを忠実に再現した上でちょっとひねりを入れたり。ニヤリ感もすごくあります。
高中:当時はミミちゃん(小林泉美)という女の子のキーボードが弾いていて、「BLUE LAGOON」でちょっと間違えてるの。ソリーナの音色でシンセを弾いてるんだけど、必要ないところでずーっと鳴ってる。今回はわざとそれを、同じように間違えてもらった(笑)。あと、イントロで僕がフレーズを間違えるんだけど、それも同じように(笑)。そんなひどい間違いじゃなくて、繰り返すところで一箇所だけ短絡しちゃったかな?ということなんだけど。
──やる以上は、とことん再現すると。
高中:だって、重箱の隅をつつくようなコアなファンは、そういうところを突いてくると思うから。ちゃんとやっとこうかなと(笑)。
──「READY TO FLY」のイントロの、さおだけ屋のフレーズもちゃんと入ってますし。あれ、当時からギャグなのか何なのかよくわからなかったんですけど。
高中:……ひどいよね(笑)。僕が学生だった頃、日比谷の野音かどこかにライブを見に行った時に、そこに出てたバンドに外人がいて、“ヤキイモー!”って怒鳴るんだよ。それが面白かったんで。
──元ネタはそれだった(笑)。
高中:僕も何かやったほうがいいのかな?って(笑)。あと、モップスが「月光仮面」をやってたのって、知らないかな。
──知ってます、もちろん。
高中:ブルースみたいにして、メロディを変えて。そういうのもあって……別にコミックバンドじゃないけどね(笑)。そういうアイディアって面白いじゃない。♪たけや~さおだけ~も、昔からある物売りの声をね。向こうにも「ピーナッツ・ベンダー」っていう曲があるんだから。♪ピ~ナ~ッツって言いながら、売り歩いてるわけで。それが日本だと、♪たけや~さおだけ~になる(笑)。今はそういう人、いないだろうけど。昔は鍋を直す人とか、よく道を通ってたから。
──厳密に言うと、機材も録音環境もまるで違いますよね、35年前とは。そういう面で、再現するのに何か苦労はありましたか。
高中:ギターは同じ。ブルーのSGは35年前と同じもので、今でも使ってる。アンプは、ジムケリーというアンプをロサンゼルスで特注で作って、JBLのスピーカーにしたものを使ってたんだけど、それはもうどこかに行っちゃった。で、探したんだけど、昔のフェンダー・ツインリバーブでJBLが入ってるのがあって、レンタル屋さんで借りて。アンプのヘッドはレクチファイヤーなんだけど、それにつないでます。昔のやつって、すごい硬い音してるのね。それが好きだというファンの声もあるから、今回も硬い音にして、少しは似てると思う。
──当時の高中さんのトレードマークでもあったSGは、その後もちょこちょこ触ってたんですか。
高中:いや、もう飽きて、何年も倉庫に眠ってたんですよ。ストラトに浮気していた時期も長かったんだけど、久しぶりにSGを引っ張り出して、フレットを打ち直して、修理をして。それからまた気に入って、ここ何年かは使ってる。
──どうですか。あらためて、SGの魅力とは?
高中:歪ませた時に音が伸びる、というのかな。ストラトはか細い感じで、どっちかというときれいな音で、コンプかけて、ハーフトーンを使ったほうが好きなんだけど。SGは、クリーンな音でもいいけど、歪ませて伸びる音で、力強い音が出るという意味では好きかな。今回は全部で10曲あって、8曲が35年前の再現で、2曲は新曲なんですよ。新曲にはストラトも入ってるけど、昔のやつは全部SGです。
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