【インタビュー】摩天楼オペラ、『AVALON』生々しいバンドサウンドと神々しいシンフォニアで織りなす“劇的ロック”

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■「天国の在る場所」は最初にサビのメロディが頭に浮かんだ時点で
■「喝采と激情のグロリア」を超えるアルバムのキーになる曲だと思った


 ▲『AVALON』
 ▲苑
 ▲Anzi
 ▲彩雨
 ▲燿
 ▲悠
――ま、判断はリスナーに任せるとして(笑)。 そこから「Jolly Rogerに杯を」への流れもいいですね。Jolly Roger=海賊旗ですから、まさしく海つながり。

苑:曲が凛々しい感じだったのと、「Stained Glass」からの流れで聴いていたので、引っ張られて海賊の歌詞になったんです。この曲からも、やっぱり海が見えたんで。

Anzi:勇ましい曲なんで、Aメロで苑と一緒に歌うクワイアも男声だけにしました。もともとは特に大きなイメージも無く、ふと降りてきたんでデモを作って聴かせたら、悠がいたく気に入ってくれたんですよね。

悠:これまたバイキングした曲で、「Stained Glass」と世界観がすごく似てるから、アルバムに入れないのはもったいないと思ったんですよ。今までのウチには無い曲で航海してる様が見えたから、それでインストと並べて収録したんです。ただ、BPM速いんでドラムはキツい!

――と、ここまでの曲では人生における大きな目標や生き方を歌っているのに対し、「クロスカウンターを狙え」はもっと日常感のあるロックチューンで、ライブでは拳の海が広がってゆく情景が目に浮かびます。

苑:そうですね。Aメロの“乾杯!!”を、ぜひ一緒に叫んでほしい。

彩雨:音源では5人で“乾杯!!”って言ってるんですよ。こういう掛け声って僕ら昔からやってるんですけど、「蜘蛛の糸」の“HEY!!”で「昔より上手くなったね」ってエンジニアさんに言われたので、その成長を聴いてほしいです。

――その「蜘蛛の糸」は、春ツアーでも披露済みの恐ろしくアグレッシヴなナンバーですが、生々しいバンドサウンドと神々しいまでにシンフォニックな音が高密度に融合されていて、実に摩天楼オペラらしい作品だなと。

彩雨:ま、そこはウチが得意とするところですからね。単純に皆で“HEY!!”って叫びたいがために作った曲で、最終的には冒頭からサビから予想以上に“HEY!!”が満載の曲になりました(笑)。

悠:テンポも上がったもんね。当時Anziくんがパンテラを、僕がメガデスを聴いていた時期だったんで、ドラムのフィルインとか完全にオマージュになってる(笑)。ただ、もう“やったれ!”みたいな勢い満点の曲なんで、あらかじめライブで叩いておいて良かったなと。

苑:サビの終わりの“膨らませろよ”のところとか、声を張ったときにレコーディングでもライブみたいに喉が鳴るようになってきたところも気に入ってますね。

――ちなみに冒頭部分がラジオエディットになっているのは、「蜘蛛の糸」の逸話にちなんで、穴の奥底から聴こえてくるような効果を出したかったから?

Anzi:そう言ったほうがカッコいいんですけど……リフに入ったときにドーン!とインパクトを出したかったからです(笑)。

彩雨:あとはライブ音源を使いたかったんですよね。それで全会場録音してもらって、結果的に4月10日の渋谷AXの音源を入れさせてもらいました。

――なるほど! そんな蜘蛛の糸を自力で登ってくるような力強さから、温かくも悲しいバラード「友に捧ぐ鎮魂歌」へと繋がる振り幅も凄い。

Anzi:これは曲の中で場面が幾つも入れ替わるという意味で、完全に“劇的ロック”に沿って作った曲ですね。で、なぜか作ったときに鎮魂歌っぽさを感じたんで、それを苑に伝えたところ、非常にリアリティのあるものを書いてくれました。

苑:昔、共に音楽を学んでいた友に向けて書いた曲ですね。サウンド的には頭のアルペジオが良い。クリーントーンじゃなく、あえてクランチにしているところが。

――そしてバラードシングル「Orb」(2013年12月発売)を挟んで、ラストを飾る「天国の在る場所」が、とにかく素晴らしい! 壮大なオーケストレーション、力強いクワイア、胸打つメロディ、重厚な演奏、渾身の歌声と、とにかく“凄い曲”としか形容できません。

苑:最初にサビのメロディが頭に浮かんだ時点で、自分でも“コレは最後の曲だな”と思いましたね。完全に「喝采と激情のグロリア」を超える、今回のアルバムのキーになる曲だったので。

悠:2013年末のライブMCでも「神曲が自分の中であるから」って、メンバーに聴かせるより前に宣言してたんですよ。前回の「喝采と激情のグロリア」もそうでしたけど、苑がそう言って持ってくる曲って、聴けば一発で納得できるんですよね。

――それだけの神曲だからこそ、アレンジにも力が入ったのでは?

彩雨:そうですね。例えばサビの裏で鳴ってるストリングスのフレーズも、3回全部違うんですよ。それぞれの展開に合わせてキーボードも変わっていくから、よりダイナミックに聴こえるだろうし、サビもハーフにしたり高速ビートで聴かせたりと多種多様なので、覚えるのが大変そうです(笑)。

燿:自分もアレンジ的には一番考えた曲ですね。パーツが多いぶん凝りたくて、全編通して歌うようなフレーズを心がけた上、同じフレーズはあまり入れてない。

Anzi:逆に俺は壮大な曲のときって、細かいのを入れたくないタイプだから、ギター云々というよりもバンド単位、作品トータルでのクオリティを一番に考えました。

――おかげで6分を超える曲なのに、まったく長さを感じませんでした。

悠:そうなんですよ。いかに長く聴かせないか?というのは意識したところで、苑と話し合いながらビートチェンジを入れたり、彩雨も言っていたようにサビの聴こえ方を全部変えたり、ドラムもホントに休みがない! 苑やAnziのオーダーに応えて随所にフィルを入れていった結果、これだけ長いのに休みが無い曲っていうのも初めてじゃないかと。でも、そういうメンバーからのインプットは有り難いですね。よりドラマティックになりますから。

――歌詞的にも、この曲には苑さんの訴えたいメッセージが集約されていますよね。

苑:言ってみれば、この“AVALON”というコンセプトの答えみたいな感じですね。最初に話した通り、一番楽しくて癒される世界は死後じゃなく、今、生きている此処にある。それに一人ひとりが気づけたら争いも生まれないだろうし、みんなが讃え合って生きられる世界になると思うんですよね。

――歌詞にもありますが、今、この時代に共に生まれ合わせているだけでも奇跡的なことですものね。さらに、後の世へと繋いでいこうという想いを綴った2サビには、これから生まれる我が子への想いを描いた「Orb」と通じるものを感じました。

苑:まさに、その部分は「Orb」を書いたからこそ出てきたものなんですよ。自分がいなくなっても世界は続いていくんだっていうことに、「Orb」を書いてから目を向けられるようになったんです。

――それって、自分たちがいなくなっても音楽は残ると歌った『喝采と激情のグロリア』にも重なりません?

苑:そうですね。やっぱり素直に今の気持ちを歌っているので、必然的にこれまでやってきたこと、経験してきたことが出てしまうんでしょうね。

――歌にせよ音楽にせよ、これまで培ってきたものの集大成とも言えるこの曲が、ツアーファイナルの日比谷野外音楽堂で演奏されるのを想像しただけで震えます。

苑:もう、だいぶ僕もイメージしてます。夜空の下でこの曲を歌う情景が。ぜひ、満月が欲しい!

悠:とはいえ毎回言っているように、僕らは1本目からファイナルのつもりなんで。確かに野音は初めて立つ会場で、今までのワンマンで一番デカい会場ではありますけど、そこで終わりじゃないし集大成でもない。各会場で出来ることを最大限やることには変わりなくて、ただ、野音はそのキャパシティが大きくなるというだけ。だから特に気負わず、今後の摩天楼オペラを期待させるライブをするので、ぜひ遊びに来てください。

彩雨:16本の中には青森のように初めて行く場所、久々に行く場所、初めてワンマンをやる会場もあるんですよ。それだけ初めて観る人が多くなるということは、摩天楼オペラのことを知ってもらえる良いチャンスだなと思うので楽しみです。

燿:しかも、今回は結構日程が詰まっているから、1ヶ月弱ツアーに出っぱなしなんです。言ってみれば本当に旅なんで、移動も含めて全部楽しみたいですね。あとはホテル暮らしが多くなるので、この機会に筋トレを頑張ろうかなと。最近ちょっとサボっていたので(笑)。

Anzi:まぁ、俺がスゴいっていうことを16回、見せつけたいですね(笑)。

――期待してます(笑)。では、最後に苑さんから。

苑:この『AVALON』でコンセプトにしている今の場所を楽しむこと、今の自分を肯定することを、全ての会場で提示していきたいですね。オーディエンスが楽しんだり、感動できたり、それによって癒されたり。そんなライブの空間作りをして、各会場を僕たちが“AVALON”にしてみせます。

取材・文●清水素子


3rd Album『AVALON』
2014年9月3日発売
KICS-3098 ¥2,593+税 CD Only
【収録内容】
1. journey to AVALON
2. 天国の扉
3. 隣に座る太陽
4. 輝きは閃光のように
5. 3時間
6. Stained Glass
7. Jolly Rogerに杯を
8. クロスカウンターを狙え
9. 蜘蛛の糸
10. 友に捧ぐ鎮魂歌
11. Orb
12. 天国の在る場所
※M-1 journey to AVALONは伊藤賢治との共作
【初回プレス盤のみ】
・小林智美 書き下ろしイラスト外箱付き
・アナザージャケット1種ランダム封入(全5種/メンバーソロ写真仕様)
・7月23日発売New Single「隣に座る太陽」との2作連動プレゼントキャンペーン応募券封入

<全国ツアー『AVALON TOUR』>
2014/9/17(水) TSUTAYA O-EAST
[問]DISK GARAGE 050-5533-0888

2014/9/19(金) 金沢AZ
[問]キョードー北陸チケットセンター 025-245-5100

2014/9/20(土) 新潟 Live Hall GOLDEN PIGGS RED STAGE
[問]キョードー北陸チケットセンター 025-245-5100

2014/9/23(火) 札幌 KRAPS HALL
[問]WESS 011-614-9999

2014/9/25(木) 青森 QUARTER
[問]ニュース・プロモーション 022-266-7555

2014/9/27(木) 盛岡 Club Change WAVE
[問]ニュース・プロモーション 022-266-7555

2014/9/28(日) 仙台 darwin
[問]ニュース・プロモーション 022-266-7555

2014/9/30(火) 大阪 BIGCAT
[問]キョードーインフォメーション 06-7732-8888

2014/10/2(木) 広島ナミキジャンクション
[問]夢番地広島 082-249-3571

2014/10/4(土) 熊本 Be-9 V2
[問]BEA 092-712-4221

2014/10/5(日) 福岡DRUM Be-1
[問]BEA 092-712-4221

2014/10/7(火) 松山サロンキティ
[問]DUKE松山 089-947-3535

2014/10/9(木) 神戸 VARIT.
[問]キョードーインフォメーション 06-7732-8888

2014/10/11(土) 京都 磔磔
[問]キョードーインフォメーション 06-7732-8888

2014/10/13(月) 名古屋 BOTTOM LINE
[問]ズームエンタープライズ 052-290-0909

2014/10/18(土) 日比谷野外大音楽堂
[問]DISK GARAGE 050-5533-0888

◆摩天楼オペラ オフィシャル・サイト◆BARKS ヴィジュアル系 V-ROCK
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