大阪桐蔭を優勝に導いた、「アルプス・キダ・タロー」って?
第96回全国高校野球選手権大会でみごと優勝を果たしたのは大阪代表の大阪桐蔭高校だった。もちろん勝因は選手ひとりひとりの力に他ならないが、実は吹奏楽部が演奏すると大勝利に繋がるという縁起のいい曲があった。
◆大阪桐蔭高等学校吹奏楽部、キダ・タロー画像
その曲こそが「アルプス・キダ・タロー」だ。浪速のモーツァルトことキダ・タローが大阪桐蔭高校に書き下ろした応援曲で、ネットでは「さすがキダ先生」「応援曲史上最高!」「来年みんな演奏しそう」「これには脱帽(?!)」といった絶賛コメントが溢れ、今や「神曲」と呼ばれている状況だ。
もともと「アルプス・キダ・タロー」は、大阪桐蔭高等学校吹奏楽部が演奏した高校野球の応援曲を集めたCD『ブラバン!甲子園 U18-WEST』の中に収められた1曲だが、同校でのレコーディングに際し、大阪らしさを出したいとキダ・タローに作曲を依頼し誕生した楽曲だった。通算作曲数2000曲を越えるというキダ・タローにとっても初めての高校野球の応援曲だ。
とはいえ、当初は甲子園で演奏するには戸惑いもあったのだとか。レトロな昭和の雰囲気を感じさせる勇壮なマーチで、紛れも無くキダ・メロディだが、テンポが若干ゆったりとしており攻撃時のヒッティング・マーチには不向きか?とも感じられたからだ。なにより同校のブラバン・スタイルは、選手のリクエストで各々の応援曲が決められていたという事情もあり、実際のところ「アルプス・キダ・タロー」は1回戦、2回戦では演奏する機会を失っていた。
初めて演奏されたのは3回戦の八頭高校との試合で、5点リードの5回表2死の場面だった。このとき打者は凡退したものの次のイニングで追加点が入り、続く6回表2死の場面でも凡退はしたが、その後4点が入るビッグイニングへと繋がり10-0と大勝を果たしている。
次に演奏されたのは5回戦に当たる準決勝の敦賀気比との試合だ。この日は3回演奏され野球部は15点を入れた。大阪桐蔭高校が二桁得点をあげたのはこの2試合で、いずれも「アルプス・キダ・タロー」が演奏された日だ。どうやら1回演奏すると5点入る計算になる。これを「神曲」と言わずしてなんといおうか。
8月25日に行われた決勝戦では、7回裏無死、青柳選手のバッターボックス、スコアは2-3と今大会初のビハインド場面で「アルプス・キダ・タロー」は演奏された。結果、フォアボールを選んで逆転の足がかりが生まれることになる。神曲パワー恐るべし。
この神がかり的な効果に、キダ・タローは「あの曲を演奏して勝たんとおかしいですわ」と自信満々だ。何でも作曲した時に、優勝するよう特別なおまじないを封じ込んでおいたらしい。決勝戦では4-3と僅差だったが「2月に作ったから、時間が経つとおなじないも薄れるんや!僅差でも大量点差でも、勝ちは勝ちやで!」とうそぶく。
何はともあれ、「アルプス・キダ・タロー」が大阪桐蔭高校優勝をアシストしたのは間違いないところ。今や優勝請負人とも言われるキダ・タローに、「阪神タイガースにも書いて欲しい!」といったコメントも寄せられている。2015年の甲子園では「アルプス・キダ・タロー」を演奏する高校が続出するかもしれない。おまじないの賞味期限はいつまでなのだろうか。
◆ブラバン!甲子園公式オフィシャルサイト