オーラル、フレデリック、LAMP IN TERRENに続け!<MASH FIGHT! Vol2.5> 決勝シード権獲得はshimmer&東京パピーズ

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音楽雑誌「MUSICA」、flumpoolやONE OK ROCKなどが在籍する「A-Sketch」、音楽専門チャンネル「SPACE SHOWER TV」、サカナクションや系列会社にBUMP OF CHICKENが在籍する「HIP LAND MUISC」の4社によるオーディション&育成プロジェクト「MASH A&R」。その3年目のオーディションのセミファイナルイベントである<MASH FIGHT! Vol2.5――夏のセミファイナル!>が、8月18日に大阪 心斎橋Music Club Janus、8月21日に東京 新代田LIVE HOUSE FEVERで開催された。

◆<MASH FIGHT! Vol2.5――夏のセミファイナル!>画像

このイベントは、11月24日に渋谷WWWで開催されるファイナルオーディションへの出場権を争う公開ライヴ型のオーディションで、大阪、東京各公演にオーディションバンド3組にMASH A&R所属アーティストのTHE ORAL CIGARETTES、フレデリック、LAMP IN TERRENを加えた計6組による熱いライヴが繰り広げられた。

  ◆  ◆  ◆

 ▲the ULTRALEA

 ▲ARKS

 ▲shimmer

まず8月18日に行われたのはセミファイナル大阪編。2013年に続いてMCの飯室大吾によってイベントの開催が告げられると、まずステージに登場したのは、滋賀を中心に活動する4ピースバンド、the ULTRALEA。トップバッターとしての緊張感からか、平均年齢20歳強という若さからか、正直演奏は少しカタめ。だが、メンバーの表情は満面の笑みで、まだあたたまり切っていない会場でなんとかお客さんの気持ちを掴もうとする意気込みが感じられた。メロディと歌詞の親しみやすさに確かなポテンシャルを感じることができるライヴだった。

続いて登場したのは、地元大阪で活躍するARKS。この日のライヴでは紅一点となる吉田明日香のヴォーカルがとにかく印象的で、小柄な身体からは想像できないパワフルさとガーリーな歌声のギャップに驚かされた。歌に寄り添ったシンプルな3ピースのアンサンブル、同じフレーズのリフレインによって甘酸っぱいセンチメンタルが増幅。15分という短い時間だったが、ライヴが終わってもそのキャッチーさは耳に残って離れなかった。

オーディションアクト最後の登場となったのは、こちらも滋賀を拠点に活動しているバンドshimmer。厳かなストリングスの音色が会場を満たしたかと思った次の瞬間、一気にバンドの轟音がその静寂を切り裂いていく。メリハリの効いたSyomaのヴォーカルにエモーショナルなサウンドとコーラスが重なるそのサウンドは、王道的ではあるものの完成度が高く、均整も取れている。オーディションの挑戦者としてというよりも、あくまで対バンのひとつとして、よくも悪くも、不遜で自信に満ちた姿勢を貫いていたのも頼もしさが感じられた。

オーディション3組が終わると、会場内ではお客さんによる審査が開始。事前に配られた投票用紙に、各々がライヴを観て一番よかったと思ったアーティストへ投票、その結果がMASH A&R審査員による最終審査にも反映されるというのだ。普段からバンドを応援している人たち、このライヴで初めて観た人達、オーディションのことなど知らずにゲストバンド目当てに来た人達……様々なお客さんがいたが、自分の一票が実際にアーティストやMASH A&Rプロジェクトの将来を決めるとあって投票ボックスにも長蛇の列ができ上がった。また2013年に引き続き、今年も審査投票に協力してくれた人には、ランダムで缶バッヂのプレゼントが。嬉しい演出に昂奮を隠せないお客さんも多数いた。

 ▲LAMP IN TERREN

 ▲フレデリック

 ▲THE ORAL CIGARETTES

ゲストアクト1組目は、2013年度のMASH FIGHTで2代目グランプリに輝いたLAMP IN TERREN。6月に初の全国流通盤『PORTAL HEART』をリリースした彼らだが、まだ会場にはその存在を知らない人達もちらほらいた中で、ひと言ひと言をしっかりと伝えようと気迫のこもったライヴを展開する。叫ぶような、それでいて暖かく包み込むような松本大の歌声、その歌のグルーヴにリズム隊のふたりがぴったりとついていく鉄壁のアンサンブル。オーディションもイベントも関係なく、ただこの一瞬一瞬を刻みつけ、その先に素晴らしい光を見つけようと、フロアをその歌声が呑み込んでいった。

続いてステージに上がったのは、2012年度の審査員特別賞を受賞したフレデリック。お馴染みのSE「パパマーチ」で登場すると、静かに狂気を研ぎ澄ませる「峠の幽霊」で幕を開ける。ひとり遊びに耽るような、どこか背徳感と愉しみが一体となった中毒性は曲を重ねるごとに増していった。最終曲には、9月にリリースするメジャーデビュー作『oddloop』から新曲「オドループ」を披露。早いBPMとどこか間の抜けたギターリフの繰り返しに、フロアの熱も一気に加速する。瞬発力と速効的なキャッチーさも持ち合わせたバンドがさらなるポジションに立ったことを確信させてくれたライヴだった。

この日のトリを務めたのは、MASH FIGHTの初代グランプリを獲得したTHE ORAL CIGARETTESだ。この夏、各地のフェスやイベントで“BKW(番狂わせ)”を合言葉に快進撃を続けており、この日のライヴにもその自信と余裕が表れていた。「大魔王参上」や「Mr.ファントム」といった楽曲もさることながら、MCや立ち振る舞いも含めた先輩バンドとしての格、それは、2013年のこのイベントでアルカラが見せたイジリや遊び心への返答でもあったのだろう。夢に燃える若いバンドやお客さんに対して、煽りながら熱いエールを送り、その強い攻撃力にJANUSの床が文字通り揺れていた。MASH A&Rを引っ張っていく気概と彼ら自身の野望が見事に輝いた夜だった。

全6アクトの終了後、いよいよセミファイナルオーディションの結果発表へ。MASH A&R審査員である鹿野淳氏によって告げられたのは、shimmer。年齢的にもキャリア的にも若く、可能性に満ちたバンドばかりが出演したこの日のオーディションで、楽曲と演奏の完成度が最も高かったshimmerが、11月の決勝ではどのようなライヴを見せてくれるのか。楽しみだ。

Photo by 渡邉一生


◆<MASH FIGHT! Vol2.5――夏のセミファイナル!>8月21日/東京編 レポート
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