【インタビュー】SLANG、結成26年目の更なる高み「俺がそれをチョイスをしてきたってこと」
SLANGが8月6日、7thオリジナルアルバム『Devastation in the void』をリリースする。前作『Glory Outshines Doom』より約2年ぶりのアルバムは、引き続きPIZZA OF DEATH RECORDSよりリリース。不条理な体制や理不尽な世の中を木っ端微塵に打ち砕くKOのボーカルスタイルは今作も健在だ。そして、そのサウンドはパワフルでエッジの効いたもの。怒り、悲しみ、すべての感情が強靭かつ凶暴な音の塊となって響きわたる。
◆「Scum」ミュージックビデオ
SLANGは『Glory Outshines Doom』リリース以降、<AIR JAM 2012>、<COMIN' KOBE>、<京都大作戦>といった大型フェスを席巻するなど、ハードコアの可能性を広げる快進撃を続けてきた。止まることなく高みを目指すアティチュードの源泉と、新たな試みに挑戦したというレコーディングに焦点を当てて、KOに話を訊いた。
■楽曲も歌詞もなるべく広げたいなというのは常にある
■なんだかんだ言って、SLANGっぽさにメンバーもこだわるっていうか
──前作『Glory Outshines Doom』は東日本大震災とも密接に絡んだドキュメント性の強い重厚な作品でしたが、2年ぶりのニュー・アルバム『Devastation In The Void』はアグレッシヴでエネルギッシュな作品となっています。前作から、今作への流れのなかで、こういうアルバムにしようかというイメージなどはあったんですか。
KO:コンパクトな12インチLPぐらいの尺がいいみたいなのはあったかな。何回も繰り返して聴けるくらいシンプルにしたいという。最初は9曲くらいにしようぜって言ってたんですけど、結果11曲になったんですね。16~17くらい曲を作って、プリプロして、そこから結構削っていったんだけど、結果的に当初考えてた曲数より増えちゃったかな。
──そもそもSLANGでの曲作りはどのように?
KO:今回はメンバーの曲が何曲か入ってるんですけど、うちは基本的にほぼ決まったものをスタジオに持っていく感じですね。一個のフレーズからスタジオでみんなで組み立てていくみたいなことはやらない。決まらないので、俺たちの場合。
──決まらないですか(笑)。
KO:そう、進まない。空気悪くなっていくだけなので(笑)。
──この熱量の高さは、バンドでセッションしながら作り上げていくものなのかと思ってました。
KO:セッションで作ると、どうしようってなったら沈黙時間が長くなるじゃないですか。そういうのがもういやだから、曲は基本的にほぼ決まりな状態で持っていって。まあ、頭とケツだけどうしようっていうのはありますけど。
──では、それぞれの曲作りの段階で、旋律とかテンポやリズム、フレーズやサウンドっていうのは完成形がみえているんですね。
KO:ある程度はそうかな。俺は気が向いたときに、楽曲のネタだけ録りためておくんですよ。で、すぐに仕上げた方がいいと思ったときは、スタジオに持っていって仕上げるし。そうじゃないときは、ネタとしてずっと置いておく。他のメンバーはまた違うと思うけど。7~8年くらい俺はそうやっているかな。
──SLANGの場合はっきりとしたステートメントがあるので、どうしても歌詞やメッセージに目がいきがちですが、楽曲的にもサウンド的にも型にはまらずいろんなことをやるバンドですよね。
KO:楽曲も歌詞もなるべく広げたいなというのは常にあるんですよ。俺の場合は、どんなものでも思いついたら録る。こういうのもありだなってその場は思っても、やっぱ違うって何年も眠ってる曲のアイデアもたくさんあるし。なんだかんだ言って、SLANGっぽさにメンバーもこだわるっていうか。こういうの録ってみたいって試そうとしても、「いや、これは……」って言われるときもたまにあるからね。
──今作はどうでしたか? SLANGのスタンダード的な楽曲も多く感じられましたが。
KO:今回は直球系でいこうっていうのが最初からあったので。それプラスちょっと新境地的なものもありっていう。もしかしたらそういうチャレンジ的な曲がほとんど外れちゃったのかな。プリプロでは録ったけど、これ入れちゃうとまたアルバムの空気が変わっちゃうなって外した5~6曲くらいがたぶんそんな感じで。
──より直球でコンパクトな尺の作品に向かったのはなぜだったんでしょう。
KO:好きなんじゃないですか、メンバーみんな(笑)。KIYOさんも言ってたもんなあ、「人間って、そんな集中力とか持たなくなるんじゃん」みたいな。そのわりにKIYOさんがギター&ボーカルをやってるバンドSILVER BACKはやたら1曲が長いですけどね(笑)。
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