【インタビュー】山崎あおい「君だけが私を幸せにできるということだけじゃなく君だけが私を不幸にできるんだ」
2013年の夏は「夏海」で、恋に憧れる女子一人きりの夏を唄った山崎あおいが、2014年もキュンと震えるような夏ソング「スクランブル」を8月6日にリリース。一年の成長を経て、今作では運命の出会いについての真理を唄う。「出会いはたくさんあるのに、運命の人とはなかなか出会えない」という多くの人が抱える出会いの不思議。そんな、彼女ならではの視点で描いた今作について語ってもらった。
◆山崎あおい〜拡大画像〜
■出会いはどこにでも転がっているのに
■なかなか運命の人には出会えないのが不思議
▲「スクランブル」初回限定盤 |
▲「スクランブル」通常盤 |
山崎あおい(以下、山崎):最初のイメージは、一行目の歌詞にもありますけど、「線路越しに人が立つ」っていうところからなんです。ホームに立っていると、線路越しに向い側にいる人が見えて。そこで向い側のホームまで行って、見えていた人に「こんにちは!」って言えば、それはもう出会いですよね。怪しい出会いではあるんですけど(笑)、何かしらの関係性は始まるわけで。渋谷の交差点でも、すれ違った一人一人に「こんにちは!」「こんにちは!」って行って歩けば出会いなわけで。それくらいたくさん出会いは転がっているのに、運命のものとか、運命の人に出会うことはなかなかないなと思ったんです。それが最初の一行のそのままっていう感じです。
──渋谷の交差点だけで、多いときで一回に3000人くらい渡るらしいですからね。電車に乗り合わせても出会いだし、それなのに、確かに運命の人に出会う確率は少ない。
山崎:そうなんですよ。2013年も雪で電車が止まっちゃって、同じく帰る手段がない見知らぬ5〜6人でタクシーを捕まえて、電車が動いている近くの駅まで行くっていう出会いがあったんですけど、そういう風に出会いはどこにでも転がっているんですよね。でも、どうして、「君じゃなきゃいけない」っていう人とはなかなか出会えないのかなって。不思議なことに。
──出会いについての真理だけでなく、この曲のもう一つの肝は、運命の人とは自分を幸せにも不幸にもできる人だというところですね。
山崎:そうですね。この曲を作っていたのって、ちょうど春のワンマンライヴが終わった頃。私は唄っているときがすごく幸せだなぁって感じたんですが、だからと言って、私にとっての幸せはそれだけではなく、美味しいものを食べているときや好きなテレビを見ている時も感じるわけです。だから、幸せにしてくれるものだけが運命的なものなわけではないんだなって思って。逆に、それがなければ不幸だと思うくらいのものは、運命的なんじゃないかなと。君だけが私を幸せにできるということだけじゃなく、君だけが私を不幸にできるから、幸せにもしてくれてるというのが本当の順序なんじゃないかと思って。それを自分なりにまとめて曲にしたいと思ったんです。
──山崎さんはそこに気付いてしまったんですね。
山崎:気付いちゃいました(笑)。
──しかもこの曲には、片思い的なストーリーも感じます。物語の中に恋愛哲学を織り込んであって、そこにキュンとします。
山崎:早く好きって言ってくれたらいいのにっていう、もどかしくもファンタジーな部分もありつつ、現実に立ってみると友達未満っていう時期の曲なんです。
──相変わらず両思いではなく、片思い……。
山崎:ふふふ(笑)。私自身も、シンガーソングライターとして恋はしたいんですけど、失恋するために恋をしたいという感じで(笑)。ちょっと足りていないくらいのほうがいろいろ感じることが多いんです。まぁ、恋もしてないのでわからないんですけど。恋したらまたわかることも増えるかも(笑)。
──恋愛としては、山崎さんにはまだ運命の出会いがないからこの曲ができたのかな?
山崎:それも一つはあったと思います。でも一方で、音楽とは運命的な出会いをしているんです。きっかけは「タイヨウのうた」っていう映画だったんですが、その映画と出会ったことで音楽を始めて、今こうして唄っているわけで。それがなかったら、中学生、高校生時代の過ごし方も違っていたと思いますし、今の大学にも通ってなかった。人としての人生を考えると、これからどういう人と出会って結婚するのかな?って、なんとなく考えはじめる年齢でもあるんです。そう思ったときに「運命の出会いって?」ってグルグル考え始めて。今って、運命的な出会いにおける思春期ステージと、運命の人と出会って結婚する前のステージの狭間にいて、だからこそ書けたのかなって思います。
──なるほど。大学生っていうのも大人と子供の狭間な感じでもあるしね。一方で、結婚して子供を持つ友人も出て来たり。
山崎:そうなんですよ。就職活動を始める友人もちらほらいたりして。周りの子たちの中には、そうやって会社を決めて、一生働いて行く仕事を探し始めているんですよね。私は音楽をやりながら、周りがそうやって、人生の何かを決定していく過程を見ているからこそ、自分は3年後何をやっているのかな?とか、思うんです。
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