【インタビュー】山崎まさよし、食卓の温かさをサウンドに込めた「ボンカレー」のコラボレーションソングがダウンロード開始
山崎まさよしが大塚食品とコラボレーション。日本初のレトルト食品「ボンカレー」のイメージ映像に楽曲を提供した。この映像は大塚食品のホームページにて閲覧可能。既存のCMとは一線を画す2分超のショートムービーのような丁寧な作り。山崎が書き下ろした楽曲は「働く女性を応援する」というテーマで作られており、映像の内容ともピッタリはまっている。この楽曲について、山崎自身に話を聞いた。
──今回の曲は、ボンカレーさんのサイトで視聴できる映像とのコラボレーションということですが、この依頼を受けたいきさつを聞かせてもらえますか?
山崎まさよし(以下、山崎):民放で流れるCMっていうのは、だいたいは15秒とか30秒じゃないですか。楽曲の使われ方にしても、短いだけに使われる部分のインパクトしかないわけです。今回、大塚食品さんがやりたかったことというのは、物語のあるPVのような映像を作り込みたいということだったので、その部分がうまく共鳴できるかなと思ったんです。それと、今までのレトルト食品のイメージを変えたいということも聞いて、すごくいいなと思って。
──映像自体も、山崎さんの楽曲が映画音楽のように寄り添ってますね。
山崎:そうですね。長いコマーシャルって、日本にはなかなかありませんでしたよね。最近はストーリー仕立てになっていたり、続編があったりっていうものも増えて来ましたけど、せいぜい長くても30秒。海外では、長いCMがあるんですよ。公共広告機構的な啓蒙目的のCMとかね。それをWeb上で展開するというのは、今の時代にも合ってますよね。
──楽曲自体は働く女性を応援するというテーマがあるそうですね。
山崎:近年、女性の社会進出が著しくなって、働く女性のイメージも昔と変わりましたよね。専業主婦だったとしても、かなりの労力ですからね。独身のときとは違って主婦になると子供と旦那さんが加わる。大変だろうなと。僕はだいたい家で仕事をしているんですが、家のすぐ近くに保育園があるので、迎えに来られる方を見てイメージを膨らませました。うちの奥さんも子育てしている女性ですし。
──「めくり忘れたカレンダー」「同窓会の知らせに答えられない」等、直接的な表現ではないのに、日々、忙しさに追われている女性の様子がにじみ出てますが、山崎さんの観察眼もすごいですね。
山崎:男性ですから、女性のことを知りたいですからね(笑)。結婚したらなおさらそうです。男のことっていうのはだいたいわかるけど、女性のことは理解しないといけない部分がたくさんありますから。この業界にも、スタジオに女性のアシスタントさんがいたり、僕のライヴの照明の方にも女性のスタッフがいるんですよ。だからできるだけ、女性に対しての失言はしないように気をつけています(笑)。
──山崎さんの女性への優しい目線も伝わる歌詞ですね。
山崎:きつい表現があまり得意じゃないですから。最近、女性向けのいろんなものが増えてますよね。雑誌に関しても女性向けって多いですけど、男性向けはどんどん減ってます。なんにせよ、働く女性も増えて、女性向けのお店やなんかが増えたところで、やっぱり女性にとっての住みにくさって変わっていないと思うんです。女性を誤解したまま今に至っている気もしますし。誤解の前に理解だったりするわけで。子育てしながら、働きながらっていう、女性がやるファクターって多いじゃないですか。ある程度の男側の理解が必要だったりするのかなぁって。でも、まだその途中のような気がします。だから、女性を応援するというより、女性を理解しようと思う気持ちが大切だと思うんです。
──曲は映像を見てから作られたんですか?
山崎:違うんですよ。最初に歌があって、それに映像をつけたんです。最初は、ボンカレーの「ボン」がフランス語なので、フレンチポップス的なものをやろうかなと思ってたんですが、打ち合わせをしたら、イメージが違うのかなと。絵コンテを最初にいただいたんですが、映像もシリアスなものですから、音楽で和むと見ている人は安心するかなぁと。曲は古き懐かしきポップス的なものにしようということで。
──聴いていると、夕方、家に帰るときによその家のキッチンから漂うカレーの匂いの懐かしい感じを思い出します。
山崎:あぁ……カレーって、香辛料がたくさん入ってるから、帰り道でも自分の家がカレーってわかってしまうんですよね。そういうちょっとした、漏れ香るようなものって、幸せを感じますよね。僕もカレーが好きでしたし。昔は作るのに時間がかかりましたから、時間をかけて何かやってもらえているっていう嬉しさもありました。晩ご飯って、子供にとっては大切なファクターですからね。
──そういう食卓の温かさもサウンドにこもってます。
山崎:あまり上手にならない感じがいいなぁと思ったんです。だから楽器もすべて僕が一人でやってるんです。本格的になりすぎないように。映像を邪魔しないような音で。サウンドトラックみたいなものになればいいなと一番思いましたし。
──上手になりすぎないというのは、手作り感を出したかった?
山崎:そうですね。生楽器は生楽器なんですけど、アンビエントでいいと思うんです。カレーの匂いじゃないですけど、この曲も匂いみたいになればいいなと。映像がほとんど台所での出来事なので、シンプルだけどルーム感を出したいなと思って。昔ね、キッチンミュージックっていうか、リヴィングや台所を利用して作るっていうのがちょっと流行ったんだけど、そういう感じが出たらいいかなと思って。部屋の鳴りを音に込めるっていうかね。
──山崎さんは、過去にもいろんなCMに楽曲が使われていますが、今回は今までと何か違いましたか?
山崎:こういうのは慣れてるかもしれませんね。すごくミニマムで、素朴なものに対しての音楽っていうことのほうが性に合ってるかもしれない。
──確かに、日常感が出るようなものは得意そうですね。
山崎:やっぱり音楽も日常から生まれますからね。身の丈を超えたものは表現しにくいんです。実際に自分が日頃触れ合ってるものや、思うことっていうのは放っておいてもにじみ出てくるから、そっちのほうが楽ですし。世界を作り込むより、ひょっとすると楽かもしれないですね。本人のスケールが小さいのかもしれないね(笑)。
──いやいや。それは違うと思います(笑)。
山崎:大きいことは唄えないんですよね。雲をつかむようなテーマとか。夢がどうとか。歯が浮くようなこともちょっと難しい。自分が立ってる場所だったり、自分の基盤がそこにあれば、大事なものはそこに隠れている気がするんです。まずは生活があって、問題があったり、良いことがあったり、その繰り返しだったりしますからね。いわゆる音楽で怒るのも、音楽に救われるのも、生活があって、そこからの怒りだったり、そもそもブルースがそういう音楽ですから。
──今回の曲もブルースと言えばブルースと言えますね。
山崎:そうですね。喜びとか愛情とか、形のないものですから。それは音楽も一緒なんです。音楽には形がないでしょ。僕にとって何か前向きになれる要素っていうのは、音にすることだから、ことさら手を取り合って夢を言う必要はない。もっと日常的なこと、カレーの匂いとか、梅干しが美味しいとか、セロリがダメだったりとか(笑)。そういうほうがホッとしますよね。
──アルバムは2013年リリースしたので、現在は、次の作品に向けてまた曲を書き溜める時期ですか?
山崎:それが溜まってないんですよ(笑)。最近はドラマや映画の主題歌とか今回のような楽曲を作るお仕事もあったりするので、そういうのが自然と溜まっていったらいいですね。まずはこの映像を見てみてください。
取材・文●大橋美貴子
●「コラボレーションソング 限定ダウンロードキャンペーン」
2014年7月8日(火)から、対象となるボンカレーゴルド甘口・中辛に付いているている対象シールのリアナンバーをキャンペーンサイトに入力すると、コラボレーションソングがダウロードできるキャンペーン
http://www.boncurry.jp/
対象商品
「ボンカレーゴールド <甘口>」
「ボンカレーゴールド <中辛>」
「ボンカレーゴールド <辛口>」
●スペシャルムービー WEB限定公開
ボンカレー スペシャルページ:http://www.boncurry.jp/special/
●スペシャルムービー
Youtube スペシャルムービー:http://youtu.be/qTQCM0OFvO0
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