【インタビュー】ふくろうず、『マジックモーメント』完成「結果的にほんとに3人で作ったアルバム」

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■個人個人の想像を超えたものが作れるのが良さなんじゃないかなって
■バンドっていうのは予定調和でないところが面白い

──そういうサウンド的なこともあって、「マーベラス!」のハイパーな感じって、言ってしまえばアニソンくらいの勢いがありますね。こういう曲はこれまでなかったですよね。

内田:全然なかったタイプだと思います。生身のドラムの人がいたらたぶん無理な曲なので。せっかくドラムがいないなら、いろんなジャンルの曲を作れるんじゃないかなって。もちろん、いい曲か悪い曲かはそれとは別の話なんですけど。最初に言ったみたいにドラムがいないなかでなにができるかなっていうのは、今回のテーマのひとつでした。全曲通じて、わりとチャレンジしましたね。

──ドラムがいないということが、よりポジティヴに働いているわけですね。

内田:やっぱりドラムがいるのに打ち込みをやったら、その人に悪いんですけど、最初から打ち込み志向みたいなところはありましたし、憧れもあったので、実際うまく働いたのかもしれないですね。

──内田さんの思う打ち込みの魅力というのは?

内田:高校生のときかな、打ち込みの曲を結構聴いていたので、やりたいなと漠然と思っていたんです。でもそのときは音楽はやってなかったし、自分で実際に打ち込みをやるっていうところまではいってなかったので、漠然とした憧れだけで終わっちゃっていた感じですね。

──実際にふくろうずがそういったソフトを使いはじめたのはいつごろだったんですか。

安西:自分たちでプリプロ音源を作ろうってなったときにDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)というか、ソフトを使い出して。そのときはまだMIDIではやってなかったんですけど。それきっかけで徐々にそういうソフトを使い出したという感じですね。プリプロでは2ndアルバム(『ごめんね』)のときから。そのときは単純にパラで一個一個の楽器を録りたかっただけで。『テレフォン No.1』くらいから打ち込みの要素が出てきたのかな。ただ、今回の打ち込みのドラムの感じとかに関しては、わりと満足というか。

──ちなみに打ち込みの曲っていうのは、アルバム全体の何割くらいですか?

内田:全部打ち込みです。

──えっ!? 全曲ですか。打ち込み感を押し出したものから生の質感が強いものまで、ドラムの音色はさまざまだったので、打ち込みも生も両方あるのかと思ってましたよ。そもそも『テレフォン No.1』はサポートドラマーを入れてたし。

内田:ふふふ(笑)。だから結果的に、ほんとに3人で作ったアルバムになりました。

安西:今までもデモは打ち込みで作っていたんですけど、実際に本番で打ち込みを使うってなったときに、もうちょっと、いいもの買っておこうかなっていうくらいの気持ちで、今回新しくハードもソフトも買ったんですよ。生ドラムっぽい曲もやりたいっていうときに、それに対応できるソフトがあったほうがいいかなって。逆に言うとさっきの「マーベラス!」は、購入する前のソフトで作ったデモの機械的な音が良かったりとか(笑)。結果、試行錯誤をしながら、良いものが作れたなと。

──なるほど。今回のアルバムにはシンセベースの曲も生ベースの曲も収録されていますよね。たとえば、「GINGA GO」「イージーカム・イージーゴー」はシンベですが、その振り分けは?

内田:さっき打ち込みへの憧れの話をしたじゃないですか。それってシンベもセットなんですね。

──ということはシンベの曲は、よりバンドとして打ち込み感を前面に出したかった曲ですか?

安西:そうですね、そのほうが合うかなっていう。打ち込みの要素を強めたドラムだったり、全体的なサウンドだったりする以上、俺はベーシストだから生でベースを弾きたいんだっていうことからも、ちょっと離れるというか。

──一方で、生のベースに関しては8ビートのルート弾きひとつ取っても気持ちよくて。そのうえ、リズムに対してジャストだけに終始してないところが、生ならではのものになっていますよね。

安西:ありがとうございます(笑)。「ベッドタウン」とかは8ビートのルートでも意図的に弾き方を変えてるんです。かなりリズムに対して後ろを意識して弾いたりはしましたね。

──今回のアルバムは、バンドとして各パートの姿勢がより柔軟に、よりこだわりに満ちた作り方になった結果の新機軸とも言えそうですね。とにかく満足いくところまで突き詰めることができたわけで。

内田:はい。「GINGA GO」が気に入ってます(笑)。

──このアルバムを作っていく上では、「GINGA GO」がまさにいいきっかけの曲、ひっぱっていく曲になったんですね。すごくノリのいい曲であるけれど、アルバムの入り口として不思議な世界に連れて行ってもくれます。

内田:そう思ってもらえたらうれしいです。

──曲作りについても訊きたいんですが、「夜の淵」などは街を歩きながら作った曲ということですが、内田さんが曲を書くときというのは、そんなふうに日常のなかで生まれることの多いですか。

内田:そうですね。家で楽器を持って作るっていうことが一回もないので。生活していくなかで。

──ふっと浮かぶような?

内田:そうです。そのことについてよく考えるんですけど、忘れちゃうんですよね、曲ができあがった頃には。最初どうだったかは、あまり覚えてなくて。最初にきっかけになるような思いつきみたいなものがあって、それがどれくらいの分量かはそのときによるんですけど。最初から最後まで一瞬で思いつくこともあるし、断片的なものが思いつくこともあるんです。

──楽器を使わないで作るから、口ずさめるようなメロディというのもあるんでしょうかね。そこにサウンドが組み合わさることでその口ずさめるキャッチーな曲が、また違う世界観を持って聞こえて、想像力が膨らむ感じになります。それがこのバンドの面白いところだし、突如違う世界に連れ立ってくれる感じがあるっていう。

内田:そうですね。できれば想像を超えたものができたほうが楽しいので。思いつきのものをスタジオに持って行って、その思いつきの時点と変わらないものができても、あまり面白くないなあと思ってます。バンドっていうのは個人個人の想像を超えたものが……3人なら3人で作れるのが、良さなんじゃないかなって思うんです。予定調和ではないところが面白い。

──内田さんの中のものだけでないということですね。

内田:偶然メンバーで合わせてできたものが、ふくろうずです、と言えるような形が理想ですね。

──作品を重ねてきて、これが自分たちらしさだなとか、他にはないだろうなって思うところも出てくると思いますが、現時点で、これが自分たちのバンドふくろうずだ、というものはありますか。

内田:この3人だというのは大きいし、それだけでやっていると思いますね。あとは、曲の振り幅があるので。演奏しているのが私たちですし、すごく演奏がうまいわけではないので、3人で合わせた独特の感じっていうのが、うちのバンドらしいと思います。

取材・文◎吉羽さおり




■ニューアルバム『マジックモーメント』
2014年6月18日(水)発売
【初回生産限定盤 CD+DVD】ESCL4218-4219 / 4,074円+税
【通常盤 CD】ESCL-4220 / 2,907円+税
1. GINGA GO
2. デスティニー
3. 夜の淵
4. ユアソング
5. テレビジョン
6. ドキドキ
7. マーベラス!
8. イージーカム・イージーゴー
9. 春の嵐
10. 37.3
11. ベッドタウン
12. 赤い糸
13. ハイブリッド レインボウ (ボーナス・トラック)
作詞/作曲:内田万里 編曲:ふくろうず ※13曲目を除く
<初回生産限定盤特典DVD>
◇Music Video
・できない
・マシュマロ
・ごめんね
・砂漠の流刑地
・カシオペア(DEMOバージョン)
・テレフォンNo.1
・37.3
・マーベラス!
◇テレフォンNo.1 Music Video メイキング(前編)
◇テレフォンNo.1 Music Video メイキング(後編)
◇砂漠の流刑地2014.3.14 北とぴあライブ
Approx. 42min.

■全国ツアー<マジックモーメントツアー>
6月19日(木)OPEN 18:30/ START 19:00
名古屋 CLUB QUATTRO
前売¥3,500(税込み・D代別) 一般発売日:4/26(土)
[問]ジェイルハウス 052-936-6041
6月21日(土)OPEN 18:30/ START 19:00
大阪 梅田Shangri-La
前売¥3,500(税込み・D代別) 一般発売日:4/26(土)
[問]清水温泉 06-6357-3666
6月27日(金)OPEN18:30 / START 19:00
広島ナミキジャンクション
前売¥3,500(税込み・D代別) 一般発売日:4/26(土)
[問]夢番地広島 082-249-3571
<the pillows 25th Anniversary NEVER ENDING STORY “ROCK AND SYMPATHY TOUR”>
6月29日(日)OPEN 17:00/ START 18:00
福岡DRUM LOGOS
出演:the pillows / ふくろうず and more...
前売り¥4,000 (税抜) / 当日¥4,500 (税抜)※ドリンク別 一般発売日:4/12(土)
※the pillows主催イベント
[問]キョードー西日本 092-714-0159
7月5日(土)OPEN 17:30/ START 18:00
仙台 HooK SENDAI
出演:アンテナ / ふくろうず
前売¥3,500(税込み・D代別) 一般発売日:5/24(土) ※ゲストバンドあり
[問]キョードー東北 022-217-7788
7月13日(日)OPEN 17:00/ START 17:30
札幌 COLONY
出演:ふくろうず and more...
前売¥3,500(税込み・D代別) 一般発売日:5/24(土)
※ゲストバンドあり
[問]WESS 011-614-9999
7月17日(木)OPEN 18:30/ START 19:00
京都 磔磔
前売¥3,500(税込み・D代別) 一般発売日:5/24(土)
[問]清水温泉 06-6357-3666
7月22日(火)OPEN 18:00/ START 19:00
東京 赤坂BLITZ
前売¥3,500(税込み・D代別) 一般発売日:5/24(土)
[問]HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999

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