BOSSのギター用マルチGTシリーズにデスクトップタイプの「GT-001」が登場、コンパクトボディ&多彩な機能で宅録に最適

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▲ノートパソコンとともにデスクに並べられるコンパクトなボディのGT-001。つまみやボタンは操作しやすいサイズ。
ローランドのBOSSブランドから、ギター用マルチ・エフェクターの新モデル「GT-001」(ジー・ティー・ダブルオー・ワン)が4月25日に発売された。マルチ・エフェクターというと複数のペダルやフットスイッチを備えたフロアタイプのごつい製品を思い浮かべる人も多いと思うが、本機はデスクトップタイプ。スタイリッシュで驚くほどコンパクトなボディに、同社のフラッグシップ・モデルの性能を凝縮。もちろんオーディオインターフェイス機能も搭載するので、家でギターの練習や録音をしたいという人にはもってこいのモデルとなっている。しかも価格は33,000円前後(税込)ととってもリーズナブル。今回はそんな「GT-001」の魅力をチェックする。

■びっくりするほどコンパクト、エフェクトのエディットもシンプル

「GT-001」という名称を聞いて、同社の「GT-100」を思い出す人も多いはず。「GT-100」は、ギター用マルチ・エフェクターの代名詞的存在、BOSSのGTシリーズのフラッグシップモデル。先ごろのバージョンアップで数々の機能を追加、「GT-100 Ver2.0」として生まれ変わっている(既存ユーザーには無償アップデートを提供)。今回登場した「GT-001」は、この「GT-100 Ver2.0」の性能をコンパクトなボディに凝縮、デスクトップでの使用に最適化したモデルと位置づけられる。ステージやスタジオでは「GT-100 Ver2.0」、ホームレコーディングには「GT-001」、といった具合に用途によって選択できるラインナップが揃ったことになる。「GT-100のサウンドは魅力だけど、置く場所がない」と購入をためらっていたギタリストにはうれしいモデルだ。


「GT-001」本体を目の前にしてまず感じるのはそのコンパクトさ。設置面積は211×135mmと、週刊誌の半分ほど。写真でイメージしていたものよりはるかに小さい。ペダルやフットスイッチがないとはいえ、ここまで小さくできるのかと驚かされるサイズだ。これなら使う場所を選ばない&置き場所に困ることはない。


▲表内の多彩なエフェクトモジュールを組み合わせて好みのパッチを作成する。パッチは200(ユーザー)+200(プリセット)を用意。
それでいて操作性が犠牲になっていないのも大きなポイント。操作パネルは傾斜がつけられており、液晶は見やすく、つまみも適度な大きさで操作しやすい。つまみやボタンは機能からすれば少なく感じるが、メニュー構成も練られており、さほど迷うこともない。基本は、EFFECTボタンを押して、液晶右のバリューつまみで項目を選択、ENTERボタンで設定値が表示されるので、あとは手前の4つのつまみで値を変更すればよい。つまみでダイレクトに変更できるのはハードウェアならでは。シンプルで直感的に操作できるという印象だ。

そのサウンドは「GT-100 Ver2.0」と全く同等で、多彩なエフェクトで思う存分音づくりが楽しめる。2系統のエフェクト・チェインにより2台のアンプが同時に使用できるので、凝ったセッティングもOK。「GT-100」から新たに追加されたものとしては、BognerのUberschall、OrangeのRockerverbの2種のモデリングアンプ、OVERTONE、TERA ECHO、A-DISTの3種のエフェクト、ロータリースピーカーのモデリングRotary2などが挙げられる。また、アコースティック・ギター・シミュレーターは胴鳴り感がより生っぽくなっている。

■パソコンでエディット可能、プロの作ったライブラリーも利用可能

パッチのエディットはパソコン用の専用エディター/ライブラリアンソフトウェア「BOSS TONE STUDIO」でも行える。パソコンの広い画面で細かい音色をグラフィカルにエディットでき、そのパッチや入れ替え・管理までサポート。複数のエフェクトモジュールの接続順も一目で把握できるので、初心者にこそ積極的に使ってほしいソフトウェアだ。


▲グラフィカルな画面でサウンドメイクができるBOSS TONE STUDIO。画面上に並ぶのは各エフェクトモジュール。ON/OFFもワンタッチ。


▲BOSS TONE CENTRALのウェブサイト。デモ音源、動画でそのサウンドをチェック。パッチはBOSS TONE STUDIOから利用する。
そして、もう1つ忘れてはならないのがウェブサイト「BOSS TONE CENTRAL」の存在。BOSSのマルチ・エフェクターやギター・プロセッサーの追加音色(ライブセット)を利用できるライブラリー・サービスだ。プロ・ミュージシャンが作成したスペシャル・パッチや憧れの名曲の音色がカンタンに、しかも無償でゲットできる。サウンドメイクはまだむずかしいという初心者はもちろん、上級者でも参考になるはず。

本稿執筆時点では、Steve Lukather、Randall Waller、Country Gold、Fernando Miyataをはじめ6つのパッチ・コレクションがGT-100 Ver2.0/GT-001用として用意されている。サウンドの試聴はもちろん、ライブラリーを作成したアーティストによる動画も公開されている。本体の機能とあわせて、これらもぜひチェックしてほしい。


■入出力も充実、マイク端子でボーカル録音も

入出力端子は、左側面が出力、右側面が入力と分けられているのがわかりやすいところ。左側面にはメイン出力(標準タイプ)とヘッドフォン出力(ステレオ・ミニ・タイプ)を用意。右側面は、マイク入力(XLR)、外部ペダルやフットスイッチを接続するCTL/EXP端子(TRS標準タイプ)、ギター入力(標準タイプ)、AUX入力を備える。

マイク入力はファンタム電源が供給できるので、コンデンサーマイクの利用も可能。ボーカルやアコースティックギターの録音もバッチリだ。ボーカル専用のエフェクト・パッチが用意されるのも重宝する。また、AUX入力はポータブルプレーヤーやスマートフォンをつなぐためのもの。パソコンをつなぐことなく、好きな曲とセッションが楽しめる。


▲左側面。写真左からメイン出力(L/MONO、R)、ヘッドフォン出力。


▲右側面。写真左から、AUX入力、ギター入力、CTL/EXP端子、マイク入力。


▲背面にはUSBとACアダプター用端子を配置。

■リアンプも柔軟に行えるオーディオ・インターフェイス機能

パソコンを使ったレコーディング環境としての実力も特筆すべきものだ。「GT-001」は、Windows/Mac対応のUSB接続のオーディオ・インターフェイスとして機能する。USB接続時にはバスパワーで動作するので、付属のACアダプターを使用する必要はないのもちょっとうれしいところ。パソコンでのレコーディング環境をより気軽に持ち出すことができる。


▲内部的にはPRIMARYとSECONDARYの2系統のUSBオーディオ出力を用意。PRIMARYはエフェクト音を出力、パソコンからのリターンは最終段階でギターの演奏にミックスされる。SECONDARYは本体の設定に関わらず常にドライ音を出力。ギター用に2トラック用意すればドライ/エフェクトを同時録音可能。アイディア次第でいろいろ使えるうれしい機能だ。
そして、最も注目したいのが内部的に2系統のオーディオが扱えるということ。「GT-001」をUSBで接続すると、パソコンからはステレオ2系統のオーディオ入出力を備えたインターフェイスとして見え、一方はエフェクトのかかった音(ウェット音)、もう一方はエフェクトなしの音(ドライ音)が同時に録音できるのだ。DAWでソフトウェアのアンプ・シミュレーターやエフェクターを使う際にもシンプルな操作で対応可能、「GT-001」本体とソフトウェアの音を聴き比べるということも容易に行える。

また、いったん録音したドライ音を「GT-001」のエフェクトを通して再生・録音することも可能。録音済みトラックを再生しつつ、「GT-001」のエフェクトパラメーターを調整してサウンドを作り込み、気に入った時点で再度それを録音すればいい。いわゆる「リアンプ」が手間なくできるのだ。ここで、伴奏の音を鳴らしながらギターのサウンドメイクができるのもポイント。なお、「GT-100」もVer2.0でこの2系統のオーディオ・インターフェイス機能が追加されている。

■ギター音をMIDI情報に変換、音符入力やシンセ演奏にも

エフェクターとしてもう1つ珍しい機能が「Guitar to MIDI変換」機能。GKシリーズのような専用のピックアップを装着することなく、ギター演奏をMIDI情報に変換できるのだ。単音のみの対応ではあるが、DAWソフトへの音符入力に活用することが可能。鍵盤が苦手、マウスで一音一音入力するのも面倒というギタリストには便利に使えるはず。また、ソフトウェア・シンセサイザーの演奏がギターでできるのも思いのほか楽しい。また、この機能により、ローランドが提供するフリーソフトウェア「Guitar Friend Jam」に対応するのも見逃せない。幅広いジャンルの曲が用意され、テクニックの採点や世界ランキングへの参加など、楽しみながらギター練習ができるのだ。

このほか、単体使用時の便利機能としては、チューナー、メトロノームも用意。先のAUX入力とあわせ、「GT-001」単体で多彩なサウンドで演奏が楽しめる。そして、さらにパソコンと組み合わせればより便利に、より幅広い活用が可能になる。宅録や練習はもちろん、コンパクトボディの機動性を生かして出先でもぜひ使っていきたいと思わせるモデルだ。まずは楽器店の店頭で、このサイズとサウンドをチェックしてほしい。


<おもな仕様>
AD変換:24ビット+AF方式 ※AF方式(Adaptive Focus method)はADコンバーターのSN比を飛躍的に向上させるローランド/ボス独自の方式。
DA変換:24ビット
サンプリング周波数:44.1kHz
パッチ:200(ユーザー)+200(プリセット)
規定入力レベル:GUITAR IN=-10dBu、MIC IN=-40dBu、AUX IN=-20dBu
入力インピーダンス:GUITAR IN=1MΩ、MIC IN=4kΩ、AUX IN=27kΩ
規定出力レベル:OUTPUT L/MONO、R=-10dBu、PHONES=-10dBu
出力インピーダンス:OUTPUT L/MONO、R=2kΩ、PHONES=44Ω
推奨負荷インピーダンス:OUTPUT L/MONO、R=10kΩ以上、PHONES=44Ω以上
エフェクト・タイプ:COMP、PREAMP、OD/DS、EQ、FX1/FX2、DELAY、CHORUS、REVERB、PEDAL FX、NS1/NS2、ACCEL FX
ディスプレイ:グラフィックLCD(132×32ドット、バックライト付き)
接続端子:GUITAR IN端子(標準タイプ)、MIC IN端子(XLRタイプ、バランス、ファンタム電源(DC 48V、10mA Max))、AUX IN端子(ステレオ・ミニ・タイプ)、OUTPUT(L/Mono、R)端子(標準タイプ)、PHONES端子(ステレオ・ミニ・タイプ)、CTL/EXP端子(TRS標準タイプ)、USB COMPUTER端子(USBタイプB)、DC IN端子
電源:ACアダプター、USB端子より取得(USBバス電源)
消費電流:240mA
付属品 取扱説明書、「安全上のご注意」チラシ、ACアダプター、保証書、ローランド ユーザー登録カード別売品 デュアル・フットスイッチ(FS-6)、エクスプレッション・ペダル(FV-500L/500H、Roland EV-5)
外形寸法:幅 (W)211mm×奥行き (D)135mm×高さ (H)58 mm
質量:500g

◆GT-001
価格:オープン(市場予想価格 33,000円前後(税込))
発売日:2014年4月25日


◆GT-001 製品詳細ページ
◆BOSS
◆ローランド
◆BARKS ローランド チャンネル
◆BARKS 楽器チャンネル
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