【インタビュー】アモリ・ヴァッシーリ、神が与えし大衆を魅了する圧倒的な歌声
天は二物を与えず、という言葉があるけれど、それはアモリ・ヴァッシーリには当てはまらない。端正なルックス、明るくおちゃめな性格、歌に対する真摯な姿勢、そして、神が与えし大衆を魅了する圧倒的な歌声。二物も三物も与えてなお余りある美しき天才なのだ。
本物のスターには、誰が観ても聴いても良いと感じる明確で圧倒的なカリスマ性がある。これをスターの魔法というけれど、彼にはそれが生まれながらに備わっているとしか思えない。
4月23日発売の『美しき愛の詩』は発売週、早くもアマゾン・クラシック・チャートで1位を獲得と注目を集めている。一度は聴いたことがある馴染みのあるクラシックの曲の全てに彼自身が作詞をした意欲作。魔法にかかったファンは、アモリの歌う愛の世界で喜び、哀しみ、様々な人生を体験するだろう。愛の痛み、喜び、切なさを豊かな表現力で歌い上げるために努力を欠かさないとも語るアモリは、そんな自分の才能に慢心せず、常に精進を続ける人だった。
──アルバム~美しき愛の詩~の中でのお気に入り曲はなんですか?
アモリ・ヴァッシーリ(以下、アモリ):元々ブラームスが好きなのですが、2曲目の『イ・シレンジ・トラ・ノイ』という曲が特に好きです。日本語で直訳すると「私達の間の沈黙」という意味です。恋人同士の間に巻き起こる日々の話をテーマにしていて、非常にドラマチックな展開の曲になっています。恋愛が深まっていくと、谷あり山ありですよね。全てが良いことだけじゃない。二人の日常生活で小さな問題が起こっていても、最後には愛の結びつきでより一層強く絆が結ばれていくという過程が非常に好きなんです。この曲はソフィア・エサディという女性シンガーとデュエットしているんですよ。今作のアルバムのシンボルと捉えています。
──クラシックの曲に歌詞をつけることについて、どう思われますか?
アモリ:クラシックは、すでに著作権フリーになっているということがほとんどです。まずその点が素晴らしい(笑)。そして、非常に豊かな世界観が広がっているのがクラシック音楽の特徴ですよね。その一つ一つの曲が持つ感情や世界観に自分の感性でアイディアを沸き上がらせて詩をつけていきました。特に、イタリア語の古語を使った詩的な言い回しで表現する世界観は他にはありませんので、そのあたりも醍醐味ですよね。
──作詞するときはどんな場所で、どんな時間に行うのですか?
アモリ:主に2つの場所ですね。1つは移動する時……車の中などで。歌手ですので、いつも唄っています(笑)。自然に口をついて出てくるんです。もう1つはシャワーを浴びる時。
──その時に必ず使うもの、必要な物はなんですか?
アモリ:携帯です。シャワーのときも携帯を近くに置いて、タオルで包んで濡れないようにしておくんですよ。そういうときは本当に適当に歌ったりするので、あとで聞き直して「あっ、これ良かった」とか(笑)。あとはピアノですね。ちょっと時間がある時に主なラインをピアノで弾いて歌ってみて、それも録音してスタジオに持って行ったりします。
──神が授けた歌声に魅了されっぱなしですが……
アモリ:声自体、神が授けてくださったっていうこともあるんでしょうけれども……やっぱり努力ですよね……努力をしないと、さすがにその先の高みに進めないですよね。
──いつ自分が歌が巧い(天才)と知りましたか?
アモリ:歌っている姿を父がビデオにとって、パリのプロデューサに送ったんです。それを見たプロデューサー達が「すごい! 天才だな」と言ってくださったそうです。その後直ぐに連絡をくださいました。レコード会社から連絡をいただいたり、コンテストで優勝したりしました。それからもっとテクニックや歌が完璧になるように音楽学校に通いました。自分の声がテノールだと気づいたのは15歳の時ですね。でも、プロの歌手でやっていきたいと思ったのはそれより前、13歳の時です。
──imageツアーにどんな気持ちで参加されていますか?
アモリ:参加させていただけたのは、葉加瀬太郎さんのお陰です。2013年に引き続き、2014年もツアーに参加できて感謝しています。自分のカルチャーとは全く違うカルチャーを持っているミュージシャン達と共演する事が非常に素晴らしい体験になると思っています。クラシックだから真面目にやるんじゃなく、楽しくするべきだ思ってるので、日本人のミュージシャンのみなさんはどういう風にクラシックを演奏するのかとか……仕事のやり方、演奏のやり方も、学べる機会ですし。あらゆることが体験になりますからね。日本は2回目とはいえ全く知らないことが沢山あります。あらゆることが人生にとっての豊かな体験になると考えています。なので、本当に楽しみです。そういう点も含め、日本のお客様にもっともっと私の音楽を届けて、たくさんの方に気に入っていただけたら嬉しいなと思っています。
<ライブ・イマージュ14>
5月17日(土)東京国際フォーラム・ホールA
5月18日(日)東京国際フォーラム・ホールA
[問]キョードー東京 0570-550-799
『美しき愛の詩~UNA PARTE DI ME Japan Edition』
HUCD-10154/B 2014年4月23日発売
01. ペンシエロ・ミオ
~チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」より
02. イ・シレンジ・トラ・ノイ
~ブラームス「交響曲第3番第3楽章」より
03. コン・テ
~ショパン「ノクターン」より
04. クレディミ
~フォーレ「パヴァーヌ」より
05. 美しき愛の詩
~モーツァルト「交響曲第40番第1楽章」より
06. シアモ・ナイ・イル・フトゥル
~ボロディン「イーゴリ公ダッタン人の踊り」より
07. ラ・グエラ
~バッハ「無伴奏チェロ組曲第1番プレリュード」より
08. アミチ・ノイ
~パッヘルベル「カノン」より
09. 白鳥の湖
~チャイコフスキー「白鳥の湖」より
10. ソーニョ・ダウトゥンノ
~グリーグ「ソルヴェイグの歌」より
11. インシエメ・レイ
~モーツァルト「ピアノソナタ第17番KV570」より
12. キアーロ・ディ・ルナ
~ドビュッシー「月の光」より
13. シアモ・ナイ・イル・フトゥル
~ボロディン「イーゴリ公ダッタン人の踊り」より
/フランス語ヴァージョン ※ボーナストラック
《DVD 収録曲》
01. 美しき愛の詩
~モーツァルト「交響曲第40番第1楽章」より (MV)
02. ウィズ・ワン・ウィッシュ・ミーツ葉加瀬太郎 (ライブ・イン韓国)