【ライブレポート】アンティック-珈琲店-、野音を皮切りにBugLugとの2マンツアー開幕「行ってきます!」

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アンティック-珈琲店-とBugLugのW主催による筆下ろしツーマンツアー<Buglug×アンティック-珈琲店- 筆下ろしツーマンツアー「SM~SCRAP MONSTERS~」>が4月5日(土)、日比谷野外大音楽堂にて初日を迎えた。奇しくも“野音開き”となったこの日、例年より早く開花を迎えた桜が日比谷公園に咲き誇るなか、互いへのリスペクトを原動力に、各々の持ち味も満開となったステージをレポートしたい。

◆BugLug×アンティック-珈琲店- 画像

2014年の野音ステージ一番乗りを果たしたのは、2014年“ぶっちぎり”というスローガンを掲げているBugLugだ。「騒ぎたいヤツ、手あげろ!」というボーカリスト一聖の号令から「HICCHAKA×MECCHAKA」を披露。客席では一斉にタオルが振られ、青空に響きわたるツインリードと“最高だ!”という客席の大合唱がツーマンツアーというパレードの始まりを告げた。野外でのライブを熱望していた彼らだけに、濃密なロックサウンドを開放感たっぷりに大都会のビル群へ轟かせる様は、初野音とは思えないほど活き活きとしたもの。

「それぞれのファンに言いたいのは、それぞれに好きなバンドのことを誇りに思ってほしいということ。お互いを“カッコいい”と認めている2バンドが一緒に回るわけだから、ファン同士も認め合ってほしい」──一聖

ツーマンによるツアーは両バンドとも初体験となるが、このMCからも彼らの気合いの程がうかがい知れる。中盤では「カフェっ仔、お前らに任せたぞ!」と、アンティック-珈琲店-の「逃避回路」をフリ付きでカバー。バンド間の垣根を越えて沸騰するオーディエンスに向かって、一聖の口からは「ニャッピー!」のワードまで飛び出すのだから驚きだ。

そして一気に陽が落ちた会場で、最新シングル「骨」から2曲が披露された。カップリングの「H E I S E I O U T S I D E R' S」では客席を上手と下手に二分してウォール・オブ・デスと見紛う大モッシュ大会に加え、一樹と優によるギターバトルを展開。続く「骨」ではオリエンタルなフレーズと重たいリズムで妖しい空気を撒き散らす。真っ向勝負のロックという核を持ちながら、規格外のアイディアで触れる者をアッと驚かせた。

カバーから最新曲、爽快から妖艶と、振り幅広く攻め切った彼らは、ツーマンツアー終了直後に東名阪ワンマンツアー開催を予定している。ファイナルとなる6月8日の会場は同じく日比谷野外大音楽堂であり、この日のステージの最後には「6月、もっとカッコよくなって帰ってくるから待っててくれよ!」という一聖の頼もしい宣言も飛び出した。また、7月からは所属レーベルResistar Records恒例ツアー<治外法権VOL.4>にて、レーベルメイトのDOG inTheパラレルワールドオーケストラ、Blu-BiLLioNと全10公演を行なうなど、BugLugの“ぶっちぎり”はさらに勢いづいてゆく。

続いては、前ギタリスト坊の卒業ライブ以来、7年ぶりの日比谷野外大音楽堂となるアンティック-珈琲店-の登場だ。活動初期から使用されている懐かしのSEが場内に鳴り響くと、客席には星型のアメージング・スター・ペンライトが揺れ、ボーカリストみくの「会いたかったぜ、日比谷!」という叫びと共に「Cherry咲く勇気!!」が夜空に放たれた。この季節にピッタリの春ソングが優しい音色で場内をほのかなピンクに色づけ、オーディエンスに咲かせるのは手のひらの花。星空に向かって「流星ロケット」を歌い上げ、「みんな寒くない? もし寒かったら温めてあげる」とみくが囁いた。その後も心地よいメロディとリズム、そしてキュートな振りつけで会場を一つにしていく手腕はさすがだ。

2014年のテーマを“友達作り”と定めて、<LIVE CAFE“対バン”TOUR 2014「友断大敵 -3番勝負-」>なる3本の対バンツアーを予定している彼ら。その第一弾が本ツアーとなるが、途中のMCでは第二弾としてSuG、ピコとの3マンを6月に名古屋および大阪で開催することを発表した。さらに第三弾として、<自分大敵>なる全国ワンマンツアーを8月からスタートすることを告げると、客席が一気に沸き返る。このMCでは、7年前の野音で加入直前のギタリストtakuyaとキーボーディストゆうきが初めて顔を合わせたエピソードも披露。takuyaに「初めて会ったときから変な人でした……」と暴露されたゆうきは、この日も頭に矢を刺し、首からは音符を下げて“やおん”を体現した出で立ち。そのブレのないキャラクターには頭が下がる思いだ。

しかし、ポップなだけがアンカフェではない。2013年にリアレンジが施されてバージョンアップした人気曲「テケスタ光線」「エスカピズム」では、可愛らしさの中に潜む闇と熱を垣間見せ、終盤にはBugLug屈指の激情ナンバー「ギロチン」をカバー。ゆうきはショルダーキーボードを抱えて前へと飛び出し、“制裁!制裁!”とコーラスを入れながら間奏のソロ部分をtakuyaと弾き繋ぐ。みくも攻撃的なテンションでカバーならではの顔をみせたが、やはりラストは超鉄板曲「スマイル一番イイ♀」では笑顔の締め括り。バンドにとって重要なターニングポイントである忘れられないステージに、新たな思い出を積み重ねて、初のツーマンツアーを最高の形でスタートさせた。

本ツアーは今後、4月12日の浜松窓枠から5月10日の熊本DRUM Be-9まで、全国13都市を縦断する。初日同様、全公演でカバー曲が披露される予定だ。この約1ヶ月間におよぶロードへ向けて、野音公演の最後はステージに2バンド計10人が集まり、「行ってきます!」と全員がマイクレスで男らしく挨拶をしてツアー初日の幕を閉じた。

持ち味も歩んだ道も異なる2バンドだからこそ、互いの姿に学ぶことも多いであろうことを実感できた初日公演を出発点に、どこまで彼らが進化していくのか、それを糧に両者が果たすであろう飛躍が楽しみでならない。終演後には、それぞれから達成感と、この先のツアーに向けた意気込みにあふれた言葉が聞かれたので、ここに掲載したい。

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<コメント from 一聖(BugLug)>
「すごく楽しかったと同時に、今までにないくらいの反省点を抱えた初日ライブでした。ライブハウスではない場所ということで、初めて見えた“なるほど!”がたくさんあったので、6月8日のワンマンで立つ前に、今日という日を経験できて本当に良かったです。ツーマンツアーとしては後1ヶ月余り、行ったことのない土地も含めていろんな場所を回るので、最後までBugLugらしいスタンスを貫いて、キチンとワンマンに繋げられればいいなと思っております」

<コメント from みく(アンティック-珈琲店-)>
「7年前に旧メンバーと最後に立った会場なので当時の記憶も蘇りつつ、先に出たBugLugさんのパフォーマンスや演奏に刺激を受けて、これは頑張らなきゃダメだ!っていう気持ちでメンバーが一つになった結果、すごく良いライブが出来ました。7年前は空を見上げる余裕なんてゼロだったのに、今日は星空や周りの様子を感じる瞬間がたくさんあったんですよ。今回は毎日スタジオに入って身体に沁み込ませたから、もう、後はステージに出て楽しむだけ。この後のツアーも、今日より楽しいライブに絶対します!」

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■<Buglug×アンティック-珈琲店- 筆下ろしツーマンツアー「SM~SCRAP MONSTERS~」>
4/12(土) 浜松窓枠
4/13(日) 神戸VARIT. *SOLD OUT
4/19(土) HEAVEN'SROCK さいたま新都心 VJ-3
4/20(日) 水戸ライトハウス
4/23(水) 札幌cube garden
4/26(土) 仙台darwin
4/27(日) 高崎club FLEEZ
4/29(火・祝) 柏PALOOZA
5/03(土・祝) 岡山IMAGE *SOLD OUT
5/04(日・祝) 高松DIME
5/05(月・祝) 広島ナミキジャンクション
5/10(土) 福岡DRUM Be-1
5/11(日) 熊本DRUM Be-9 V1
スタンディング 前売 \3,800(D別) / 当日 \4,300(D別)
[問]http://www.buglug.jp/sm.html


◆アンティック-珈琲店- オフィシャルサイト
◆BugLug オフィシャルサイト
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