【ライブレポート】SUSIE LOVE、純白のゲレンデを背景に優しく響かせたアコースティックの調べ
◆SUSIE LOVE 画像
会場となったのは、苗場プリンスホテル内にある広々としたラウンジ・バー。暖炉の温もりの中、心地よさそうなソファでゆったりと寛げる空間だ。そして、壁一面ガラス張りの外に広がるのは、白銀のゲレンデ。昨日までは吹雪だったという苗場も、この日は朝から快晴のポカポカ陽気。そして、楽しい一日を締めくくるように打ち上げられた大輪の花火が終わる頃、いつのまにかソファは多くのお客さんで埋め尽くされていた。
この日はボーカル、ギター、カホンという、シンプルなアコースティック・スタイルでのライブ。マイクなしでも声が届くほどの距離ということもあって、観ているほうも少々緊張気味だ。だが、そんな空気を吹き飛ばすかのように、SUSIEの澄んだ歌声が響く「ココロの栞」でライブがスタートした。その歌声に、会場にいた誰もが息を飲み、一瞬にして魅了されていくのがわかる。続く「ひまわり」では、“これだけを信じて飛び出してきた”と、力強く唄いながら、ぎゅっと左手を握るSUSIE。張りのある歌声はどこまでも伸びていき、情感豊かなメロディは、言葉の一つひとつを紡いでいく。その歌声に浄化され、癒やされていくような感覚に会場が包まれる。
中盤はアップテンポの曲で、カラフルに会場の空気を塗り替えていく。日本テレビ系音楽番組『ミュージックドラゴン』のパワープレイにもなっていた「HAPPY SNOW DAYS」は、ゲレンデでもヘヴィローテーションされており、寒い日に暖かい暖炉の前で幸せを感じるような、そんな心がほっこりするようなハッピーなウインターソングだ。そして、跳ねるようなリズムでスタートしたポップチューン「ジュリエット」は、キュートなルックスのSUSIEから放たれるパワフルなラブソング。その軽快なリズムに、フロアからは自然と手拍子が起こる。「レインリリー」では、普段のライブとは違ったシンプルなアレンジが、圧倒的な歌声の輪郭をくっきりと聞かせてくれる。
ちょっぴり切ない歌詞が印象的で、まもなく訪れる春のあたたかい風を感じさせる「春風が吹くころ」では、その歌声の透明感がさらに精度を増し、NICKYのギターがそのメッセージをサウンドに載せてそっと届けるように奏でる。そして、散りばめられたいくつもの音符をCHRRLEEの温もりあるカホンのリズムが包み込む。まったく澱みのない歌声、溢れ出す言葉、そんな歌詞の感情のままに抑揚をつけて流れていくメロディ。この三位一体となった“歌”が、彼らの最大の魅力だろう。
「最後の曲は、私のお父さんとお母さんに書いた詩です」
というSUSIEのMCに続いて歌われたのは、ファンの間でも名曲と名高い「両親への感謝状」だ。リハーサルの際、「ここでハートを使い切らないように」と、何度も唄うことをやめていたSUSIE。それほどこの曲への想いは強く、全身全霊を込めて、言葉に集中しながら歌い上げる。“家族”──多くの人にとっては、それはあまりにも日常で、当たり前で、だからこそ、そこにあるのがどれほど大切なものかということを忘れてしまいがちなもの。この歌は、その当たり前がどんなに幸せな毎日を与えてくれているかということを思い出させてくれる。だからこそ、こんなにも心が揺さぶられる。最前列に座っていた家族連れのお父さんが、隣にちょこんと座った娘さんを、ちらりと優しい眼差しで見ていたのが、なんとも印象的だった。
予期せぬアンコールの声に呼ばれて、最後に披露されたのは「夏の足跡」。優しいギターの音色が会場に響き渡り、胸をぎゅっと締め付けるような優しい歌声が降り注ぐ。そして、切なさと余韻を残しながら、まるでひとつの季節の終わりを告げるように、ライブは幕を閉じた。
SUSIE LOVEは、新曲「サクラ、舞ウ」がTBS系テレビ番組『王様のブランチ』4月・5月のエンディングテーマに起用されることが発表となったばかり。切ない恋を歌ったこのナンバーは今の季節にぴったり。また、4月12日(土)には宮城でフリーライブを行うほか、11月29日(土)に渋谷O-nestで<SUSIE LOVE 初ワンマンLIVE 2014 “君と僕との夢の話”>と題したワンマンライブを開催することも決定した。一度聴いたら魅了されてしまうその歌声に、ぜひ出会ってみてほしい。
取材・文◎矢隈和恵
■<SUSIE LOVE フリーライブ in 苗場プリンスホテル>
2014年3月22日@苗場プリンスホテル「シャトレーヌ」セットリスト
01.ココロの栞
02.ひまわり
03.HAPPY SNOW DAYS
04.ジュリエット
05.Fly to the Rainbow
06.レインリリー
07.春風が吹くころ
08.両親への感謝状
◆SUSIE LOVE オフィシャルサイト