【インタビュー】聴いた人の数だけ生まれる世界。ああでもない、こうでもないバンド、フレデリックの小宇宙

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◆まだフレデリックの5%しか表に見せてない。95%の未知な部分に
期待して欲しいと『うちゅうにむちゅう』にしたんです。


──あくまで個人的な見解ですが、作品のイメージは夜の遊園地なんですよね。ファンタジックでありながらどこかリアルで、童話的な畏怖をはらんで、なおかつきらびやか。

ケンジ:すごい! そういう感想は初めてです(笑)。でもなんか、見えて来ました、その情景。

こーじ:自分では歌心のある曲を書きたいと思ってるし、とにかく情景の見えるものがいいと思っているので、すごく嬉しいです。

──世界観が確立されているのに、それが何なのかを的確に示すことができない感じなんですよね。

ケンジ:ああ、確かに「この音楽が言わんとしていることは何なの?」「どういう世界観なの?」って聞かれたときに、自分たちでも答えを出しにくいですね。そもそも、答えが出てしまうのが面白くないかなって感じることも多いですし。

こーじ:これはタイトルの話に繋がるんですけど、人類は宇宙全体の5%ぐらいしかまだ解明できていないらしいんです。実は俺らもまだフレデリックの5%しか表に見せてない。95%の未知な部分が残されているので、そこに期待して欲しいなと思って、今回『うちゅうにむちゅう』というタイトルにしたんです。

赤頭:俺らも自分らの95%はよくわかっていないですからね。

ケンジ:だから僕らがまず自分たちの未知の部分が楽しみでしょうがない。気になってしょうがない。要するに『うちゅうにむちゅう』は宇宙に夢中なバンドのアルバムなんです(笑)。

◆とりあえず小1の自分に報告しましたもん、
バーコード付きの歌手になったで!って(笑)。


──ちなみに今作は初の全国流通盤ですが、制作にかける思いも違いましたか?

赤頭:それはもう。僕たちの作品は、今までは家で録音したものを仕上げてもらうっていう感じだったんですけど、今回は最初からスタジオでいろんな方に関わっていただいて、初のバーコード付き作品を作らせていただきました(笑)。

こーじ:僕らとしてはこれがうれしくて。作品を作ったという実感がわいたんですよ。あのね、バーコードって、めっちゃカッコいいんですよ(笑)。

赤頭:帯もついたしね。商品なんや~!! っていう感動があります。

ケンジ:僕は小1の頃から俺は歌手になるんや!と思っていたので、とりあえず小1の自分に報告しましたもん、バーコード付きの歌手になったで!って(笑)。

──柏原 譲さん(Polaris/FISHMANS)のプロデュースなんですよね。

ケンジ:本当に勉強になりました。音を録ることだけではなく、精神面も重視してくださる方で。とにかく新人バンドらしいフレッシュさを大切にしたいということで、僕らが煮詰まらないようにすごく気を遣ってくださったんですよ。例えば僕らが緊張してたら、すぐ“コンビニ行こう!”って言ってくれたり。何度も繰り返してどんなにいいテイクが録れても、1テイク目のフレッシュさは出ないということも学びました。

こーじ:でもほんと、思ったよりも堅くならずに、楽しんで作業できましたね。自由に、自分たちのペースを崩さずできたので、すごいよかったです。

ケンジ:なにしろ、僕たちは叩き上げられてどうにかなるバンドではないので。

◆今あるものはちゃんと伝えられる作品になったと思います。
柏原さんはじめスタッフさんに感謝ですね。


──つまり褒められて伸びるタイプである、と(笑)。

ケンジ:そうです、間違いなく(笑)。

こーじ:実際録り終えてみたら、全部新曲みたいだなと思いましたよ。そのぐらい変化しました。そういう意味でもフレッシュなんですよ。けっこう長いことやってきたた曲もあるのに、これが柏原マジックか!! と(笑)。自分たちのそのままを大切にしながら作っていったのに、出来上がって聴いたらあまりの変化にドキドキしましたね。

Kaz.:だから、録っているときはもちろんでしたけど、録り終わって改めて柏原さんってスゴイ人なんだなって思いました。僕らが作品で大事にしているヴォーカルが本当によく録れてるし、フレデリックの今あるものはちゃんと伝えられる作品になったんじゃないかと思います。柏原さんはじめスタッフさんに感謝ですね。

ケンジ:そう、エンジニアさんも「俺はフレデリックはこうだと思うんだよ、だからこの音をこうしたんだよ」ってビックリするようなことを言ってくれて、ミックスもめっちゃ楽しかったんです。

Kaz.:あれは忘れられないな。今まではミックスも自分たちでやっていたんで、新鮮な体験でした。いろんな人の“好き”が入ってる作品になったと思います。

ケンジ: 関わってくれた人達が、自分なりのフレデリック像を持ってくれているということに、まず感動しましたよね。だって僕らからは“フレデリックはこういうもんや!”みたいなことを、一切言ってないですから。

──やっぱり、みんな違うことを言います?

Kaz. :そうですね。聴いた人の数だけ違う感想をもらいます(笑)。すごい面白いなって思いますよ。

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