3Dプリンター造形によるイヤホンの可能性
▲3Dプリンタで造形したサンプル。磨きなしと磨かれた状態が展示されていた。 |
▲3Dプリンタ造形物のサンプル。全てチタン64素材だ。 |
◆LAB I画像
ご存知の通り3Dプリンターは構造情報をデータで伝えることができるため、遠方のプリンターでそれを生成/再現できる事により、瞬間移動にも似た流通革命を及ぼす、最先端のテクノロジーだ。それ以前に、既存の切削や鋳造技術では形成不可能な造形物を作り出せる最新技術でもある。
イヤホンのような小さな筐体において、内部構造で空気の流れを掌握、制御できれば、これまでには生まれ得なかった画期的な音響特性を持つイヤホンが誕生するであろうことは、我々素人でも簡単にイメージできる。実際、その可能性にいち早くチャレンジし、ひとつの結果を生み出したのが、Final Audio Designだ。
しかしながら、今回発表されたLAB Iへのこだわりは、まず第一に鏡面加工を施すことだったという。いくら音が良くても、理屈なしに欲しいと思う美しさも兼ね備えなければ、商品としては不完全と判断したわけだ。鏡面仕上げは研磨によるものだが、3Dプリンティングの特性上、タテ・ヨコ・ナナメすべての面で均一の仕上げを達成することは非常に困難な道程だったという。
当然LAB Iの最大の魅力は、3Dプリンターじゃないと得られないサウンドの素晴らしさだが、上質なサウンドの最大の要因は、一体成型である点も大きいようだ。これまでのイヤホンの場合どうしても複数のパーツを組み合わせることで筐体が作られるわけで、接着剤やパッキンなど音響的に望ましくない材料が組み合わさってしまい、その分理想のサウンドから遠のいてしまうらしい。実験的に作ってみた3Dプリンターによるテスト機でさえ、おどろくほどいい音が確認できたことが、LAB Iプロジェクトの第一歩だったのだ。
現在は、3Dプリンターでしか成し得ないサウンドの開発研究がFinal Audio Design内で急ピッチに進んでいるというが、まずは今回発表されたLAB Iの素晴らしいサウンドに触れてみて欲しい。発表会にてちらっと試聴したレベルだが、2ドライバーとはいえフルレンジのバランスド・アーマチュア型のドライバーとは思えない深い低音としっかりと濃密な中域が楽しめる、図太いサウンド・キャンパスが素晴らしかった。
コンセプトモデルなどではなく、あくまで商品として発売となるが、現時点では限定150セットのみの販売であり、しかも多くが海外に輸出され日本割り当て分は30セットしか用意されない。自社サイトからの直販のみだが、一瞬にして完売となるのは間違いないので、気合を入れてチェックいただきたい。2月28日発売、16万円(税込)だが、LAB Iはチャレンジ作品1号として、歴史に名を残すことになるだろう。もちろんファイナル独自のBAM機構搭載、ネットワークを組まないフルレンジBAドライバー×2という構成だ。
●3Dプリンター造形 64チタン製イヤホン LAB I
2014年2月28日発売
16万円(税込)
フルレンジデュアルバランスド・アーマチュア型
3Dプリンタ造形64チタン磨き仕上
ダイレクトショップでの限定発売
◆LAB Iオフィシャルサイト
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