Sick2、唯一無二のカリスマ的な存在感
Sick²(シックス)の1周年記念ワンマンライブ<※女の子を騙すだけの簡単なお仕事です。2>が2月16日(日)池袋EDGEで行なわれた。14日の大雪を受けて、来場を断念せざるを得ない観客も多くいたとのことだが、無料ワンマンライブを経てのこの日の2度目のワンマンライブは、見事ソールドアウトを果たし、開演前から出入り口付近にまで人が及ぶほどの大入り。
◆Sick²画像
来場者には光るブレスレットが無料で配布され、それを腕にした観客で辺りはキラキラと彩られる。開演時間になると、スクリーンが下がり、2月12日(水)に発売されたばかりの新曲「Fiv Five」のPVが大画面で上映された。白を基調としたバックに、演奏シーンのみならず、ステージでは見られない表情で演じるシーンも収録され、そのアップに黄色い歓声が上がって止まないと思いきや、時折、Dr.大志の大根役者っぷりに笑いが起きるなど、すでに各々のキャラクターが露呈され、会場を盛り上げていた。
いよいよメンバーが登場し「今日の主役は誰だ?」と早速ジェネ★節を炸裂させると「ジェネ★様ー!」と両手を広げて歓迎する観客。SEの流れる間、Vo.ジェネ★に従い、観客も一緒にぴょんぴょんと、耳に届くシンセサイザーのリズムに合わせて準備運動をするように飛び始めると、ますます身体がうずいていった。
曲が始まるや否や、冒頭から目、耳にするもの、何もかもが斬新で、五感を刺激する新感覚を覚えずにはいられない。ジェネ★は通常のスタンドマイクを使用せず、ヘッドセットマイクを装着し、色とりどりに変わるサイリウムを2本手にしている。そして、ステージで繰り広げられるパフォーマンスに対して揃った振りで会場を華やぐのはバンギャル側、という概念を覆し、ジェネ★は歌いながら、楽曲のストーリーやサウンドに合わせた振りを身振り、手振り、全身を使って表現し、先導していくのだ。それを全曲通して行ない、共通の振りを成し遂げる楽しみ、爽快感、達成感で、序盤からバンギャルのツボをつき、虜にしていった。
MCに入るまで矢継ぎ早に曲を披露していき、相手がファンであろうと容赦を許さない。シンセサイザーを6つ目の楽器として多用しながら、繰り返される軽快なサビのメロディーが不思議な世界観を残し、ただの流行に留まらない色を見せた『ディゾルヴ・ディゾルヴ』。ジェネ★は歌いながら踊っているにも関わらず、会場の隅々にまで目を行き届かせ、気になること、思うことがあれば、すぐさま曲の間奏でそれを指摘して、器用に軌道を修正していき、観客を取りこぼすことなく統率していくのだ。『ヴィデオドローム』では、歌モノに留まらないヘビーなサウンドに乗せて、語り掛けるように観客を追い込み、更にデスボイスを効かせて狂わせていった。
お決まりのように「みんなのアイドル?」「世界のアイドル?」「池袋のアイドル?」という問いに「ジェネ★様!」と答えると、お待ちかねのMCの時間に。最初にメンバー紹介をするも、大志の紹介をパスするところから始まり、更には大志のネット状の衣装を「地引網みたい」と揶揄するなど、頭の回転の速いジェネ★の鋭いMCが続く。しまいに、大志を騒がしいと判断したPAにマイクを切られるなど、会場との抜群のコンビネーションを見せた。また、大雪でパーキングエリアに乗り捨てた車を15時間掛けて取り戻し、寝ずにこの日に挑んだG.祭を、特別に手厚くもてはやすなど、その時ここでしか生まれないアドリブの絡みも見せ、終始笑いの絶えない空間が会場を温めた。
後半もステージから挑発し、メンバーと観客の体力勝負が続く。「テレフォンXXX」では、常に安定したパフォーマンスで悠々と演奏をこなすB.たくまも前線に出て煽り、激しい動きを要求する。同時に、ふと歌詞の内容にも耳を傾けてみると、文字通りのリアリティに溢れた物語が語られていることに気づく。綺麗ごとではない、つかれた核心をそのまま歌い上げているところも聴きどころだ。本編ラストを飾ったのは「isotope」。心地よい疾走感で駆け抜けるも、途中、G.ゆずによるギターのメロディーがファンタジックな世界を描き、最後まで勢いだけのライブではない、ひとつの曲の中で描かれるストーリーの深みを見せた。
アンコールでは重大発表として次のツアーの嬉しい告知がなされ、ビッグマウスのジェネ★も「今日はどうもありがとうございました。時間を掛けてでなく、もっと速くソールドアウトのできるバンドになりたいです。これからも応援はしなくていいです。僕たちが、応援したくなるようなバンドになりたいと思います。」とジェネ★節を崩さず、彼らしく今後の意欲を述べた。ラスト「Lavi!」で、一体となった楽器の演奏に合わせて自然とその場で身体を回転、逆回転をするなど、最後まで、計算され尽くされたサウンド、振りを2時間もの間、存分に楽しんだ。
作曲を主に担っているゆずは、Sick²以外にボカロPとしても活躍し、活動の場を広げている。その他にアニソンのアルバムのプロデュースも手掛け、3月にはメジャーレーベルからの発売が決定するなど、ヴィジュアル系に留まらない多彩な音楽性がこのバンドに反映されているのも強みだ。他に似つかない中毒性のあるメロディー、そこに重なる緻密に練られたフレーズが、ライブハウスを出た帰り道も、ずっと頭をぐるぐると回っていた。
そして、なんといっても、忠誠心を集め、歯切れのいい物言いで、女性のみならず男性ファンも惹きつけるなど、男女世代を問わずいとも簡単に観客を統率し、カリスマ的な存在感を放っていたジェネ★を、今後隅に置くことはできない。次世代を担うヴィジュアル系のボーカルスタイルを築き上げている瞬間を間のあたりにしているような、他を寄せ付けない堂々たるステージングをこの日も見せていた。
通常のワンマンライブの何倍もの運動量、MCでの情報量、曲中でのメッセージを詰め込み、息つく暇もない、濃厚な時間を提供する彼ら。つまり、同じ2時間でも、それを上回る幸福で観客を包み込むことができるのがSick²のライブだ。
レポート:金川彩子
<※女の子を騙すだけの簡単なお仕事です。2>
1.Bara-Bara?
2.ディゾルヴ・ディゾルヴ
3.Dignitas
4.ヴィデオドローム
5.SALIVA
6.テレフォンXXX
7.サイコロジカル・ラビリンス
8.赤いショートケーキ。
9.ぐる×ぐら
10.LIP/SERVICE
11.Fiv Five
12.Pandemix
13.isotope
EN1.ロデオドライヴ
EN2.Lavi!
NEW SINGLE「CLUBSICK」
7月2日発売
TYPE-A CD3曲入り 1,575円
TYPE-B CD3曲入り 1,575円
TYPE-C DVD3曲入り 2,100円
<お披露目巡業無料ワンマンツアー『※女の子を騙すだけの簡単なお仕事です。3 +Trap』>
6月20日(FRI)仙台Neobrotherz ~+Trap Sendai~
6月23日(MON)大阪アメリカ村CLAPPER ~+Trap Osaka~
6月24日(TUE)名古屋今池3STAR ~+Trap Nagoya~
<発売記念ワンマンツアー『※女の子を騙すだけの簡単なお仕事です。3 +Trip』>
7月20日(SUN)仙台Neobrotherz ~+Trip Sendai~
7月23日(WED)大阪アメリカ村CLAPPER ~+Trip Osaka~
7月24日(THU)名古屋今池3STAR ~+Trip Nagoya~
7月29日(TUE)SHIBUYA REX ~+Trip Tokyo~
<Sick2怒涛の6DAYS企画『SickSexSix』>
3月15日(SAT)新宿URGA~ジェネ★Birth Day~
3月16日(SUN)新宿URGA
3月17日(MON)池袋Black Hole
3月18日(TUE)池袋Black Hole
3月19日(WED)池袋Black Hole
3月20日(THU)池袋Black Hole~祭Birth Day~
4月4日(FRI)池袋RED-Zone~ファン感謝祭~
◆Sick2オフィシャルサイト