【2014年グラミーコラム】グラミー賞マニアも初心者も必見!「準主要部門」を制するアーティストは?
2014年のグラミー賞の部門数は82。ピークだった第53回の109部門にくらべるとかなりスリム化されたが、それでも実に幅広く、中には日本人にはまるでなじみのない部門もあり、調べてみるとなかなか面白い。実際、第51回の「ベスト・サラウンド・サウンド・アルバム」にノミネートされたコーネリアスの小山田圭吾に話を聞いたことがあるのだが、そんな部門があることさえ知らなかったそうだ。ましてや「ポルカ」「ネイティブ・アメリカン」「メレンゲ」「ザディコまたはケイジャン・ミュージック」など、アメリカ人でもさすがにジャンル分けが細かすぎると思ったのか、そのあたりは「ラテン」や「アメリカン・ルーツ・ミュージック」としてまとめられ現在に至る。
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それでも現在も「スポークン・ワード」「子供向けアルバム」「ミュージカル・ショー」「ボックスまたはスペシャル・リミテッド・エディション・パッケージ」などユニークな部門があるので、これからグラミー賞マニアを目指す方はぜひチェックしていただきたい。カントリー、ゴスペル/コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージックなどへの手厚いフォローをはじめ、ジャズやクラシックへの敬意の払い方など、主要部門以外の充実ぶりこそが、グラミー賞が現在(そしてその時代の)アメリカの音楽シーンを知るために最もわかりやすく的確なものさしであり続けている理由なのだから。
とはいえここではあまり深入りせず、「準主要部門」とでも呼ぶべきところを俯瞰してみよう。つまり「ポップ」「ロック」「ダンス」「R&B」「ラップ」といったジャンルだが、特にジャンルレスの印象が強い「ポップ」部門に複数ノミネートされたアーティストが、その年のグラミー賞を象徴する顔と言っていいかもしれない。
今回で言えば、ロード、ブルーノ・マーズ、ケイティ・ペリー、ロビン・シック、ジャスティン・ティンバーレイクといった顔ぶれが、2013年のアメリカ音楽シーンで最もホットな存在だったということになる。中でも「最優秀ダンス/エレクトロニカ」「最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス」にエントリーしたダフト・パンクは、主要部門の「最優秀レコード」「最優秀アルバム」を含めた複数受賞の可能性大で、ダンスミュージックとポップスを分けて考えがちな日本のリスナーの目には新鮮に映るに違いない。
R&B部門はどちらかというと平穏な印象で、渋い実力派のアンソニー・ハミルトン、テレビのリアリティ番組出演で人気が再燃したらしいテイマー・ブラクストン、そしてアリシア・キーズ、フェイス・エヴァンスなど、実力派が揃う。また、「最優秀ロック・アルバム」にエントリーしたブラック・サバス、デヴィッド・ボウイ、レッド・ツェッペリン、ニール・ヤングといった名前を見ると、今年は西暦何年なのか錯覚してしまうほど、ベテランの活躍に目を見張るものがある。
その中で若手として奮闘するイマジン・ドラゴンズやアラバマ・シェイクスの音楽にもどこか懐古的な面があり、アメリカにおけるロックはすでにルーツ音楽の一部になりつつあるのかも、という気もしてくる。ラップ部門に関しては、主要部門にもノミネートされたケンドリック・ラマーとマックルモア&ライアン・ルイスが複数部門に名を連ねていることに加え、エミネム、Jay-Z、カニエ・ウェストといった大物が睨みを利かせているといった感じで、若手の複数受賞か大物の貫禄勝ちか、どちらに落ち着いても納得のいく結果になりそうだ。
結論めいたことを言わせてもらうなら、2014年の第56回グラミー賞は主要4部門とそれに準ずる「ポップ」部門に複数エントリーしたアーティストが多いため、最後には3~4名のアーティストの独占受賞ということになるのではないかと推測する。その本命がロードとダフト・パンクで、ブルーノ・マーズとマックルモア&ライアン・ルイスがそれに続くと予想するのだが、果たしてどうなるだろうか。作品を聞き、受賞結果を予想した上で本番に臨めば間違いなく楽しみも数倍になるので、みなさんもぜひ予想して、1月27日の授賞式に臨んでみてはいかがだろう?
Text:宮本英夫/Photo:Getty Images
『生中継!第56回グラミー賞授賞式』
1月27日(月)午前9:00~[WOWOWプライム]
◆WOWOW『生中継!グラミー賞ノミネーションコンサート』サイト
◆WOWOW×BARKS2014年グラミー特集チャンネル