【インタビュー】AA=、「『#』と『4』2枚合わせて“未来と過去”というのが自分の中のテーマになっています。過去を振り返ることがほとんどなかったから自分の中ですごく新しいこと」
■ポップというかメロディも単純なものに惹かれるけど
■そこにおかしな要素をくっつけていくということをやってる
──そして「Path of the arrow」ですが。
上田:これは…曲自体はさくっとできたんですよ。『#』に入ってる「DRONE」と同じように。メロディだけで、歌詞はあとでつけたんだけど、わりとすぐに出来上がった曲ですね。
──息抜き的に?
上田:そういうわけでもなかったんだけど、『4』側のイメージに沿って、ストレートに作ったという感じかな。メロディとテーマだけでエモーショナルな部分を強く表現したいと思ったので、シンプルにそこだけを中心に作った曲です。
──この曲を「AA=の新曲だよ」と言って聴かせたら、驚く人もいると思いますよ。ここまでメロディアスでエモーショナルに振り切った曲は今まであまりなかったと思うので。
上田:普通だったらここにヘヴィなものを足したりとか、もうちょっと攻撃的な部分を混ぜていくのがAA=のスタイルだったけど、あえてそこをやらないというのが、今回ならではだと思います。それはそれで、自分らしい姿だったりするので。
──この歌詞もすごく沁みるんですよね。「HUMANITY2」とも通じるところがあると思うんですけど、過去にあった別れを感傷的に振り返りつつ、美化することなくまっすぐ見つめる視点があって。きっとこういうことがあったんだなぁと。
上田:まぁ、みなさんと同じように、いろいろありました(笑)。
──あらためて「Lasts」はどうですか。
上田:この曲があったことで『4』の世界観が見えたというか、これをどうしてもアルバムに入れたいと思ったことが、自分の中では大きなポイントになってます。『#』『4』全体の中でもポイントになる曲です。
──「The Klock」のカップリングで出た時は、もっと80年代ニューウェーヴ的なアレンジでしたけど。
▲『4』VICL-64082 \1,800(tax in)
▲『#』VICL-64081 \2,000(tax in)
──こういう曲を聴くと思うのは、MADの頃から思ってたんですけど、剛士さんって本当にポップソングが好きですよね。もしかして世間のイメージと違うかもしれないけど。
上田:自分の一番の特徴はそこだと思います。すごくポップというか、メロディも単純なものが好きだし、そういうものに惹かれるし。そこに、いかにしておかしな要素をくっつけていくか?ということをやってるんですが、中心になってるのはポップな部分で、そこがなくなってしまったものには僕は魅力を感じないですね。そこのせめぎ合いが自分の音楽の特徴であったり、意味であると思っています。そこがなくなってしまったら、自分にとってよくある音楽になってしまうので。それがあるから自分の音楽でいられるという感じです。
──これまた今さらですけど、どのへんなんですか。剛士さんのポップなメロディのルーツというのは。
上田:基本的には80年代のMTV世代なんで、そこらへんじゃないかな。あの頃のものって、基本的にメロディアスじゃないですか。そこがルーツになってるんだなとは思います。今もナツメロ80’sみたいなものを聴くと、やっぱりいいと思いますからね。
──いいですよね。サウンドはともかく、メロディはすごく豊かだと思ったり。
上田:サウンドもいいですよ(笑)。
──そうですか?(笑) 今だとちょっとチープに聴こえて恥ずかしいものもありますけどね。
上田:笑っちゃうリヴァーヴ感とかね。肩パットを入れた服みたいな感じとか(笑)。80'sのあの感じは好きですよ。
──そのへんの匂いを嗅ぎ取れる人には、剛士さんの作る曲はハマと思うんですよね。
上田:そのへんを知ってる人だと、「Lasts」がそういう側面でも聴こえるかもしれないですね。それを知らない人だと、普通にメロディアスな曲だと思うかもしれないけど。
──そして「The Klock」。今回のために新しく録り直したバージョンです。
上田:最初にレコーディングした時はバンドで合わせる前にやって、それからライヴでやり、ツアーでやり、そうやって出来上がったものをあらためて新録してるんで、そういう意味では、よりバンドっぽい感じになっています。サビの部分のアレンジはこのアルバム用に少し変えたんですが、基本的には今ライヴでやってる感じに近いです。これは何と言っても、『#』と『4』のすべてのアイディアの元になった曲なんで。
──そして「Endroll」ですね。これは本当に優しい、美しい曲です。
上田:これは「Endroll」というタイトル通り、最後にこういう曲を入れたいなと思って作り始めた曲のか、この曲を作ってたらこれを最後に入れたいと思ったのか、ちょっと覚えてないですけど。作ってる時には“これが最後の曲になる”というイメージはありました。ここで言ってる言葉が、『#』『4』の2枚を含めて最終的に言いたかったことです。
──“敵も味方もなく”“右も左もなく”“手をつなごう”というフレーズは、たぶん『#3』の時には絶対出てこなかった言葉だと思うんですよ。今だから、という感じがすごくします。これを歌う時はどういう気持ちになるんですか。
上田:まぁ、そういう気持ちですよ。
──言葉通り、穏やかな気持ちで? それとも内側にはもっと複雑な思いがあるとか。
上田:どうでしょうね。まぁでも、心静かに穏やかに、というだけではないことは確かですね。ただ、そこが進むべき道だという感じですね。自分に向けても、世界に向けても。
──ということで、今回は2枚合わせて14曲の大作になりました。自分の中で出し切った感じはありますか?
上田:コンセプト・アルバムというか、自分の中でテーマを決めてやったアルバムなんで、面白かったですよ。アルバムを作ったあとにはいつも疲労感があるんだけど、それだけじゃない感じが残るというか、面白かったです。
──気が早いですが、次作のイメージはありますか?
上田:さすがに次までは全然浮かんでないですけど。ただ思うのは、今回こうやって両極端に、振り幅の広いものを作ったんで、次はド直球のものを作るタームが来るんじゃないかな?とは想像しています。でもまた裏切って、全然違うものに行く可能性ももちろんあるんだけど、基本的には次はそういうものに行くんじゃないかな?という気にはなってます。
──常に振幅するんですね。AA=というものは。
上田:そう。自分の中でその時面白いと思えるものというか、ワクワクするものをやっていきたいと思ってるんで。
──2014年1月末からツアーが決まりました。どんなツアーになりそうですか?
上田:『#』『4』という2枚の極端なアルバムを作ったんで、それを表現できるライヴになるといいなとは思ってますけど。やってみないとわからないですね。とにかくAA=の『#』『4』にふさわしいライヴになるとは思います。
──もしかして二部構成にするとか?
上田:まだ全然決めてないですけどね。そういうのも無しではないかな?とは思いつつ、それよりもうまく融合するほうがいいだろうなとも思ったりしているので。
──そういえば今回、2枚のアルバムのジャケット・デザインも面白いんですよね。合体するんでしたっけ。
上田:はい。そこも楽しんでください。POSITRONというデザインチームは、MAD時代からずっと一緒にやってきたんだけど、みんなで面白がって作って、普通はやらないことをやってるので。楽しみにしてください。
取材・文●宮本英夫
『4』
2013.12.11発売
VICL-64082 \1,800(tax in)
1.HUMANITY2 -4 Mix-
2.||:Repeat:||
3.The Jam
4.Path of the arrow
5.Lasts
6.The Klock (New Recording)
7.Endroll
『#』
2013.11.27発売
VICL-64081 \2,000(tax in)
1.DRONE
2.WARWARWAR -# Mix-
3.VICIOUSNESS
4.WILL
5.DISTRAP
6.PRG
7.KILROY WAS HERE
<AA= TOUR #4>
2014年1月23日(木) 梅田CLUB QUATTRO
[問]GREENS 06-6882-1224
http://www.greens-corp.co.jp
2014年1月24日(金) 名古屋CLUB QUATTRO
[問]Jail HOUSE 052-936-6041
http://www.jailhouse.jp/
2014年1月26日(日) 仙台JUNK BOX
[問]G.I.P. 022-222-9999
http://www.gip-web.co.jp/
2014年2月9日(日) 恵比寿LIQUIDROOM
[問]クリエイティブマンプロダクション 03-3499-6669
http://www.creativeman.co.jp/
◆AA= オフィシャルサイト
◆ビクターエンタテインメント
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