【ライヴレポート】藤井フミヤ、本編すべてがバンド時代の曲の超スペシャルなセットリスト<カウントダウンライヴ青春「50日前夜祭」”の熱狂の夜>

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藤井フミヤが11月12日(火)SHIBUYA-AXで開催した<カウントダウンライヴ青春「50日前夜祭」”の熱狂の夜>。先日お届けした速報レポートに続き、詳細レポートをお届けする。

◆藤井フミヤ<カウントダウンライヴ青春「50日前夜祭」”の熱狂の夜>~拡大画像~

バンドのメンバーに続いて、大歓声の中、黒のシャツ、黒のスリムにショートブーツという出で立ちで藤井フミヤがステージに登場した。

第一声は「YEAH!! ようこそ。 AXへ!(超満員のフロアーを見渡して)けっこう、詰まってんな。大丈夫か?」

手拍子がわきおこる中、イントロで何回転もターンをし、のっけから持っていかれる粋なオープニング曲でスタートだ。

9月21日からスタートした全国ツアー<30 TH ANNIVERSARY TOUR vol.1 青春>は、自身のデビューから現在に至るまでの30年間のヒストリーを振り返れる内容となっていて、各地でソールドアウトが続出。

そして、<カウントダウンライヴ青春「50日前夜祭」>と銘打たれたこの日のライヴは、ツアーとは異なるスペシャルセットリスト。もちろんチケットは即完売。しかもホールではなく至近距離で藤井フミヤのライヴが楽しめるのだから、いろいろな意味で超レア。みんなのテンションがアガらないはずはない。

バックミュージシャンはバンマスの有賀啓雄(B)、屋敷豪太(Dr)、友森昭一(G)、石成正人(G)、松本圭司(Key)、藤井尚之(Sax)の強者揃い。

ピアノで幕を開けた「Jim&Janeの伝説」ではイントロで開脚技を披露し、湧きに湧く場内。一発で聴く人の心をキャッチしてしまう甘く切ないヴォーカル、マイクスタンドを巧みに操るパフォーマンス。そこに立って歌っているのは、まぎれもなくキャリアを重ねた藤井フミヤなのに、スレンダーな体型をキープし続けているせいか、歌い続けてきたヴォーカリストならではのオーラとエネルギーのせいか、懐かしい楽曲に“今この瞬間”という魔法をかけてしまう。

「WONDERER」ではハンドマイクで上手から下手へと動きまわりながら歌い、ぎゅうぎゅうのフロアーも手を挙げてビートに合わせて踊りながら歌うという一体感。尚之のグルーヴィーなサックスも熱気を上昇させ、曲が終わるとどよめきのような歓声。「カッコいい!」という声があちこちから飛ぶ。

フミヤは「苦しそうだな」とフロアーを見て心配そうな様子。

「12月31日に久しぶりに(日本武道館で)カウントダウンやります。元旦もふくめて“50日前夜祭”と無理くりなんですけれど(笑)、今年もあと50日で終わるからね。昨日から木枯らしが吹いて寒くなったね。でも、この中はあったかいと思いますので、みんなが窒息しない内にとっとと歌っちゃいますね。苦しくなったら、すぐ出ていってください(笑)」

そんな、らしい挨拶を経て、歌われたのは初々しい恋の情景を浮かび上がらせるラブソング。ここからのセクションはハートブレイクなほろ苦く切ない曲が続き、熱唱したあとにシャウトでエンディングを迎えるドラマティックなナンバーも。

「デビュー30周年ということで懐かしい歌を歌わせてもらっています。俺も尚之も30周年。ここまで歌った曲は約25年ぐらい前の歌です。(会場を見て)小学生のコとか中学生のコとかいたと思うんですけど、みんな、がんばってるね、立派になられて(笑)。でも、こうやって久しぶりに歌ってみると、そんなに懐メロな感じがしませんね。昔、自分が書いた歌詞を見て、“甘いな、コイツ”と思うこともありますけど、それも“青春”ということで。ちょっとハートブレイクな歌が続いて、いろんなことを思い出しちゃったと思いますので、いいことも思い出しましょう。では、ラブソングを歌います」

そんなMCのあとに歌われたのは1988年のヒット曲「素直にI'm Sorry」。ピアノとヴォーカルのみで始まり、バンドサウンドへと移行するアレンジメントと、恋人を抱きおこすジェスチャーで歌うフミヤに歓声が上がる。甘さに深みが加わったヴォーカルとパフォーマンスが相まって、曲の世界観を増幅させていくのは、きっと、今の彼ならではだろう。

そしてMCでは、5年ぶりに日本武道館でカウントダウンライヴを行なうことになったいきさつに触れ、最近は平和な年末、年始を過ごしていたけれど、また元に戻っちゃったと苦笑い。

「ちょっと大人っぽいエッチな歌をやります」

会場のあちこちから“待ってました!!”とばかりの声が上がり、「好きだねー。最近、みんな、エッチな歌とか歌わなくなっちゃったね」と今の音楽シーンに触れ、“S”“E””X“のアルファベットを身体でジェスチャーして、みんな爆笑。

「みんな幼き頃はわけのわからない歌詞だったと思うけど、今は1小節1小節が身にしみて、わかる年齢になったね」

そう言って披露されたのは“おまえの寂しさで この胸の孤独を消してくれ”と歌う「ONE NIGHT GIGOLO」で、セクシーな歌声で魅了し、最後に着ていたシャツをパッと脱ぎ捨てるパフォーマンスも絶妙のタイミング。「ミセスマーメイド」では、過ぎ去った夏を連れ戻してくれるようなサウンドを響かせ、ソロを吹く尚之の横でダンスするフミヤ。ブレイクの部分では大歓声が起こり、そのハンパない熱気のまま、「NANA」をモニターの上に立って歌い、足を頭上まで蹴りあげるあのダイナミックなパフォーマンスが目の前で繰り広げられる。

彼がMCで言っていたように、当時は意味がわからなかったとしても、今だから沁みてくる曲がオーディエンスの通り過ぎていった思い出も揺らしていく。いつも何かを探していたあの頃、仲間と夢をいつまでも語り合っていた頃。色あせない曲たちが次々と歌われていく。

「青春はいつから始まって、いつから終わるのか──。僕は中学生ぐらいからだと思ってます。終りは長い人は長いと思いますけど、自分では終わったと思ってます。あんまりバカみたいな夢を見なくなったときかな」

アウトドアだった昔と比べるとインドアになり、読むことや聴くこと、食べること、飲むこと、触ることなどの身体を通過していくものに、より貪欲になったと今の自身の変化について語り、ライヴは落ち着いたムードで締められるのかと思いきや、「ここから倒れないようにがんばってね!!」とメンバー紹介をして、ロックンロール魂バクハツ。ハープを吹きながら暴れまくり、ときには座りこんで歌い、最前列とハイタッチ。男性ファンからの野太い歓声も飛ぶAXは盛り上がりまくり。「HEART IS GUN~ピストルを手に入れた夜~」に続いて、本編ラストで披露された曲はイントロが鳴らされたとたん、場内が揺れるほどの歓声で迎えられた「おまえが嫌いだ」。

青春が終わったなんて言葉が吹き飛ぶ藤井フミヤのはじけっぷりもさることながら、疲れ知らずのみんなも負けてはいない。“おまえが嫌いだ”の大合唱で、超パワフルなエンディング。

約2時間の本編が終了し、熱いアンコールに応えて登場したフミヤは笑いながら「青春だね、キミたち。いつまでも青春でいてください。俺ももう1回、青春に戻ろうかな」と一言。

あらためて、今夜のライヴに集まってくれたことについて感謝の言葉を述べ、2014年の8月からスタートする30周年全国ツアー第2弾のことに触れると、みんなから“(始まるのが)遅い”とブーイング。「最後の歌です」と告げると、まだまだ聴いていたいオーディエンスは納得できない様子。

「最後の歌ですけど、始まりの曲です。(バンドを)解散したときは泣かせてすみませんでした。ソロになって、みなさんが集まってくれて、嬉しかったです」

最後にファンに贈られたあの代表曲で幕を閉じた。

感動の中、「バンドのメンバーに拍手を!」と言い、「また一緒に遊ぼうぜ! 風邪ひくなよ! 歯、磨けよ!」とドリフジョークを飛ばして去っていったフミヤ。

もはや目前に迫ってきた12月31日の武道館カウントダウン。見逃すわけにはいかない。

photo●三浦憲治
取材・文●山本弘子

■<藤井フミヤ 30周年スペシャル カウントダウンライブ>
あの感動と興奮が再び眼を醒ます。30周年を記念し、バンド時代の楽曲を中心にお届けする『青春』ツアー。そのスペシャル公演として武道館カウントダウンライブが5年振りに振りに復活!!
12月31日(火)  東京・日本武道館
開場21:00/開演22:00
[問]キョードー東京 0570-550-799
http://kyodotokyo.com/

■30thシングル「青春」
2013年7月10日(水)発売
・初回生産限定盤
CD+DVD/1,500 (tax in.)
ジャケット・収録内容ともに3バージョン
※絵柄違いジャケット
※カップリング曲違い 各2曲収録CD+DVD
【初回盤 A】AICL 2548~2549
収録曲:青春/GO BACK HOME
【初回盤 B】AICL 2550~2551
収録曲:青春/夜明けの街
【初回盤 C】AICL 2552~2553
収録曲:青春/孤独のDreamer
★それぞれの収録曲とリンクした各2曲のMusic Video収録の特典DVD付き
・通常盤
4曲入りCD/AICL 2554/1,500 (tax in.)
M1.青春/M2. GO BACK HOME/M3. 孤独のDreamer/M4. 夜明けの街

<藤井フミヤ 30TH ANNIVERSARY TOUR vol.1 青春>
11/23(土) 大阪府 オリックス劇場
11/24(日) 大阪府 オリックス劇場
11/30(土) 奈良県 なら100年会館 大ホール
12/01(日) 愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
12/05(木) 山梨県 コラニー文化ホール
12/07(土) 千葉県 市川市文化会館 大ホール
12/08(日) 千葉県 市川市文化会館 大ホール
12/14(土) 大阪府 フェスティバルホール
12/15(日) 大阪府 フェスティバルホール
12/19(日) 大阪府 堺市民会館
12/21(土) 鹿児島県 宝山ホール(県文化センター)
12/22(日) 福岡県 福岡サンパレス

◆チケット詳細&購入ページ
◆藤井フミヤ オフィシャルサイト
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