【特集】チェコ・ノー・リパブリック、唯一無二のキラキラ感溢れるサウンドとドリーミー&キャッチーな音楽性を秘めたメジャーデビューアルバム『NEVERLAND』
■歌詞や曲を作った人が唄うのが俺は普通だと思ってたので
■いま武井がヴォーカルをやってくれて、僕はすごく嬉しい
(山崎)
武井優心(以下、武井):音楽にめちゃめちゃハマったきっかけはスピッツの『ハチミツ』っていうアルバムです。その後パンクが好きになり。THE BLUE HEARTSのヒロトとかマーシーとか。で、ヒロトとマーシーが聴いてるのってどんな音楽なんだろうってオールドロックをどんどん掘ってって。そこらへんで音楽は自分の中で完結して、停滞した時期があったんですけど、THE STROKESが出て来て一気に音楽熱が復活して。いまだそれに取り付かれてる感が。
山崎正太郎(以下、山崎)僕は小学校2年生のときから鼓笛隊をやってたんですが、中学に入るときにバンドブームだったんですよ。LUNA SEAとかGLAYがスッゲェ流行ってて。コピーバンドやろうぜってことになって、「お前は鼓笛隊やってたからドラムな!」って言われて、初めてドラムセットを触ったのは中1のときです。やっていくうちに自分たちでオリジナルをはじめて、バンドとして機能する中で、高校くらいには下北沢の屋根裏とかでオーディションライヴを受けるようになったんです。青春パンクをやってたんですが、そのときにライヴハウスで武井と知り合いました。俺が見たときはドラムを叩きながら唄ってたんですよ。
八木類(以下、八木):僕はラルクアンシエルとか日本のバンドから入って、ビートルズも並行して聴いてて。ロックンロールリバイバルの時期にはそれこそTHE STROKESとかTHE LIBERTINESとかを聴くようになって、その流れでUSインディーも聴くようになりました。楽器を始めたのは小学校6年生で、ラルクを弾きたくて。通販のセットを買って。家にピアノもあったので、適当に弾いたり。あまり友達もいなかったので宅録ばっかりやってました。自分でMTRにビートルズのコピーを録音してましたね。時々唄えないのは父親に唄ってもらったりして(笑)。
砂川一黄(以下、砂川):僕の場合は、中学2年の理科の授業で音の振動の実験で先生がギターを持って来たんです。その時に「ギター弾いて!」って先生をはやし立てたら「ちょっとだけだぞ」って弾いてくれて。その音色にグッと来て。それまでめっちゃヤンキーだったんですが、その授業後にギターを教えてくれって先生にお願いして教えてもらうようになったんです。「絶対ギターを続けろよ!」って先生と固い約束をしたんですが、今メジャーデビューしたことをどうしても伝えたくて探しているんです。その時、先生に出会わなかったら今の自分はないと思います。
タカハシマイ(以下、タカハシ):私は、元々、バンドのヴォーカルから音楽ルーツはスタートしてるんです。バンドを解散してからはギター弾き語りのスタイルでソロ活動をしていました。
タカハシ:Mumとかシガーロスとか北欧系の音楽が好きだったんです。チェコと似てはいないけど、どこか共通点を感じるんですよね。
山崎:はい。前のバンドが急に活動休止することになったんですが、まだライヴのスケジュールが残ってて。それがチェコの原型になっています。
武井:ヴォーカルを募集してたんですよ。でも誰も来なくて。
山崎:しかもギターもいなくなって(笑)。それまで曲作りなんかしたことなかったのに、武井が曲作りをはじめたんですね。バンドが続けて行く上で、歌詞や曲を作った人が唄うのが俺は普通だと思ってたので、「なんでヴォーカルを募集するんだ!!」って感じだったから、今、武井がヴォーカルをやってくれて、僕はすごく嬉しい。
一同:はははは(笑)。
山崎:最初、僕らって育ちの悪い感じだったんですよ。武井の知り合いの知り合いということで、初めて八木に会ったときに「ものすごい好青年だな」って感じだったんです。
武井:ジャケットにハットですごいマジメな感じだったんですよ。でもスタジオに入ったら、弾き姿がすごいカッコいい。
八木:最初は雰囲気も僕らと違うし、水と油みたいな感じで。今までの僕の友達ともまったく違う人種って感じだったんです。新鮮すぎました(笑)。
砂川:僕の前のバンド時代から知ってたんですが、ちょうどチェコの前のギターが辞めるタイミングと僕のバンドの解散のタイミングが重なったんです。もともとチェコ自体が好きだったので、そのバンドから声をかけていただいたことも嬉しかったので、三日間ぐらい寝ないで練習してスタジオに行ったんですが、自分的にもしっくり来たし、すごく楽しかったんです。だから、八木くんが感じたようなカルチャーショックはなかったです。
山崎:砂川さんが入ったときはこっちがカルチャーショックでした(笑)。砂川さんが前にやってたバンドってエモいバンドで、絶対にしゃべらないし、ギターがめちゃくちゃうまい。だからスタジオに入ったときから全部弾けるんです。「うまっ!」みたいな。こんなんどうですか?ってプレゼンも凄いので「スゲェ人だな」って。
タカハシ:武井さんとはもともと知り合いだったんですが、ソロ活動をしているときにチェコでコーラスを探していたので、「私、やりますよ!」って。一人で音楽やりつつ、チェコも参加しつつ。私自身、チェコのお手伝いをはじめた頃は音楽のことでいろいろ悩みがあったんです。そんな時に「サポートからやってみない?」って。
武井:山崎と二人でやってたときも実は女性ヴォーカルを募集してたんです。だから、女性は入れたいと思ってたんですよね。で、僕らの演奏で彼女が唄うということをやってみたら、外国臭さというか、可能性が見えて。「これは逸材だ」と。いざライヴでステージに立ったら、彼女の音楽的なポテンシャルは知ってたけど、テンションが上がるとお客さんをあんなに盛り上げるとは!っていう、意外なチャンネルがあって。この人凄いな、正式に入ってくれないかなって。
■せっかくのメジャー第一弾だから、これまでの代表曲も新録して
■本当の意味でのベストみたいなものを出したらどうかということになって
(武井)
山崎:音楽はじめた当時の面影はないですけどね(笑)。
タカハシ:今作は再録の曲のほうが多いんです。新しく今の5人になって、この5人で作った音なので、これからまた新しくチェコをよろしくお願いしますっていう名刺代わりになったかなって。新曲が少なくても、胸を張って「聴いてください」って言えるアルバムになったかなって思います。
武井:今年の1月に砂川くんとタカハシさんが正式加入して新たに始まった感じだったんですが、その1月に5人だけで合宿に行ったんです。で、新曲を11曲くらい作ったんです。どの曲もすぐにレコーディング出来るってくらい手応えも感じてたんですが、レコーディングにも入ってアルバムを出そうかって話をしてたときにメジャーデビューの話をいただいて、新曲のレコーディング作業は一旦止まったんです。スタッフとみんなで話し合って、せっかくのメジャー第一弾だから、これまでの代表曲であっても、砂川くんもタカハシさんもRecには参加してないから、もう一回、新録して、本当の意味でのベストみたいなものを出したらどうかということになって。
武井:うん。シンセとかで弾いてたフレーズを、砂川くんが入ってからギターに置き換えたものがあったんですが、そういうのを今回はRecでもやろうってところもあったり、タカハシさんが加入して、今までもコーラスでは参加してくれてたんですが、今まではサポートだったからガッツリ前に出したら違うんじゃない?って感じのところがあったけど、もうメンバーだから、どんな風に出て来ようがメインになろうが関係ないので、そういう遊びも出来たっていうのは大きいですね。
武井:この曲はタカハシさんがいないと成り立たない。タカハシさんが加入したくらいのときに、良い機会だからツインヴォーカルの曲を作ろうってことで。
武井:これは歌詞が難産だったんです。いしわたり(淳治)さんにも「これは違うんじゃない?」って言われながら作業をしたんですよ。
武井:みんな考えることはあるとは思うんですが、僕は「死」については考える方だと思います。「生きる」ってことと「死」は切っても切れないものなんで。
武井:なんで書いたのかはよくわからないんですけどね(笑)。
八木:そうですね。曲も歌詞も武井さんとは変わるんですが、テーマ的にはオモチャっぽくて、リズミカルで、楽しい感じっていうのは共通してるかもしれないです。
八木:最初のパーンっていうのは山崎のアイデア。鼓笛やってたっていうのがここで出てますよね。
山崎:この曲を録り直そうってことで、じゃあ、どう変えようってなったときに「鼓笛か」と。
武井:最初はドラムセットを使わないで録るって言ってたんですよ。
山崎:しかも、鼓笛っぽい感じはドラムを録った後に思いついたんです。
八木:で、イントロと最後の方をまた録音して、昔の杵柄を。
武井:さっき、当時の面影はないって自分で言ってたけどあったじゃん(笑)。
山崎:そうですね!
砂川:「幽霊船」はかなりじゃない?
武井:前のテイクはテンポも遅いしね。新しいのはシュピーンって感じ。
山崎:前の音源が平面だとしたら今回は立体にしたいっていうのがテーマだったんです。
武井:前録ったときは出来た直後で、そこまで練習しないうちに録っちゃってるから。でも今回はそういうのを越えて良い演奏が出来たので凄い変化して良い曲になったなと。
武井:「ダイナソー」かな。砂川くんのギターがすごい鳴ってるし。
砂川:シンセで鳴ってたところをギターで弾くっていうライヴでやってることを再現って感じもあった曲ですよね。「幽霊船」もそうでしたけど。
武井:やったことのないことにどんどん挑戦していきたいっていうのはあるんですけど。どんな曲をやるかっていうのもそうだし、活動の面でも外国でやってみたいとか。凄いことを言うと、武道館のステージにも立ってみたいし。単純にもっと多くの人に知ってもらえることが一番ですよね。で、より多くの人に気に入ってもらえたら嬉しいです。
取材・文●大橋美貴子
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