【インタビュー】SCANDAL、5thアルバム『STANDARD』完成「日常の目に見える景色を歌おうということが答えでした」
長年の夢であり目標としてきた大阪城ホールワンマンライブを2013年3月3日に大成功させたSCANDAL。目まぐるしく移り変わるシーンの中で、デビューから5周年を数える彼女たちは今やガールズバンドシーンを牽引する存在にまで成長している。そして、さらなる一歩を踏み出すべく10月2日、新章の第一弾ともいえる5thアルバム『STANDARD』が完成した。既発のシングルナンバーや中田ヤスタカとのコラボも話題の「OVER DRIVE」をはじめ、メンバーだけで作詞作曲、そしてアレンジまで手がけた表題曲など、今までにないSCANDALが詰まった作品に仕上がっている。アルバムへの想いや、節目を迎えた今の心境について、たっぷりと語ってもらったロングインタビューをお届けしたい。
◆SCANDAL 拡大画像
■バンドだから楽器を持たなきゃいけないという
■ありきたりの発想が、かえってダサいと感じた──HARUNA
──アルバム『STANDARD』は、“聴き手にとってのスタンダードな作品”になるようにと願いを込めてタイトルをつけたそうですね?
HARUNA:最初からそう決きめていたわけじゃないんですね。2012年末に「会わないつもりの、元気でね」を作ったのを始まりに、2013年に入ってからアルバム用の曲をどんどんを作っていたんですけど。そんななかで、3月に自分たちの目標だった大阪城ホールのライブを経験して。そこで自分たちの曲に対する意識が大きく変わったんですよ。
──その変化というのは?
HARUNA:今までは夢への想いや誰かを応援するような曲……、つまりは自分たちが主体となってメッセージを送る曲が多かったんです。でも、私たち自信が夢をひとつ叶えた後で、何を歌えば聴く人に届くだろうと考えて。それで出てきた答えが、日常の目に見える景色を歌おうということでした。意識が変わったことで、曲調も今まで以上にバラエティに富んだものになったと思います。一見、まとまりがなさそうですが(笑)、アルバムの最後に収録した「STANDARD」を作ったことで、作品全体が締まったというか、まとまった感じがありますね。
──意識が変わったことで、曲の作り方に具体的な変化は?
HARUNA:作る行程自体は変わってないですね。大きく変わったのは歌う内容だから。
TOMOMI:ストーリーでいえば、結成から大阪城ホールのライブまでが私たちの第1章。夢を歌ってきた私たちが城ホールを終えたことで、新たに第2章が始まったという。そこでは聴いてくれる人のBGMとして生活のなかで聴けるような曲が歌いたくなったんです。実はライブのセットリストを考えるときに、欲しいなと思っていたのもそういう日常の曲だったんですよ。
──自身のプライベートをさらけ出していくような?
TOMOMI:今まで以上に自分の中にあることを歌詞にしていくことになるけど、ドラマの台本のように脚色して書いていくので。だから自分をさらけ出して“恥ずかしい”という感覚はないですね。
──ジャケット写真もこれまでにないほどシンプルで、それがかえって新鮮だなと。
MAMI:確かに今までは、きっちりとコンセプトを立てて、写真もキメキメで撮ることが多かったですね。今回も最初は、今まで通りに楽器を持って撮ったんですけど、撮影の最後のほうで「いつもと違う感じで撮ろう」という話になって。それで、ジェットコースターから急降下している時の表情を作ってみたり(笑)。今回のジャケットは今まで見たことがないようなラフな私たちを表現できたと思います。ナチュラルな感じが自分たちでも気に入ってるんですよ。
HARUNA:もう私たちにとって楽器を持ってキメるというのがスタンダードじゃないなって。バンドだから楽器を持たなきゃいけないというありきたりの発想が、かえってダサいと感じたし、あざとく見えたんですよ。
MAMI:衣装もパンツスーツでカチッとしてるので、ちょっとふざけたことしていてもバランスがいいかなって。曲たちと同じように写真にも新しいSCANDALを感じてもらえるんじゃないかな。
──では、ある意味で アルバム『STANDARD』の出発点ともなった大阪城ホールのライブは、みなさんにとってどんな体験でしたか?
RINA:曲が始まった瞬間からお客さんのもの凄いエネルギーに吸い込まれるようで、息が止まるような想いでした。本番中は夢が叶った瞬間ってこんなにグッと来ちゃうんだって感じたり。ここがゴールじゃないんだけど、泣きそうになったし、やっぱり感動しました。と同時に、大阪城ホールは自分たちにとってずっと夢の場所で、永遠のテーマだなって改めて思いましたね。あそこ以外に新しい夢の場所はなくて、ずっとあそこでライブをやり続けられるバンドでいたいなって。“初回”はみんなのおかげで成功させることができたと思うし、いい時間でしたね。
MAMI:終わってから感じたのは、この5年間、自分たちの意志や夢を歌ってきて正解だったなということです。だからこそ、今回のアルバムのように誰かのためのBGMになる曲を歌えるようになったと思うし、あの日の大阪城ホールがなかったら、今の自分たちもいなかったなって思いますね。
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