ドキュメンタリー映画『ビートルズと私』から、藤本国彦&萩原健太、ザ・ビートルズを徹底分析

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9月28日(土)より1週間限定公開となったドキュメンタリー映画『ビートルズと私』にて、初日トークイベントがシネマート六本木にて開催された。ステージは萩原健太と藤本国彦が登壇、話はザ・ビートルズ・メンバーのキャラクター詳細分析にまで及び、豪華なミュージシャンとの交流秘話など、観客からの笑いも絶えない熱量の高いイベントとなった。

映画『ビートルズと私』は、ザ・ビートルズの大ファンであるシンガー・ソングライター、セス・スワースキーが8年間の歳月をかけて、ジョン、ポール、ジョージ、リンゴを知る50人を超える世界各地の関係者たちへのインタビューを収録し、4人の知られざる素顔とビートルズへの愛溢れるエピソードを収録したロード・ムービー・ドキュメンタリーだ。

萩原健太は開口一番、「僕はどちらかというと、ビートルズよりブライアン・ウィルソン(ザ・ビーチ・ボーイズ)の大ファンなので、これはブラインのインタビューの箇所、とても興味深く楽しみました。」と会場に集まったザ・ビートルズ・ファンに、軽いジョブを打つと、藤本国彦は「大丈夫です。僕は、今日『リボルバー』のTシャツ着てきましたから」と優しいサポート発言をして会場を和ませた。

ブライアン好きな萩原健太いわく「当時のビートルズはブライアンの影響を受けており、特にポールのベースラインはブライアンの影響でとても変わったラインを挑戦していた。いろんな意味でポールは“(愛すべき)困った人”だ。誤解を招くので言っておくが、一番好きなメンバーはポールだよ」と言及。また「Let It Be」の収録映像で、ポールがジョージを叱るシーンを回想、藤本国彦は「あの当時は、ジョンもポールと一緒になってジョージに弾き方を指南している。ジョージは律儀な性格だから、ホワッとした演奏ができなくて、みんなから指摘されているんですよ」と分析。また本編で様々なアーティストがビートルズ・メンバーの話を回顧しているが、両氏は「ポールに関する話はあまり面白くないよね。彼はそつがないのか、穏やかで優しい話が多い。その場にいる人達に気を使ってくれる良い人なんだけど、人間として“破綻”がない(笑)」と分析、「リンゴは明るい!実は70年代に奥さんとこっそり日本に来ていて、へべれけに酔っぱらっていたらしい。どうやら、暴飲はこの頃には…。」と話すが、やはり二人の見解の一致として「やっぱり、ジョンでしょう。あの人は、真っ正直すぎて全ての感情が出ちゃう。だから、人や時期によって印象が違ったり、キャラクターが異なる気分屋。めんどくさい感じ」とバッサリ。

「とは言え、彼こそ愛すべきキャラクターで、(本編中に出て来たジョンの当時の愛人)メイ・パン曰く『彼は、ハイとロウの時しか本領を発揮しない』。それ以外は“創作能力ゼロ!”な感じがジョンの面白いところ」と、各メンバーを分析した。

また、ジョンとヨーコの関係性として「ジョージが以前に指摘した通り、“怠け者、いつも寝てばかり”のジョンは、実はヨーコさんの存在がジョンの創作活動に大きく影響が与えていた。ヨーコさんといた時期は思考的にも思想的にも過激になっていたが、晩年には“レーガン大統領を支持していた”と噂されるほど、保守的な思考にもなっていたんだろうなというジョンの変動ぶりは「ダブル・ファンタジー」などの曲からも、少し垣間みれる」と当時の曲風と重ね合わせて解説する。

「この映画を観て、実はジョンは保守的に方向転換したのではなく、歳をとってからは、昔のジョンに戻っただけなんじゃないか、と確信した。」と両氏の見解が一致した。

また、本編に出て来たアート・ガーファンクルのコメントが“超意味深”だということに言及。1975年のガーファンクルの再結成時に、ポール・サイモンとポール・マッカートニーの間で例の話(アート・ガーファンクルとビートルズの奇跡のコラボレーション)が浮上していた噂が本当の出来事だったのではないかということを確信したという両氏の分析が一致。ただし、そのタイミングでジョンとヨーコが倦怠期(“失われた週末”でジョンがメイ・パンと同棲していた時期)を終えて再会、また二人の独自路線が復活した時期だったので、この企画は叶わずだったんですよね」という結論に至った。

イベント最後に、両氏が特別に持ち込んだお宝モノを披露。萩原健太は、本作の監督であり自らがミュージシャンであるセス・スワースキーのDVDを2枚を紹介、如何にザ・ビートルズに影響されているかを解説。一方、藤本国彦は2002年頃に来日したクラウス・フォアマンの取材時に特別にサインをしてもらった日本盤アルバム『リボルバー』とそのクラウスを撮影したカメラマン岩瀬陽一の写真を12枚ほどを紹介。会場のファンからはうなるような歓声が上がった。

今週1週間限定上映とあって、両氏は「この映画は何度も観ないといけないから大変。また映画館に来ないと」と、会場の笑いを誘った。


『ビートルザと私』
製作・監督:セス・スワースキー
編集:マイク・ポープ
出演:ブライアン・ウィルソン(ザ・ビーチ・ボーイザ)、アート・ガーファンクル(サイモン&ガーファンク ル)、デイビー・ジョーンザ(ザ・モンキーザ)、ジョン・ヴォイト「真夜中のカーボーイ」「帰郷」、スモーキー・ロビンソン(ミラクルザ)、スザンナ・ホフス(バングルス)ほか
2011年アメリカ映画 /85分 /ステレオ
(C) Cinema Libre Studio
配給:ジェットリンク
http://beatles-stories-movie.com/
9月28日(土)よりシネマート六本木ほか一週間限定公開中
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