【ライブレポート】倉木麻衣、<Mai Kuraki Symphonic Live -Opus 2->に盛大なスタンディング・オベーション「みなさんに夢と希望を与えられるような、そんな歌を歌っていきたい」

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9月23日日曜日、東京・池袋の東京芸術劇場にて<Mai Kuraki Symphonic Live -Opus 2->が開催された。 その詳細レポートをお届けしたい。

◆倉木麻衣 拡大画像

これは前年の“Opus 1”に続くもので、演奏は東京フィルハーモニー交響楽団、アレンジと指揮は藤原いくろう、というおなじみのメンバー。クラシック・コンサートならではの落ち着いた雰囲気と適度な緊張感漂う中、まずは楽団のみでビゼー「カルメン」の有名な前奏曲を勇壮に披露。間髪入れずに真紅のドレスに身を包んだ倉木麻衣が登場し、1曲目「Revive」を歌い出す…というドラマチックな展開で、フルオーケストラならではの深く豊かな音の世界へと観客を誘う、見事なオープニングだ。

「今日は素晴らしい楽器の音色と共に、歌をお届けします。クラシカルな雰囲気をたっぷりと味わっていただきたいと思います」

最初の挨拶を終えると、ここからはよりしっとりと、スローなテンポの曲が続く。ゲスト・ピアニストの秋場敬浩が華麗なソロを弾く「冷たい海」や、原曲の持つ和風でノスタルジックなムードをより強調した「さくら さくら…」など、おなじみの曲が新たな命を吹き込まれたように新鮮に響く。さらに倉木麻衣ならではの、柔らかい高音、はかない声質、それでいて力強さのある歌声も、まっすぐに届いてくる。「さくら さくら…」の最後を締める美しく揺れるハイトーンは、まさに絶品だ。

大きな優しさを秘めたバラード「Start in my life」と、明るいブルーの照明との組み合わせが生む壮大さ。「Reach for the sky」の、波のように寄せては返すコーダの美しさ。「風のららら」の、いつまでも耳に残るオーボエやフルートなど木管楽器の郷愁を誘う音色。1曲ごとにドラマがあり、色があり、感情がある、クラシック・コンサートならではの醍醐味がここにある。

ここまでで約1時間、そして20分の休憩を経て第二部がスタート。オーケストラが倉木麻衣に捧げるオーバーチュア「Prelude for Mai.K」を奏でると、今度は輝くような白/銀のドレスを身にまとって歌姫が再登場。ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』のテーマ曲に続けて、『オズの魔法使い』から「虹の彼方に」をメドレーで披露し、そこから軽やかなリズムを持つファンタジー色の濃い「不思議の国へ」とつなげる展開は、流れるようにスムーズだ。この曲では照明と映像の演出も素晴らしく、ステージ上方のパイプオルガンをスクリーンに見立て、白い鳩やうさぎが駆け抜けたり、ステンドグラスの模様に変わったり、趣向を凝らした映像が夢見るようなイマジネーションを刺激する。

「クラシカルな雰囲気、楽しんでいらっしゃいますか?」

次の曲を紹介する前に、もう一人のゲスト・ピアニスト、松ヶ下宏之と、ヴァイオリンのMeiを呼び込み、Meiの弾く特別なヴァイオリンのエピソードが語られる。この楽器は、震災で流された流木で作られたこと、“魂柱(こんちゅう)”と呼ばれる中心部には“奇跡の一本松”の一部が使われていること。“千の音色でつなぐ絆”プロジェクトの一貫としてヴァイオリンがリレーされていて、この日この楽器を弾くMeiが187人目の演奏者であること--。そして歌った「あなたがいるから」の、深い思いをこめた歌声の神聖な響き。演奏後の観客の拍手の熱量は、おそらくこの日最も高いものだった。

さらに「希望ある歌です」と前置きして歌った「明日へ架ける橋」、通常のコンサートでも終盤の定番曲である「chance for you」、そして14年前のデビュー曲「Love, Day After Tomorrow」。いずれもなつかしく、しかしいつまでもみずみずしい曲を続けて聴かせ、フォルティッシモをいくつも付けたくなるような、力強く壮麗なオーケストラの音色が最後を締めくくる。深くお辞儀し、大きく手を振ってステージを去る倉木麻衣。ここまでで約2時間、フルコースのディナーのようなボリュームたっぷりのショータイム。しかし、拍手は鳴り止まない。

「ありがとうございます。これからも、みなさんに夢と希望を与えられるような、そんな歌を歌っていきたいと思います」

笑顔の挨拶に続き、アンコールの1曲目は、第一ヴァイオリンの首席奏者が奏でる情熱的なソロで始まる「Time after time~花舞う街で~」。そして「いつものように、盛り上がって楽しんでください」という言葉のあと、最後に歌われた「always」。松ヶ下宏之、Mei、そしてコーラスの麻亜奈も再登場して演奏に加わり、軽くステップを踏みながら歌う倉木麻衣に、観客は満場の手拍子で応え、リフレインを斉唱する。オーケストラのメンバーも弾く手を止めて、全員笑顔で手拍子だ。そしてフィナーレはもちろん総立ちのスタンディング・オベーション。場内が明るくなっても、熱狂的な拍手はしばらく止まらなかった。

倉木麻衣の透明感あふれる歌声と、オーケストラの壮大な演奏との相性の良さをたっぷりと堪能できた2時間半。このあと“Opus 3”“Opus 4”と続いてゆくのが楽しみな、深い余韻を残す後味さわやかなコンサートだった。

取材・文◎宮本英夫

<Mai Kuraki Symphonic Live -Opus 2->
2013年9月23日(月・祝)@東京芸術劇場 コンサートホール セットリスト
PRELUDE 【CARMEN (BIZET)】
M1 Revive
M2 冷たい海
M3 儚さ
M4 さくら さくら…
M5 Stay by my side
M6 Start in my life
M7 Reach for the sky
M8 風のららら

Overture 【Prelude for Mai.K】
M9 The Sound of Music Special Medley
M10 不思議の国
M11 あなたがいるから
M12 明日へ架ける橋
M13 chance for you
M14 Love, Day After Tomorrow

EC1 Time after time ~花舞う街で~
EC2 always

◆倉木麻衣 オフィシャルサイト
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