【インタビュー】eliは渋谷系をどう見ていたのか。本当は何をやりたかったのか?
■筒美京平さんもお断りしましたよ。大御所は全員ムリだから(笑)
──(アーティストは)もう憧れの対象じゃないんですよ。隣にいるお兄ちゃんお姉ちゃんだったりしてね。
eli:みんな芸人にマトモを求めるじゃん。マトモじゃないから芸人なんだよ、みたいな。ミュージシャンもバカだからミュージシャンやってんのに、"人間として"みたいな、そんなことばっか言うから天才がいなくなっちゃったんじゃん。普通に芸人がツイッターやってんだよ。降りて来ちゃうから、あの人たち。ファンでいることはファンでいいのよ。ファンだけど会いたくない。でも、リスペクトするからだよ。自分が好きじゃないと平気で会えたりする。確かね、作曲家の、有名すぎて名前忘れちゃったけど、小沢君の曲も作って…。
──筒美京平さん?
eli:筒美京平さんだ、もお断りしましたよ。
──えっ。
eli:あたしでやりたかったんですって。周りに小沢君とかピチカート・ファイヴがいるので、どうですかって話になって向こうに行ったの。でも、お会いする前にお断りして。筒美京平さんがどんな人かは知らないけど、曲はほとんど知ってるじゃん。怖いよ、そんなの(笑)
──筒美京平さんはちょっとアクの強い女性ヴォーカルが好きなんですよ。平山三紀さんとかね。そういう人たちをすごくかわいがっていっぱい曲を提供してあげるっていうのをずっとやってきた人だから。それでひっかかったのかもしれない。
eli:ひっかかたんですって。それで、嫌~~~~って(笑)
──いいじゃないですか、それは(笑)
eli:いやー、でもやっぱり。
──あの人は裏方じゃないですか。
eli:裏方でも、なんだっけなぁ。松本隆さんがあたしのこと(ツイッターで)フォローしてくださってるんだけど、いや~~~~~って思うよ。ヘタなこと言えなくなるじゃん(笑)なんでわざわざあたしなの?って。あと○○○○さん(註:伏せておきます)に実は内緒のアカウントがあって、あたしのことフォローしてくれてる。外してよって。外しなさいよって(笑)
──なんで(笑)
eli:恥ずかしいから。へへへへへ。
──天の邪鬼なの?(笑)
eli:でも、そこは、やめて、みたいな(笑)筒美京平さんとかは大御所すぎちゃってムリ。あ、あたし大御所だと全員ムリだから(笑)
──ちょっとわかりました。権威的なのダメですよね。
eli:うん、ダメ。ぜんぜんダメ。もういいやって(笑)(自分が)その名前で出ちゃうじゃん。それもちょっとヤなの。だからプロディーサーとか、例えば、小山田君とか近くにいたじゃん。だからってその人をプロデューサーにする意味が分からないし、それで売れようとしてるのが見えるので。そこは正々堂々としましょうってのもあったから。
──でもいいんじゃないですか。割り切ってれば。
eli:割り切れないからアンダーグラウンドにいるんじゃない。
──そっか(笑)
eli:そうそう。そのときファンだったけど有名人だからって会わなかったことってたくさんあったの。大手の人じゃないかっつって、ケンカ売るかのごとく。もっと、すごい潔癖っていうか。大人になってやっといろんなことに寛大になってきて、そういう人たちとも今は普通に遊べたり飲んだりとか、一緒に何かすることが嫌じゃなくなった。あの時はまぁ、あたしが利用するみたいな気持ちに、そういう風に見られるのが嫌だったっていうか。で、潔癖を止めたっていう。
──なんで止めたんですか?
eli:なんかこう、もうそんなふうでなくていいだろうって。今は大手だからってあの頃みたいな100万枚とかいうレベルじゃないのね、ぜんぜん。1万枚売るのに必死こいてるわけでしょ。でも、良質な音楽を出したいっていう気持ちもあるわけだよね。そういう人たちとは志が一緒なので。まだ音楽が好きだって思ってる人たち全員で。メジャーもインディーズも関係なくなったでしょ。インディーズで作ってるけど流通は大手だとかいっぱいあるもの。
──いまは超メジャーかそれ以外かですね。
eli:そうそう。それ以外の人たちでもっとこう盛り上がるようにするために、一緒に手を組んでがんばる。時代が変わって、もう音楽を買う人たちが変わっちゃったんだよ。