【ライヴレポート】トラブルも一蹴のミスチル、壮大な演出で魅せたMUSE、存在感抜群のスマパンなど登場<SUMMER SONIC 2013>東京会場メインステージ2日目

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熱狂のうちに幕を閉じた<SUMMER SONIC 2013>。今回も熱いライヴ、素晴らしいパフォーマンスが数多く展開された。そのなかから、東京会場2日目のメインステージで特に印象に残ったライヴを紹介する。


▲IMAGINE DRAGONS Photo by 中河原理英
前日に続いて酷暑となった8月11日。マリンステージではイキのいいライヴを見せたMAN WITH A MISSION、期待を裏切らず楽しいパフォーマンスで沸かせたZEBRAHEADに続き、“2012年にもっとも成功した新人ロックバンド”と言われるIMAGINE DRAGONSが登場した。ステージには中央に大きな和太鼓、フロントには大太鼓、さらに複数のフロアタムなど“タイコ”系のパーカッションがいっぱいに並ぶ。そして和太鼓と大太鼓の野太いビートから始まったライヴは、前評判のとおりスケールの大きさを感じるものだった。バスドラムの4つ打ちをベースに大きなノリのリズム、広がりを感じる明快なメロディに、時おりタイコ類がアクセントをつける。マンドリンによるアジア風フレーズが重なるサウンドもユニークだ。“数年前に作ったこの曲を本当に東京で演れてうれしい”と話した「Tokyo」は、サビの“トキヨ、トキヨ”の連呼も印象的だった。初めのうちはおとなしく見ていた観客も次第に心を動かされたようで、最後にメンバー全員がタイコを打ち鳴らす迫力のパフォーマンスを見せた頃には、大きな手拍子や歓声が沸いていた。


▲John Legend Photo by 中河原理英
さすがの実力を見せつけたのが、ソウル・シンガーのJohn Legendだ。2人のセクシーな女性コーラスを引き連れて登場し、歌い始めるとすぐに真夏のスタジアムをムーディな雰囲気に一変させてしまった。R&Bテイストの落ち着いた曲を中心に、よく通るセクシーな声で表現力豊かなヴォーカルを響かせた。ステージ中央でグランドピアノに座って弾き語った感動的なバラードや、オリジナルよりソウルフルなサイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」はとくに印象的だった。


▲Smashing Pumpkins Photo by 中河原理英
この日のマリンステージで、ユニークな存在感で異彩を放っていたのがSmashing Pumpkinsだ。登場したときから他のバンドとは違うオーラを放っていたし、演奏が始まるとすぐに独特の空気感がスタジアム全体を包み込んだ。さすがにこの暑さの中、アリーナこそ後方に空きが目立つような入りだったが、スタンドはぎっしり満席で、ゆったりとしたテンポのアルペジオから始まった演奏には、すぐにスタジアム全体から手拍子が沸いた。マイク・バーンの粘っこいリズムに乗ったビリー・コーガンとジェフ・シュローダーのどこか不安を感じるようなギター、ニコール・フィオレンティノの放つゴリゴリの重低音ベースが、独特の混沌とした不安定な、それでいてへヴィなサウンドを作り上げていく様は、まさにスマパン・ワールド。フェスでもブレずに個性を発揮しているのが彼ららしいところ。“後ろの方の人はつまらないのかな?”などとMCでもまったくのマイペースぶりだった。デヴィッド・ボウイの「Space Oddity」や、「Tonight, Tonight」、「Today」といった代表曲を連発したステージに、大満足したファンも多かっただろう。


▲Mr.Children Photo by 薮田修身(FEMME)
夕方になって、マリンステージは超満員となった。アリーナはもちろん、スタンド席の階段や通路にもぎっしりと人が並ぶ。今年のサマソニの目玉の一つ、Mr.Childrenを見ようと大勢が駆けつけたのだ。人が増えたため、スタジアムの気温がまた上がったのではないかと思った頃、Mr.Childrenがステージに登場。1曲目からいきなり「名もなき詩」が始まると、イントロで悲鳴のような大歓声、そして曲がサビに入ると大合唱が沸き上がった。MCで“ミスチルを好きじゃない人でも、初めて見る人でも、心の隙間に届くように心をこめてやります”と語った桜井、ステージ全体を駆け回りながら、本当に力のこもった歌いっぷりだった。少し暗くなったスタジアムの外ではひっきりなしに稲妻が光り、ときおり雷鳴が轟音を響かせていたが、ステージ上も客席もそんなことはお構いなしに盛り上がる。中盤、ロックチューンを立て続けにプレイしてスタジアムのボルテージが最高潮に達したときだった。「フェイク」の途中で、突然すべての音が出なくなるという機材トラブルが発生。しかし音が途切れるとすぐに客席が大合唱でフォロー、しばらくは客席からの歌声だけで曲が続いた。音が出るようになったのを確かめた桜井は“トラブル大好きです!ワクワクするよ。 暑くてダレそうだったけど、今のでテンション上がった!”と叫び、曲のアタマから再びプレイ。桜井の言葉通り、前にもまして力強い演奏に、客席はさらに熱狂。「Innocent World」で締めくくられるまで、大合唱と大歓声が続いた。


▲MUSE Photo by 中河原理英
灼熱の2日間を締めくくったのはMUSE。ステージを丸く囲むように配置された照明が映える美しいステージに、クリス・ウォルステンホルムがベースを光らせながら、マシュー・ベラミーがギターでノイズを出しながら手を挙げて登場すると、荘厳な雰囲気の「Supremacy」からドラマチックにライヴがスタートした。マシューはギターに組み込まれたエフェクターやシンセパッドを駆使して多彩な音色を操り、クリスは腹に響く重低音を奏で、ドミニク・ハワードはパワフルでタイトに、そしてへヴィにリズムを刻む。とてもトリオとは思えない重厚で緻密な演奏は、あっという間に満員の観客を熱狂させた。とにかくライヴの見せ方も聴かせ方もうまいのだ。演奏のうまさ、力強さはもちろんだが、「Supermassive Black Hole」のようにサビで大合唱できる曲がほとんどだし、「Hysteria」のように、それだけで盛り上がってしまうようなカッコいいベースラインの曲もある。ドラマチックでわかりやすく、ノリやすい曲ばかりなのだから、盛り上がって当然だ。さらに、MUSEといえば大掛かりな演出で視覚的にも楽しませてくれることで有名だが、そのあたり今回のサマソニでも手抜きはなかった。色とりどりのレーザー光線も随所で使われたし、ステージ最前列からは、ステージを覆い隠すほどの大量のスモークがバンバン噴き上がる。本編が終了したときにはビデオが上映され、アンコールの待ち時間を飽きさせないし、終盤には直線で構成されたいかにもアナクロなロボットも登場。本当に楽しいライヴだった。最後の「Knights Of Cydonia」がエンディングにさしかかったところで、スタジアムの外で花火が上がり始めたのも感動的だった。フィナーレを飾るのにふさわしい、素晴らしいステージだった。

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