【ライブレポート】<ワールドハピネス>話題のバンド、おそ松くんズに細野晴臣も登場し8時間を超えた夢の祭典
2013年のワールドハピネス(以下ワーハピ)、最大の注目は大トリに出演するThe おそ松くんズ。20時過ぎ、会場にバンドの登場を告げるアナウンスが流れ、左右の巨大モニターに映し出されたのはスネークマンショーの咲坂守(小林克也)と畠山桃内(伊武雅刀)。
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咲坂守畠山桃内アワーで始まったThe おそ松くんズ。ふたりのゆる~いトークでまずはバンド紹介。バンド・メンバーは小山田圭吾、小原礼、Dr.kyOn、佐橋佳幸、高橋幸宏、ゴンドウトモヒコの6つ子=おそ松くん。ここに曲毎にゲストが加わる構成で最初のゲストは鈴木茂。みずからがボーカルをとったはっぴいえんどの「花いちもんめ」で幕を明けた。「ラーメン食べたい」での矢野顕子と奥田民生、「LABYRINTH」での大貫妙子と鈴木慶一といった豪華なコラボレーションが見られるのはThe おそ松くんズならでは。
そして画面の咲坂守畠山桃内アワーに写ったのは坂本龍一と細野晴臣! 2008年の第1回以来、毎年トリに出演していたYMOの参加が今年はなかっただけに、このサプライズ・ゲストの発表に会場内からは怒濤のような歓声が起きる。
高橋幸宏、坂本龍一、細野晴臣の3人が揃って演奏されたのは、YMOファンお馴染みの「TIBETAN DANCE」に「ファイアークラッカー」。アンコールには咲坂守と畠山桃内が画面から抜け出しいよいよステージに登場。「シンナーに気をつけろ」や「青春はウンコを越えて」等の懐かしのネタを披露し、スネークマンショー唯一のシングル曲「咲坂と桃内のごきげんいかがワン・ツゥ・スリー」。The おそ松くんズのメンバーが再びステージに集まり、“Here We Go Everybody,C'mon Rock' Roll”の合唱。およそ感動とは程遠い、ゆる~いフィナーレではあったが、このゆるさこそが、The おそ松くんズやワーハピらしいエンディングでもあろう。
今年のワーハピのもうひとつの注目は、2つの新しいバンドがこの会場でお披露目をすること。ひとつは第1回以来欠かさず参加している鈴木慶一の新バンドControversial Spark。ギター×3+ドラム&ベースの5人編成。ソリッドなゴリゴリのロック・サウンドでフロントには慶一と女性ギタリストのkonoreのふたりが立ち、終始ツイン・ボーカルを聴かせた。
もうひとつは、今春に堀込泰行が脱退し、堀込高樹がグループを継承して6人編成となった新生KIRINJI。注目の新曲は2曲目に演奏した「fusitive」で、メイン・ボーカルはコトリンゴ。もう1曲の新曲の「holiday」では堀込高樹がボーカルをとる。メンバーにスチール・ギター奏者がいることもあってか、全体のサウンドは、のどかなカントリー&フォーキー調。バンド内にボーカリストが二人いるのは興味深い。新曲は2曲のみだったが、新しいKIRINJIの方向性を期待させるステージであった。
ワーハピはのんびり、ゆるく過ごせるのが他のフェスと違う特徴でもある。そんな独特の空気に呼応したのは矢野顕子と奥田民生。お客さんには知らされてないが、実はこのふたり、事前にセットリストを決めていなかった。ステージに上がって、その場で考えるというスリリングな体制で臨んでいたのである。矢野はピアノだけで、奥田はギター1本で参加したからこそできる技。ふたりとも、その場の思いつきで演奏してるとは、とても思えない流れるような構成で素晴らしいパフォーマンスを披露してくれた。
また、今年のワーハピはレフト・ステージ(サブ・ステージ)が例年以上に充実。“さっきのバンドのギター・ボーカルは、長年私のサポートギターを弾いてくれていた大村憲司の息子のシンジ!シンジ、カッコ良かったよ!こういう出会いがあるのもこのイベントならではですね!”と矢野顕子が絶賛したMIDNIGHTSUNSは、37℃を超える猛暑の中、圧巻の音圧で11,000人のオーディエンスを圧倒。明らかに会場内の温度を40℃まで引き上げた。
トリ前に登場したのはレキシ。例年はトリのYMOに繋ぐ重要なポジション。そんなプレッシャーの中、ボーカルの池田貴史は“この位置に出してもらえたんで、もう潰されてもイイぐらい感激!今日をもって2週間の活動休止に入ります!”といきなりの活動休止宣言から始まり、ソウル&ファンクに歴史を融合(!?)させるというあり得ないパフォーマンスで、1曲目の「きらきら武士」から、会場を総立ちにさせる。勢いづくと演奏時間が際限なく長くなるレキシの対策として、主催者側はパトランプ回転灯を用意。ラストの「狩りから稲作へ」終盤には、遂にパトランプが点灯し持ち時間終了の合図が。泣く泣く終わらせる一幕も。
この日の都内各所では豪雨が降ったが、究極の晴れ男・高橋幸宏のおかげで、夢の島会場では降らず。晴天に恵まれ、過去最大規模の18組のアーティストが出演し8時間を超える長丁場となったが、長さをまったく感じさせない1日となった。最後はサプライズで細野晴臣も登場し、ワーハピ・ファンを多いに満足もさせた。
今年は6年目なので6つ子=おそ松くんズだったが、来年のキャラクターはウルトラセブンもしくは007?
撮影:TEAM LIGHTSOME
<WORLD HAPPINESS 2013/セットリスト>
日時:2013年8月11日(日)
会場:東京:夢の島公園陸上競技場
01.大橋トリオ
マチルダ/Seven days/サヨナラの雨 /僕らのこの声が君に届くかい
02.Controversial Spark (incl.鈴木慶一)
in May /in June /夢の晩餐 /I hate and I love you
03.高橋幸宏
Looking For Words /Time To Go /The Old Friends Cottage
All That We Know /World In A Maze /Follow You Down
04.MIDNIGHTSUNS
The Crown Song /Nikita /MAPS /ROCK BAND
05.清水ミチコ
ひとり多重フェス/作曲法シリーズ /丘を越えて with 矢野顕子
06.矢野顕子
海のものでも、山のものでも /セラピー(忌野清志郎カバー)/いい日旅立ち(谷村新司カバー)/ひとつだけ
07.ヒカシュー
筆を振れ、彼方くん /生きること /入念 /夕方のイエス、朝方のノー /マンハッタンの口琴 /バイク1996 ver.
08.スチャダラパー
アーバン文法 /ライツカメラアクション /Let It Flow Again / GET UP AND DANCE
今夜はブギー・バック /ザ・ベスト /サマージャム
09.TOWA TEI
最新アルバム『LUCKY』よりAPPLE 、UPLOAD、RADIO等をプレイ
10.柴咲コウ
かたちあるもの /KISSして(KOH+) /恋の魔力(KOH+)/wish /月のしずく(RUI) /最愛
11.トクマルシューゴ
Katachi /Poker /Green Rain /La La Radio /Rum Hee
12.salyu × salyu
Sailing Days /じぶんがいない/ただのともだち /Mirror Neurotic /奴隷
13.GREAT3
彼岸 /綱渡り /Little Jの嘆き /エデン特急
14.大貫妙子
ピーターラビットと私/横顔 /都会/Mon doux Soleil /ファム・ファタール
15.KIRINJ
ナイーブな人々 /fusitive(新曲) /仔狼のバラッド /holiday(新曲)
16.奥田民生
マシマロ /イージュー☆ライダー /風は西から(新曲) /それはなにかとたずねたら/コーヒー /さすらい
17.レキシ
きらきら武士 /大奥 /狩りから稲作へ
18.WH13 SPECIAL BAND <The おそ松くんズ>
01. 花いちもんめ <はっぴいえんど /AL『風街ろまん(1971)』収録> with 鈴木茂
02. ほうろう <小坂忠/ AL『ほうろう(1975)』収録曲> with 小坂忠
03. ラーメン食べたい <矢野顕子/AL『オーエス オーエス(1984)』収録曲> with 矢野顕子、奥田民生
04. ダンス・ハ・スンダ(Dance Is Over)<サディスティック・ミカ・バンド/AL『SADISTIC MIKA BAND(1973)』収録曲> with 奥田民生
05. LABYRINTH <大貫妙子/AL『クリシェ(1982)』収録曲> with 大貫妙子、鈴木慶一
06. TIBETAN DANCE <坂本龍一/AL『音楽図鑑(1984)』収録曲> with 坂本龍一、細野晴臣
07. ファイアークラッカー <YMO/AL『YELLOW MAGIC ORCHESTRA(1978)』収録曲> with 坂本龍一、細野晴臣
08. 咲坂と桃内のごきげんいかがワン・ツゥ・スリー <ユー・アンド・ミー・オルガスムス・オーケストラ /AL『スネークマン・ショー(1981)』収録曲> with 咲坂守・畠山桃内+ALL
BAND:小山田圭吾、小原礼、Dr.kyOn、佐橋佳幸、高橋幸宏、ゴンドウトモヒコ
◆WORLD HAPPINESS 2013公式サイト
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