【ライブレポート】ザ・ローリング・ストーンズ、「新たな伝説」を書き加えたハイドパーク野外ライブ

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ストーンズ・マジックは健在だった!現世界最強の現役ロックンロール・バンドによる、現世界最強のロックンロール・ショー。ブライアン・ジョーンズの死から44年後にあたる2013年7月6日、ザ・ローリング・ストーンズは初期の彼らがR&Rマジックを身に付けたホーム・タウン=ロンドンのハイドパークで再びライヴを行った。

◆ザ・ローリング・ストーンズ画像

英国らしからぬ灼熱の太陽が照りつける真夏の午後、ロンドン最大の公園に世界中から集まった7万人以上ものストーンズ信者たち。これが単なる懐メロ・ショーじゃないことは、当日の客の驚くほど若い年齢層を見てもわかる(今のストーンズの客は50~60代の原体験世代と同じくらいティーンや20代が多い)。“若さ”が売り物の音楽界でキャリア50年を迎えたバンドにとって、これは奇跡と言うしかない。デビュー50年目で再び「グローバル規模の新現象」を起こすロック・バンドなんて、後にも先にもストーンズだけだろう。

「イッツ・オンリー・ロックンロール」「黒く塗れ」「ホンキー・トンク・ウィメン」「ギミー・シェルター」「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」「悪魔を憐れむ歌」「ブラウン・シュガー」etc、当日のセットを飾る曲のどれもが誰でも知っているヒット曲揃いというのも凄いが、「近代ロックを定義づけた名曲」ばかりというのも凄すぎる。

更に今回最も印象的だったのは意味深な“伏線”がてんこ盛りのライヴ構成。今より緑が多かった1969年のハイドパークに因み、巨木の模型(!)をスクリーンの縁にあしらった舞台セット、「蝶」のモチーフを胸にあしらったミック・ジャガーの衣装など、あの歴史的なライヴを連想させる無言のヒントが幾つもあった。と同時に、あれから44年後の今も「俺達はまだ止まらない!」と言わんばかりの「スタート・ミー・アップ」で高らかに始まったオープニング。どう考えても「今後の活動」を匂わせているとしか思えない。

「今年のハイドパーク・ライヴはノスタルジアだけじゃない」とミック・ジャガー自身も語っていたが、あの言葉の意味が今回のライヴを観て初めて判った。最近はキースも「もう60周年記念の話をしている」と明かしていたし、欧米メディアでは「南米、豪州、アジア(!)ツアー」の噂も既に出始めている。

キャリア50年目で再び新ルネッサンス期に突入したロック史上初の、驚異のバンド=ザ・ローリング・ストーンズ。そんな彼らの「新たな伝説」を書き加えた今回のライヴは、今後映像作品化されるとの噂もあり(録音はあのボブ・クリアマウンテン)。2014年こそはぜひ悲願の再来日公演も!

撮影:有賀幹夫
取材・文:児島由紀子

今回のハイドパークでもライヴ撮影を行ったオフィシャル・フォトグラファーの有賀幹夫は次のようなコメントをロンドンより寄せている。

「ザ・ローリング・ストーンズのライヴは、結成50周年である2012年も末になってから遂に開始。最初の公演地はロンドン02アリーナだったわけで、これはメンバー自身によるバンドの出発点を意識しての同地決定だと思った。続いて全世界TV生中継のニュージャージー、2013年はアメリカツアー、夏はイギリスの大きな野外イベント出演という、これまでにはなかった2国間を交差する今回のライブ活動形態はとても新鮮だ。そして動員新記録を作ったグラストンベリーに続き、ハイドパークで実に44年ぶりとなる2公演、その1回目が遂に行われた。メンバー登場直前に流れた映像は集まった6万人のオーディエンスそれぞれを感慨深い気持ちさせるような内容で、ストーンズのように長い歴史のあるバンドだけが作れる世界にいきなり持っていかれた。そしてオープニング、野外数万人規模のステージなので1990年代のスタジアム・ツアーの時のように即座に左右の端まで移動するミック、以前よりステージ・センターから動かずかわりにミックを含む各メンバーとさかんにコンタクトをとりあうキース、というのが最初の印象。その後の急ぎの撮影仕上げ対応もあり本編途中に会場を離れなければならなかった。帰りに目にしたのは公園エリアの外側の壁際で、驚くほど多くの人々が、壁の向こうから聴こえてくるストーンズの曲に聴き入っている姿。ハイドパーク公演は収録のためだろうが、これまで見た事のない程の映像カメラ数に驚いたが、この会場の外の人々も撮ってほしい、と思った。」

有賀幹夫は13日のハイドパーク公演でも撮影を行う。ロンドンから2日目のライヴレポートもお届けする予定だ。

<ザ・ローリング・ストーンズ 7月6日@ロンドン・ハイド・パーク>
1.Start Me Up
2.It's Only Rock 'n' Roll ( But I Like It )
3.Tumbling Dice
4.All Down the Line
5.Beast of Burden
6.Doom and Gloom
7.Bitch( with ゲイリー・クラーク・ジュニア)
8.Paint It Black
9.Honky Tonk Women
10.You Got the Silver
11.Before They Make Me Run
12.Miss You
13.Midnight Rambler (withミック・テイラー)
14.Gimme Shelter
15.Jumpin' Jack Flash
16.Sympathy for the Devil
17.Brown Sugar
Encore
18.You Can't Always Get What You Want (with London Youth Choir )
19.(I Can't Get No ) Satisfaction (with ミック・テイラー)
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