【インタビュー】flumpool、デビュー5周年を彩る名曲誕生。「苦しいこともある毎日だけど、その中で必死に頑張る人を音楽の力で応援したい」
10月にデビュー5周年を迎えるflumpoolが、節目の年にふさわしい超強力なダブルAサイドシングルをリリースした。鮮度の高い“今のflumpool”と“flumpoolの王道”がそれぞれ見事に体現された「大切なものは君以外に見当たらなくて/微熱リフレイン」だ。 5月にはシンガポールで開催された<J-ROCK MATTERS>に日本の次世代を担うバンドの代表として出演。また、ギターの阪井一生がダイエットに専念するためビジュアル面での活動を一時休止し、代わりにNON STYLE井上祐介がビジュアル面をヘルプで担当するなど、話題満載の彼らに今作について語ってもらった。
◆重要なのは君が今、ただ生きているっていうこと。それに比べれば他のことなんか些細なことなんだよ(山村)
――まずは5月に行われたBARKS主催の<J-ROCK MATTERRS>の感想を少しお聞きしたいんですが、シンガポールでのライブはいかがでしたか?
小倉誠司(以下、小倉/Dr):世界的規模のイベントに出させていただいて、光栄でしたね。
阪井一生:(以下、阪井/G):お客さんの声援がものすごくて、みんな楽しんでくれてるんだなっていうのが伝わってきて、うれしかったです。
山村隆太(以下、山村/Vo&G):ほんとにすごい声援だったんですよ。最初、ホテルの控え室で出番を待ってるときに大声援が聞こえてきて、すごい人気のバンドが出てるんだなぁと思ってたんです。で、僕らの出番になったら、同じようにものすごい大声援が起こって。最高の気持ちでしたね。なんか、売れっ子のような気分になって(笑)。
――いや、売れっ子ですから(笑)。
尼川元気(以下、尼川/B):あと、向こうって夜中の1時になっても家に帰る人がいなくて、ずっと盛り上がってるんですよ。それが驚きだったし、おもしろかったです。マジ元気やなぁーって思って(笑)。
山村:日本じゃ苦情来るよね?(笑) 夜中にあんなに盛り上がってたら。でもそれだけ向こうは音楽に対して寛容というか、音楽は守るべき文化だっていう認識があるんでしょうね。それがちょっとうらやましかったです。
――MCも外国語で話されたんですか?
山村:英語ですね。シンガポールは60%ぐらいが英語らしいんですよ。
小倉:でも英語って言っても、正確には純粋な英語じゃなくて“シングリッシュ”って言うらしくて、シンガポールの訛りがある英語、みたいな。
――じゃあ隆太さんもシングリッシュで?
山村:いや、僕は普通の英語で話しました。シングリッシュって語尾に“ラー”を付けるらしいんですよ。“OKラー”とか。だからステージで「OKラー!」って言おうかなって思ってたんですけど、ステージでは使うのを忘れました(笑)。
――でも台湾ライブの時はMCを全部中国語で話したり、シンガポールでは英語で話したり。
山村:はい。まぁメンバーは楽器なんでね、楽器は世界共通じゃないですか。ギターで音を鳴らせば通じるところがある。でも僕は歌なんで、言葉を伝える以上、行った先の国の言葉も勉強しなきゃなと思ってます。
――なるほど。で<J-ROCK MATTERS>の翌日は、現地でファンミーティング的なライヴも行ったんだとか。
小倉:そうですね。アジアで発売した『experience』の購入者特典で、抽選で当選した人が来てくれて。
山村:あれって何人ぐらい集まってくれたのかな? 3万人とか4万人とか……。
尼川:それ、言い過ぎですね(笑)。
阪井:400 人ぐらいかな。
隆太:何十万人の応募の中から400人(笑)。
――盛り上がりました?
山村:はい。やっぱりすごく熱かったです。もちろん日本語で歌ったんですけど、言葉の壁とかそういうものは簡単に超えられるんだなって思ったし、そこにいる人達と繋がりみたいなのを強く感じて、音楽の力って僕らが想像しているよりもはるかに大きいんだなっていうのを実感しましたね。
――なるほど。さて、flumpoolの2013年第1弾、両A面ニューシングル「大切なものは君以外に見当たらなくて/微熱リフレイン」がリリースされます。「大切なものは君以外に見当たらなくて」は、聴いていて想いがまっすぐ届いてくる曲になっていますけど、この曲はどんなふうに生まれたんですか?
山村:flumpoolは今年の秋にデビュー5周年を迎えるんですね。まぁ世間からしたら5周年なんてたいした数字ではないと思うんですけど。でも自分達としては“僕らは5年間やってきたんだ”って胸張って言えるシングルを届けたいなと思ったんです。それはどんなシングルだろうってずっと考えていた時に、サビのフレーズが出てきたんです。毎日の生活の中で、みんなそれぞれ辛いことはあると思うんですよ。大切なもの、守らなきゃいけないものもいっぱいあって。だけど、重要なのは君が今、ただ生きているっていうこと。それに比べれば他のことなんか些細なことなんだよっていう。きれい事ではなく、すごくそう思ったんです。で、5周年を迎える僕らが胸張って届けられる音楽は、こういうことだなと思って。それで一生に「こういうメッセージを伝えたいから曲を書いてほしい」って頼んだんですよね。
——一生さんはそれをどんなふうに受け止めたんですか?
阪井:テーマとしては今彼が言ったみたいに、力強くて、生命力があるものを伝えたい、と。まぁでも、すごく悩みました。5周年っていうのはやっぱり勝負の年でもあるし、その中で今まで以上に納得できるものを作らなきゃと思って。だから、いろんな音楽も聴いたし、メンバーにも「こういう曲はどう?」って、作っては聴かせ、作っては聴かせして、意見も聞いたし。
――何曲ぐらい書いたんですか?
阪井:いやもう、何曲とかじゃなくて、何十曲。毎日作るペースで、ずーっとやってました。
山村:で、1曲1キロやったっけ?
阪井:そうそう、腹減ったんで(笑)。って、別にそれで太ったわけじゃないですけど(笑)。
――でも制作する時って、大変で痩せるかって言ったら実は逆で、ストレスで食べちゃったりしますよね? 私も原稿が煮詰まった時とか、結構食べちゃいますよ(笑)。
阪井:そうそうそう! ほんとそうっすよね。
山村:共感、ハンパないな(笑)。
阪井:(笑)。で、何十曲と作ってこの曲ができた時、これなら“今のflumpoolです!”って自信を持って出せるなと思ったんです。僕はアラニス・モリセットとかも好きで聴くんですけど、この曲もそういう感じの、アコースティックで始まってガツッと耳に残るような音楽で、今までのflumpoolにはない、新しい曲になったなと思って。
――メロディー自体きれいだし、アコースティックとバンドサウンドが交互に入ってくる感じも印象的ですよね。
山村:そうですね。僕が最初にイメージしてたのは、どっちかって言うと「Because... I am」とか「Answer」みたいな、もっとこう…ゴリゴリした感じの曲にメッセージを乗せられたらなっていうのがあったんです。でも、一生が書いてきたこの曲はカントリーのノリがあったり、でもサビはガツンと来るみたいな。その感じが新しかったし、メリハリもあって、いい曲ができたなと思いましたね。
――歌詞のストレートさもいいなと思いました。
山村:やっぱりストレートなものが一番届くと思うんですよ。で今、僕らflumpoolが届けたいと思っている対象は、すごく明確なんですよね。それは、頑張っている人。頑張れないことを社会や誰かのせいにしてる人じゃなくて、不景気だったりいろんなことがあって苦しい毎日だけど、その中でも必死で頑張ろうとしている人を、僕らは音楽の力で応援したい。だからこの曲がそういう人達に届いて、背中を押せたらいいなと思ってます。
――演奏面では工夫した点とかありましたか?
小倉:この曲って基本、アレンジはシンプルなんですけど、リズムが結構面白いんですよ。メロディはシャッフル跳ねしているのに、ドラムはシャッフルに行かずに普通の16で叩いてたり。そういうちょっとした違和感みたいなのも、この曲の雰囲気を出してると思いますね。
尼川:うん、リズムも気持ちいいし、言葉もうまいことハマってるなと。
◆インタビュー続きへ
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