【ライヴレポート】OLDCODEX、熱狂のツアーファイナルにINORANがゲスト参加
客電が落ちる前なのにオーディエンスは手拍子と声援で、そのときを今か今かと待っている。最新アルバム『CONTRAST SILVER』をひっさげたOLDCODEX全国ツアーのファイナル公演が6月23日(日)にZepp Tokyoで行なわれた。
◆OLDCODEX@Zepp Tokyo 6/23~拡大画像~
2013年2月16日の新木場COASTを皮切りに全国15箇所で行なわれたライヴのチケットは全てソールドアウト。今の彼らの勢いを物語る事実──。実際、OLDCODEXのライヴには胸を撃ち抜かれるような熱さと感動がある。ひたむきにオーディエンスに向かい合い、持てる全てを放出するTa_2のボーカル、鳴らされる音を五感で感じ、その瞬間を真空パックするように次々にキャンパスにペイントしていくYORKE.のパフォーマンス。この2人がOLDCODEXだが、バンドキッズの心意気をそのままにスキルの高い演奏でTa_2とYORKE.の背中を押す楽器陣も含めて“バンド”と呼びたくなる佇まいだ。
ラウドでエモーショナルで甘酸っぱくて爽快感のある曲たちが次々に解き放たれ、前半から完全なる一体感。
「初めてZeppやるんだよ。こんなに入るなんて信じられなくて、ありがとう! オマエら、ホント、いいヤツだよな、ありがとうな!」
Ta_2が感謝の言葉を述べ、YORKE.がOLDCODEXに加入したときの思い出を振り返る。
「最初は路上ライヴからでもいいから、やる覚悟だよって。いつかZepp Tokyoとかでやれるようになれるのかな、ってディレクターとも話してたんだよ」
惜しみなく送られる拍手と歓声。最新シングル「The Misfit Go」に収録されている痛快なパンクチューン「Meteor Train」ではYORKE.が刷毛をマイクに持ち替え、センターでラップする場面も飛び出し、後半ではTa_2が大切な人を亡くしたときのことを親しい友人に打ち明けるかのように話し、“祈りのような曲になった”と「sleepy seaside hamlet」を披露。音楽で旅をしているような錯覚に陥るスケール感で切なくセンシティブな曲を奏でるのもOLDCODEXの魅力だ。その世界を増幅させるYORKE.のアートワークも素晴らしく、スクリーンに映し出される映像とキャンパスを対比させて見せた曲「Elephant over」「美しい背骨」では溜め息と共に拍手が巻き起こった。
バンドのメンバーを紹介するセクション(YORKE.がレナード・コーエン~ニルヴァーナの曲をTa_2がエルヴィスプレスリーの曲をカバーするサプライズも)をはさんで、この日のハイライトと言ってもいい出来事が起こった。
「このツアー、いつも何かが足りないねって思ってて…大事なパズルが……。ホントは全箇所、連れていきたかったんだけど」と2人が話し、「もしかして……」と予感にザワめく場内。そしてTa_2が「紹介しよう! INORAN!!」と叫ぶと狂喜の大歓声にZeppが揺れた。ギターをかき鳴らし、演奏されたのはもちろん、INORANが作曲、プロデュースを手がけた「HEAVEN」。上手、下手へと動きまわり、ひざまづいてギターを弾きながらTa_2と絡み、YORKE.と肩を組む超スペシャルなシーンの連続に場内の熱気はもう沸点に達しそうだ。その強いオーラに誰もが釘づけになったことは言うまでもない。
INORANが去ったあとは2人のテンションもさらにアップし、フロアーを指さし、「一緒に歌えるヤツいるか?」と男子をステージに上げたり、本編ラストの「sick of it!」ではTa_2が今にもダイブしそうな勢いで前列に突っ込んでいく。
予定外のアンコールでは、YORKE.が「一緒に絵を描きたいヤツ、ステージに上がってこい」と叫ぶと、たくさんの手が挙がり、選ばれた2人の女子とOLDCODEXのコラボが実現! 7月17日にTVアニメ『Free!』のOPテーマでもあるシングル「Rage on」がリリースされること、2014年2月から初のZeppツアーを開催するという発表も集まったみんなを喜ばせた。
■INORANさんの熱い部分を肌で感じられて嬉しかった(YORKE.)
■今まで知らなかった種類のカッコよさをINORANさんから感じた(Ta_2)
■共演してみて、また次も何か一緒にやりたいなって気持ちになった(INORAN)
BARKSでは終演後に楽屋を訪れ、ステージで初共演を果たした3人にインタビュー。キャリアの違いを飛び超える繋がりは、ステージで至福の時間を共有したことで、さらに揺るぎのないものになったようだ。
──まず初めて一緒にステージに立った感想を。
INORAN:年甲斐もなく興奮してしまいました(笑)。今まで自分が浴びたことがないような色のパワーがファンの方たちから放たれていて、楽しかったですね。自分の宝物になった4分間だったというか。
Ta_2:ホントに楽しかった! 失礼な言い方かもしれないけど、INORANさん込みでOLDCODEXみたいな感覚で俺はライヴができて、みんな同い年みたいに思えて。
INORAN:(微笑みながら、うなづく)
──混ざり合った感じがあったわけですね。
Ta_2:そう、そう。一緒に音を出すのが幸せだったとか、グルーヴしてたとか、いろんな言葉が全部当てはまっちゃって、まとめて言うと最高にロックしてた。史上最高に使い古された言葉なのかもしれないけど、俺は初めてその言葉を使いたくなるぐらい気持ちよかったですね。
──「INORAN!」って呼び捨てにしていたのも、逆にリスペクトが感じられて良かった。
Ta_2:あの場で“INORANさん”って呼ぶのは逆に失礼だなって思ったんですよね。オーディエンスのテンションもハンパなかったし、「HEAVEN」のMVやメイキング見てる人もいっぱい来てるだろうし。実際に共演してるの見せられたら最高だなって思ってたから、嬉しかった。
YORKE.:俺はMCでも言ったけど、このツアー何かが足りないなと思ってて、今日、一緒に立って“やっぱりINORANさんだ”って。みんな、期待にザワザワしてたからライヴに来てくれたヤツらに最高のプレゼントをあげられるみたいな気持ちになったし、「HEAVEN」の歌詞に出てくる“冷たい太陽”って、INORANさんのことをイメージして書いたんですよ。ふだんはクールな印象だけど、ステージで背中合わせになったときに熱い部分を肌で感じられて嬉しかったし、ホントにパズルがピッタリはまった感覚があった。Ta_2も言ってたけど、ホントはツアーで全箇所ね。
INORAN:廻りたかったね。
──では、INORANさんにとってOLDCODEXの魅力は?
INORAN:すごく音楽してるバンドだと思うし、今日は肌で体感してさらにインパクトを感じたよね。あらためて出会えたことに感謝だし、一緒に音を創れたことが嬉しいし、刺激を受けましたね。
YORKE.:俺もTa_2もすごく影響を受けて、俺は一時期、吸うタバコも一緒になっちゃったぐらい(笑)。レコーディングを一緒にさせてもらって、ただ一言、カッコいいなって。こういう先輩に出会えて、俺らもこの先も走り続けたいっていう目標にもなったし、こんなにスゴイ人なのに同じ目線で話ができる。縁があって同じステージに立てたのはホントに幸せなことで、母親にもありがとうって言いたくなったっていうか。
──生んでくれてありがとうって?
YORKE.:そう、そう。ステージって場所がホントにスペシャルなんだってことをより教えてくれた。
Ta_2:僕は今まで生きてきて知らなかった種類のカッコよさをINORANさんから、ひしひしと感じて影響受けましたね。いろんな出来事を経験しているにも関わらず、INORANさんの中の信念はずっとブレてなくて、しかも柔軟で俺らみたいな後輩にも目線を合わせてくれる。出会ってから“自分が今まで思ってきたカッコいいって何だったんだろう?”って考えさせられたし、心の中の革命家って思ってるぐらいINORANさん起点で自分の中でいろんなことが変わってますね。
INORAN:YORKE.が言ってくれたことは、そっくりそのまま僕も思ってることで、Ta_2が言うように僕も変わったと思う。この日のために「HEAVEN」をあたためてきたから。ツアーファイナルっていう、ちょっと寂しいけど、いちばんハッピーな場所で一緒に音を奏でられて、一生、忘れられない4分間になった。共演してみて、また次も何か一緒にやりたいなって気持ちになりましたね。
YORKE.:今度はよりパーソナルな部分で一緒にクリエイティブなものを生み出したい。ずるいぐらい素敵な人だと思う。とんでもない爽やかさを持ち合わせた不良っていうか(笑)。
INORAN:はははは。
Ta_2:だって久しぶりに会って笑顔で“おはよう”って言われると“好き!”って言っちゃいたくなる(笑)。
INORAN:(笑)。とりあえず、ツアー成功おめでとう。また早くステージに立って、みんなをキラキラさせてください!
Ta_2&YORKE.:はい!
取材・文●山本弘子
◆OLDCODEX オフィシャルサイト
◆INORAN オフィシャルサイト
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