【ライブレポート】LITE、演奏と映像で魅せた、オーディエンス圧巻の結成10周年集大成ライブ

6月29日、恵比寿LIQUIDROOMにて、LITEのワンマンライブ＜APPROACHES 2 -one man show-＞が開催された。2012年2月に同会場で行われたワンマンライブでは、多数のゲストミュージシャンを迎えた特別編成でのステージが話題を呼んだが、東名阪で行われたワンマンツアーの最終日となったこの日は、4人のメンバーのみですべての楽曲を演奏し、10年間の活動を総括するかのような、素晴らしいライブを披露してくれた。

◆LITE ＜APPROACHES 2 -one man show-＞　画像

最新作『Installation』のジャケットを連想させる円形のスクリーンが設置されたステージにメンバーが登場すると、「Echolocation」でライブがスタート。テクニカルなツインギターの絡みを特徴とするLITEの楽曲の中にあっても、最高難度の複雑なフレーズを持つ一曲で一気にオーディエンスの目をくぎ付けにすると、続く「Alter Ego」ではトランシーなシンセが会場全体を包んでいく。曲中でBPMが徐々に上がって行くなど、プログレッシブな要素の強い楽曲を、4人の息の合った演奏で見事に再現していく様は、LITEのライブの醍醐味だと言えよう。

「昨年の海外ツアーの経験から、お客さんともっとつながりたいと思い、弦の震えと心の振動の共鳴を目指した」と、武田信幸（ギター）が『Installation』に込めた想いを語り、「俺は今震えてます。みなさんはどうですか？」と問いかけると、客席からは大きな拍手と歓声が送られる。この言葉の通り、前作『For all the innocence』ではシーケンスを多く用いたのに対し、『Installation』ではシンセも手弾きを多用することで、人力のグルーブを生み出していく。重低音のシンセベースが心地いいエレクトロニカ風の「Between Us」では、スクリーンにカラフルな幾何学模様が映し出され、幻想的な雰囲気が生まれていた。

ライブ後半戦は、「Echolocation」同様にギターの絡みが印象的な「Bond」から。武田がリアルタイムでフレーズをサンプリングし、ループさせ、その上にさらにフレーズを重ねる難易度の高い楽曲だが、4人の演奏が揃って乗ったときの爆発力は圧巻。ファンキーなリフが引っ張る「Fog Up」、独特な間合いを持ったギターのカッティングが面白い「Hunger」と、『Installaton』からの楽曲はやはりフィジカルな魅力にあふれたものばかりだ。

セカンドの『Phantasia』を発表後、スランプに陥って、一時はボーカルを入れることも考えたこと。その後にシンセを導入するも、制作もライブも手探り状態が続いた末、なんとか『For all the innocence』にたどり着いたこと。これまでの道のりを振り返り、音楽性が変わりながらも10年間バンドを続けてこれたことへの感謝をオーディエンスに伝えると、『Phanatasia』に収録されていた「Ef」、さらにはファースト『filmlets』収録の「Human Gift」と初期曲を連発。新旧ファンからの熱狂的なリアクションの中、ラストの「Subaru」ではそれまで円の中に映し出されていた映像がステージ全体に映し出され、4人の演奏と映像が混然一体となった圧巻のエンディングを迎えた。

アンコールでは、「さっき10年で終わりみたいなMCをしてしまいましたが、これからも続きますよ」という武田のMCに対し、客席から「フジロック！」と、2度目のRED MARQUEE出演が決定しているフジロックへのエールが送られるという、微笑ましい一幕も。「特別な曲です」と言って披露された、デビューミニアルバム『LITE』収録の「Past Three Days」に続き、「100 Million Rainbows」では再びシンセでスケールの大きな世界観を構築。鳴り止まない拍手に応えてのダブルアンコールは、「Phantasia」で締め括られた。かつての自分たちを苦しめた『Phantasia』の楽曲を今堂々と演奏できるのは、変化を恐れず、常に新しいサウンドを打ち出しながらも、「この4人で作る音」という軸は決してぶれることがなかった、その自信の表れだったと言えるだろう。

Text by 金子厚武
Photo by SARU


4th album　『Installation』
2013年6月5日発売
IWTM-1005　￥2,300(tax in)
1.Echolocation
2.Hunger
3.Alter ego
4.Between us
5.Starry night
6.Bond
7.Fog up
8.Starry morning
9.Subaru10.Nomad
※初回盤のみダウンロードによるボーナストラックを収録

＜S.V.C SAY HELLO FESTIVAL 2013＞
2013年7月13日(土) 　富山県 太閤山ランド・野外劇場
OPEN 10:00 START 11:00
[問]http://www.sayhellofes.com/

＜FUJI ROCK FESTIVAL 2013＞
2013年7月28日(日) 　新潟県 湯沢町苗場スキー場
OPEN 9:00 START 11:00
[問]http://www.fujirockfestival.com/

＜RISING SUN ROCK FESTIVAL 2013 in EZO＞
2013年8月17日(土) 　北海道 石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
OPEN 10:00 START 12:30
INFO: http://rsr.wess.co.jp/2013/

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