【ライヴレポート】LOVE PSYCHEDELICO、ファンに愛され楽しくて仕方がない雰囲気を味あわせてくれたファイナル公演

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6月14日、LOVE PSYCHEDELICO TOUR 2013“IN THIS BEAUTIFUL WORLD”のファイナル公演が渋谷公会堂で開催された。

◆LOVE PSYCHEDELICO~拡大画像~

3年振りのツアーという希少価値もさることながら、今回の見どころは何といってもレニー・カストロの参加だろう。世界で最も多忙なパーカッショニストが、大きな体と太い腕で叩き出すコンガのリズムはとてつもなくパワフルで、1曲目「Your Song」からバンドをぐいぐいリードしてゆく。その熱気をNAOKIの豪快なギター・プレイが加速し、本来キーボードの堀江博久も、セカンド・ギタリストとしてワイルドに弾きまくる。KUMIのヴォーカルも実に伸びやかで屈託なく、このバンドと一緒に歌うことが楽しくて仕方がないようだ。

「今日はみんなと思いきり素敵な時を過ごしたいと思います。一緒に歌ってね。一緒に踊ってね」

レニーのおかげでブラック・ミュージックの要素がぐっと強調され、「Shining On」「It’s You」など、アルバム『IN THIS BEAUTIFUL WORLD』収録曲が持つシンプルでキャッチーなロックンロールの醍醐味が、ライヴではさらに強調される。堀江がマンドリンを、権藤知彦がユーフォニアムやトランペットをプレイする「It’s Ok,I’m Alright」「Beautiful World」の、ノスタルジックな美しい演奏も素晴らしく、静かな曲調に熱いエモーションを持ち込むレニーのコンガが、ここでもばっちり効いている。

ライヴ中盤、NAOKIのソロ・コーナーであらためてレニーを紹介し、続いてアコギとコンガのセッションで歌われたのは、イーグルスの「Take It Easy」。客席から自然に合唱が起こったのも、古典的なロックに詳しいLOVE PSYCHEDELICOのファンならではの嬉しい光景だった。

「1曲ぐらい座ったらどうだい?(笑) 騒ぐ時に騒ごうぜ」

1曲目から立ちっぱなしのオーディエンスを気づかって、NAOKIが笑顔で語りかけると、素直に全員が着席する光景が微笑ましい。「裸の王様」ではレニーがステージ前方でカホーンを操り、KUMIとNAOKIがアコギを弾き、フォークソング/カントリー風の美しい曲をさらに引き立てる。一転して「all over love」はラテンのムードをたっぷりと含んだアッパーなロックンロールで、「Calling You」はミラーボールが輝く下でのダンスタイム。座ったばかりのオーディエンスも再び立ち上がって踊り始め、ライヴは後半へ向かってぐんぐん加速してゆく。

「Calling You」や「Aha!(All We Want)」は、四つ打ちのエレクトロニックなサウンドにもアレンジ可能な曲調だが、それを生バンドで演奏する、人間的なグルーヴが本当に素晴らしい。「Mind across the universe」「Everybody needs somebody」と、立て続けにアッパーな曲を連ねて、ラスト曲は13年前のデビュー曲「LADY MADONNA~憂鬱なるスパイダー~」。中間部にロイ・オービソン「Pretty Woman」のフレーズをはさみこみ、NAOKIが歌っている間にKUMIは笑顔を振りまきながら、ツイストやモンキーダンスで可愛く盛り上げる。バンドとオーディエンスとが素晴らしい音楽のもとで一体となった、ハッピーなエンディングだった。

そしてアンコール。鮮やかな赤のタンクトップに着替えたKUMIが、「Last Smile」をメランコリーいっぱいに、「Shadow Behind」をルーズでワイルドに、「This Way」を明るくダンサブルに歌う。「This Way」ではNAOKIと堀江のスリリングなギターバトルも、たっぷりと聴くことができた。

「今日は本当にありがとう。最後にみんな一緒に歌いましょう。Freedom!」


KUMIが「You got to be free!」と叫び、「Freedom」を繰り返すサビに大合唱が起こる。

広いホールで聴くと最高に気持ちいい、ビッグなサウンドと豊かな包容力を持った「Freedom」は、幸せな2時間半を締めくくるのに最もふさわしい曲だった。

全員の握手、ハグ、メンバー紹介、挨拶のあと、KUMIとNAOKIの二人が残って鳴り止まない拍手に応える場面は、LOVE PSYCHEDELICOがどれだけファンから愛されているかを証明する、美しいシーンだった。これが3年に一度というのは、もったいなさすぎる。できれば毎年ツアーをやってくれないかな?と思ったのは、このツアーに訪れたすべてのファンの思いだろう。そして、その時はまたレニーをぜひ!というのがみんなの共通の願いであることは、言うまでもない。

取材・文●宮本英夫

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