【インタビュー】餓鬼レンジャー、聴く者すべてをアゲてアゲて投げ飛ばす理屈抜きの破壊力が健在な約7年半ぶりの新作『WeaponG』
■聴いてて中毒性があるしいろんな発見がある
■基本的にはくだらなくてノリノリということで
──そろそろ新作の話をしましょうか(笑)。7年半ぶりの復活作にしてベスト・アルバムでもある『WeaponG』の、1曲目に入っている新曲「まずは空手チョップ」の曲紹介から。
ポチョムキン:「まずは空手チョップ」というタイトルは、横浜に風林火山というラップ・グループがいて、そこのF.U.T.O.さんのフレーズなんですよ。「空手STYLE」というタイトルで、NANJAMAN feat.風林火山の曲の一節です。そのフレーズがすごい好きで、今回こういう形になったんですけどね。デモ段階の時にクラブで一回かけたら、日本語ラップのDJをやってるボルゾイって奴がいるんですけど、彼がすぐ気づいて、「いいとこ持って来ますね」って。よくわかるなと思ったけど、みんな引っ掛かるフレーズだから、いいチョイスしたのかなと。ただ、肝心のF.U.T.O.さんに、直接許可を得てないという。
──それはまずいんじゃないですか(笑)。
ポチョムキン:これはほんと、まずいですね。空手チョップされるんじゃないかと思って(笑)。連絡してるんですけどつながらなくて、こっちはもう出ちゃうという。
GP:レコーディングの時に覚えてるのは、久々の新曲だったんで、ポチョムキンに「もうちょっとキレてくれ」と言って、あのテンションを出してもらったんですよ。イケイケ感を出したかったんですよね。最初の1曲で、落ち着いてほしくなかったので。それにしても、いきなり「なめんなボケ」という入りは、ズッコケましたけどね。「来た!」と思って、自分がうれしくなっちゃって。
──やたら怒ってる曲ですけど、これ、誰に怒ってるんですか。
ポチョムキン:これはね、世の中全体に怒りをぶつけてやろうと思って。と言いつつ、実はですね、オレが当時働いていた職場の上司・〇○です。
──あはははは。名指しだ!(笑)
GP:ありがたいよね、〇○くんも。こんなにヴァースをもらって。
ポチョムキン:ほんとだよ。オレのヴァースを丸々使って、奴をディスりましたからね。〇○は今、行方不明なんですよ。120万横領して、クビになって。しかもいろいろウソをついてて…(*このあと延々続くので中略)だからUSENとかでこの曲が流れた時に、〇○が「自分のことかな」と思ってくれればいいかなと。
──まさに再出発にふさわしい曲…なんだろうか(笑)。でも本当にイケイケで、こっちも「来た!」っていう感じだったですよ。
GP:そう言ってもらえるとうれしいです。
──そしてもう1曲の新曲「SHORT PANTS」は、対照的にめちゃめちゃ明るくてさわやかな曲です。
GP:もともとは、RIP SLYMEみたいな曲を作ろうよといって始めたんですよ。
ポチョムキン:そんなこと言ってたっけ?
GP:言ってた。「楽園ベイベー」みたいな曲を作ろうって。
ポチョムキン:あ~、そうそう、思い出した。「楽園ベイベー」とか、「DA.YO.NE」みたいな曲を作ろうって、完全本気で言ってたんですよ。
──素人ですよ、それ!(笑)
ポチョムキン:餓鬼レンジャーにはヒット曲と言われるものがないし、あれぐらいマスに受けるようなものを、我々も挑戦しないとダメなんじゃないか?と。で、結果こうなったんですよね。
GP:もともと「HOT PANTS」っていう曲だったんですけど、今どき若い女性が「ホットパンツ」なんて言わないよと言われ、じゃあ「SHORT PANTS」に変えましょうと。若い女性に聴いてもらいたいですね。この曲、今ライヴですごい人気あるんですよ。リリース前から。
ポチョムキン:ちなみに「SHORT PANTS」には、ある曲のフレーズが入ってくるんですけど。
──はいはい。「世界で一番熱い夏」と。
ポチョムキン:自分ももう36歳なので、ショートパンツでパッと思い浮かんだのが奥井香さんだったんですよ、なぜか。だからプリプリに対するオマージュでもありますね、この曲は。
GP:そうなの?(笑)
ポチョムキン:このときめきを止めないで、と。これ、言わないほうがいいのかもしれないですけどね。言っちゃいますけど(笑)。
──とにかくものすごいインパクトでしたね。「まずは空手チョップ」も「SHORT PANTS」も。
ポチョムキン:どっちかだけでも不完全な感じがするよね、餓鬼レンジャー的には。どっちも前からあった要素ではあるし、とりあえず両方聴いてほしいんですよ。とにかく久しぶりなんで、勢いある曲がもちろんいいし、「置きに来たな」みたいに思われるのはイヤだったんで。
──ではあらためて、ここから餓鬼レンジャーの世界へ入ろうとするチャレンジャーへ、お誘いの言葉をぜひ。
ポチョムキン:なかなか珍しい感じの音楽ではありますが、聴いてて元気になりますよ。自分がそうなんですけど、中毒性があるし、いろんな発見があるし。基本的にはくだらなくてノリノリ、ということでいいと思うんですけど。
──確かに、あんまりシリアスに意味を問う音楽性ではないとは思いますけども。
GP:そうですね。
ポチョムキン:だけど年に関係なく、自分もくだらなくてノリノリの音楽を好んで聴くんですよ、最近特に。何も考えずに馬鹿になれる曲とか、家でもよく聴くし、そういう使い勝手がいいアルバムでもあると思うんですけどね。かけながら掃除するも良し、料理するも良し、ドライヴするも良し、カラオケで歌うも良し。
──マジメな話、ほんと、頑張ってください。あの頃と違って、今はメジャーレーベルにラップ・グループが非常に少なくて淋しいので。
ポチョムキン:確かに。
GP:逆にそれも、ありがたい環境ではあるんですけど、置きに行ったらダメだなと思うんですよ。今回のジャケットもそうだし、PVもそうだし、当たってくだけるようなことをやっていくほうが注目もしてくれるし、「こいつら、まだこんなくだらないことをやってる」って、元気出してくれたらいいなと思うので。ジャケットで女装するのだって、最初はすごい勇気が要りましたからね。せつなかったですよ、胸に詰め物をしてる時は(笑)。でもやって良かったと思います。
──次のオリジナル・アルバムは、リリース日は未定ですが、『KIDS RETURN』というタイトルもすでに発表されてます。
GP:まだ言えないですけど、フィーチャリングもいろんな方を呼んでるし、いいものになると思いますよ。
ポチョムキン:これから餓鬼レンジャーの成長を見守ってほしいですね。たまごっちみたいに。
──また古いですね例えが(笑)。
ポチョムキン:オレから出てくるワードは全部昭和なんで(笑)。でもほんと、まだ成長途中ですよ。だいぶ育って来ましたけどね。
GP:僕ら、デビュー15周年で思春期真っ盛りですから。まだ中3ぐらいですよ。
取材・文●宮本英夫
『Weapon G』
5月22日(水)発売
VICL-64029 \2,800(tax in)
01. まずは空手チョップ (Brand New Recording)
02. SHORT PANTS (Brand New Recording)
03. GO 4 BROKE feat. NGHEAD
04. MONKEY 4 ~G.P REMIX~
05. MY STYLE IS THE BEST
06. バンドワゴン
07. YOU ARE SHOCK SURE SHOT
08. リップサービス・モンスター
09. 火の国SKILL~モッコスFUNKバージョン~
10. ばってんLINGO FEAT. KEN-1-RAW FROM VOLCANO POSSE
11. ラップ・グラップラー餓鬼
12. 風詩 feat. 海, DISRUGRAT
13. A Chorus 9 feat. DISRUGRAT, KEN-1-RAW, BOMBO44, AGENT ORANGE, 海, DARK EYEZ
14. GETTING’ HI 5 MIC FEAT. M.O.S.A.D.
15. ラップおじいちゃん feat. AMIDA, KREVA
16. クチコミ5000
17. サタDEFナイツ
18. LOVE LOVE LOVE FEAT. 446
19. JET55~Eagle, Shark, Panther~
20. 火ノ粉ヲ散ラス昇龍
21. 東雲
<インストアライブ>
6月28日(金)タワーレコード渋谷店 4F
19:00スタート
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