【ライブレポート】カナダ出身のゴキゲンなバンド、バーニング・ヘル!
◆バーニング・ヘル画像
2013年5月8日(水)、東ベルリン、ローザルクセンブルクプラッツの伝統的な大劇場、フォルクス・ビューネに隣接するグリューナー・サロン(Grüner Salon)にて、バーニング・ヘルの来独公演が行われた。カナダ出身のバンドであるが、最新アルバム『ピープル(PEOPLE)』はベルリンで録音されており、ベルリンで1990年代後半から活動している伝説的なバンド、ミーナやNMFarnerのベーシストであり、マーシャ・クレラ、イッツ・ア・ミュージカルなどMorr Musicのベルリンならではのポップ音楽のサウンド・エンジニアリングを行っている“音”職人、ノルマン・ニッチェ(Norman Nitzche)がエンジニアリングを行っていて、隅々まで気配りの行き届いた素晴らしい仕上がりとなっている。
バーニング・ヘルは5人編成。
・マティアス・コム(Mathias Kom: Vo, Ukulele)
・アリエル・シャラット(Ariel Sharratt: Clarinet, Vo)
・ニック・フェリオ(Nick Ferrio: B, Vo)
・ダレン・ブラウン(Darren Browne: G, Vo)
・ジェイク・ニコル(Jake Nicoll: D)
全バンド・メンバーが個性的で、観客をリラックスさせるような演奏と笑いを始終、提供する。ザ・バンドの音楽や、スワンプ・ロックに共通している特徴(脱力感のある、泥臭い、“いなたい”アフタービート)を持ったフォーク・ロック風の「Grown-Ups」から、ロンドン、あるいはカリフォルニアのポップ音楽のようにキャッチーなメロディーが光る「Holidaymakers」などのナンバーを演奏。だが、フォーク風の音楽だけではなく、タテノリのパンクから、ロシア風のツービートから、ソニック・ユースやヨ・ラ・テンゴ風のオルタナティブなナンバーもあって、バラエティー豊か。ケイジャン音楽、あるいはアメリカ大陸のミンストレルショーが持っている匂いを持ってもいる。だが、様々なジャンルの音楽を雑食しているような印象はなく、深いアイロニーとウィットに富んだ歌詞とともに、自分たちの音楽として消化した音楽となっているところに好感が持てる。
ザ・バーニング・ヘルは、カナダにおけるエンターテイメントの深い歴史を感じさせる、注目に値するバンドだ。とりわけ、現代のザ・バンド風音楽を聴きたい人には自信を持ってオススメできるバンドだ。
写真:Nozomi Matsumoto, Berlin
文:Masataka Koduka, Berlin
◆バーニング・ヘル・オフィシャルサイト