【インタビュー】Alice Nine「Alice Nineって幅広い音楽をやっているから、だからこの曲もAlice Nineというジャンルです」
Alice Nineの3ヵ月連続リリースシングルとなる第2弾「SHADOWPLAY」がリリースされた。前作「Daybreak」に続く今作では、めくるめくドラマチックで甘美な世界が堪能できる。メタリックなサウンドにエッセンスとして鍵盤を取り入れるという大胆なアレンジは、今のAlice Nineだからこそできること。新作を発表するたびにその実力を見せつけてくれる彼らに、今月もインタビューを行った。また、BARKSではメジャーデビュー9周年を迎えたAlice Nineを9つのキーワードで紐解く、3カ月連続企画を実施。第2回目の今月、「VISUAL」「LOVE」「UNKOWN」という3つのテーマを投げかけるとメンバーの意外な素顔が明らかになった。こちらもぜひご覧いただきたい。
■「メタルとかやらなさそうなAliceNineが“俺らメタルもできるんだぜ”と
■アピールしてる曲だと思われるのはもう卒業したい」(将)
――前作のとき、“次はどぎついトンコツラーメン屋。しかも家系”とおっしゃってた意味がよく分かりました。「Daybreak」がスタイリッシュな爽快チューンだとしたら、「SHADOWPLAY」はグッとくるドラマチックメタルといいますか。
沙我(B):まさに!
将(Vo):そのとおりです。
――「Daybreak」の次作としては大胆なチョイスだと思うんですが。そこにはバンドとしてどんな意図があったんでしょうか。
将:これは僕が原曲を書いたんですけど。ウチには弦楽器隊にメインコンポーザーがいるので、僕は変化球を持っていこうと思って作ったんですね。もともと自分のなかにメタルの要素はないんです。でも、アルバムでメタルの要素を打ち出す曲をやってみたら、演劇のように場面展開をめまぐるしくしていく曲をいつの間にか自分も好きになっていて。自分はメロディーを中心に曲を書いていくので、メロディにー合わせて舞台のセットがどんどん変わるようにサウンドが変わっていく感覚で曲を作ってみたら、こういうコッテコテの曲ができたんです(笑)。
――原曲から、こんな隅々までドラマチックな作りだったんですか?
将:そうですね。
――しかも、1番と2番ではまるで舞台セットが変わるような手のこんだ作りで。
将:自分がワクワクする展開ってことを念頭において作っていくと、曲の中に同じ場面は出てこないんです。前にリリースしたシングル「虹の雪」も転調だらけの作品になったので。そういう自分が作るハチャメチャな感じは他のメンバーが作るスマートな曲とは違うところなのかなと。
――ええ、まさに。さらにこの曲の特徴として耳に残るのが鍵盤楽器なんです。こんなにメタルしてる曲がいきなり歌とピアノだけになったりするのは大胆だなと。
将:そこも“このメロディー、この歌の背景にはピアノがほしい”という単純な理由で。ライブでは沙我くんがピアノを弾いてくれるんじゃないかな、と。
沙我:フフッ。
将:いま鼻で笑われましたが(笑)、イントロは弾いてくれると祈ってるんですけどね。
――沙我さんはこの曲、どんなふうにとらえました? これはメタル?
沙我:いや、どう聴いてもメタルでしょう。
将:でも、この曲はメタルを売りにはしたくないんですよ。
――えぇーー!! メタルがセールスポイントではないってことですか?
将:いやいや。この曲を“メタルだね”といわれるのはとても光栄なことなんですが、メタルとかやらなさそうなAliceNineが今回“俺らメタルもできるんだぜ”とアピールしてる曲だと思われるのはもう卒業したいなということです。曲自体メタルという概念に縛られて作ったわけではなく、その手前にまずメロディーがあって。それをさらにドラマチックに表現するために今の僕らがメタルというものを乗りこなしている。だからこそ、これをシングルとして出す意味があると思ったんですよね。
――なるほど。ではヒロトさんに質問です。UKをルーツに持つヒロトさんもメタルは聴かれてたんですか?
ヒロト(G):僕のルーツにはないですね(きっぱり)。このバンドを始めて曲をいろいろ作っていくなかで通った感じですからね。
沙我:(ジャーマンメタルの)「Helloween」聴いてたって言ってたのにっ!
ヒロト:聴いてたよ。けどルーツじゃないから。METALLICAとSLAYERも聴いたけど。
沙我:普通に王道通ってるじゃん!!
ヒロト:でもコピーしてないから。
沙我:でもスピリットは多少は入ってるんじゃない? ヒロトソウルに(笑)。
ヒロト:でも、まさか自分がやるバンドでメタルをやるとは思わなかったです。今では今回みたいな曲も何も抵抗なくやっちゃう自分がいますけど。特にこの曲は将くんも言ってたとおり、歌のメロディーの存在感が強いから、アレンジがどんなにメタルのギターであれ何も抵抗はなかったです。
■「次は…ラーメン屋を出るともう夜の10時頃なんです。
■そこで“ちょっと夜景行こっか”と」(沙我)
――虎さんはどうでしたか?
虎(G):そんなにメタルとは意識してないです。曲に因んだフレーズを弾いただけですね。僕は。Alice Nineって幅広い音楽をやっているから、僕のなかではそういうものを含めてAlice Nineという捉え方なんですね。だから、この曲もAlice Nineというジャンルです。
――なるほど。ドラムのNaoさんは今回2バスを楽しめたんじゃないですか? 聴いてて“キターー!”と高揚しましたもん。
Nao(Dr):ホントですか? 今日食べたお弁当も唐揚げとですね、海老フライが入ってて“メタルだな”と思いましたからね。
――…えーっと、凡人にはこのオチがまったく見えないんですけど(苦笑)。
Nao:(あっさり話題を切り替え)ドラマー的には“これでメタルドラマーとか言っちゃってんじゃねぇぞ、You!”ってメタルドラマーの外国人さんからは言われそうなので、僕からは何も言いませんが。少し前にPVを初公開したんですよ。そうしたところ、コメント欄に“シンプル”という感想がきまして。
――そ、そんな衝撃的なコメントが(苦笑)。
Nao:そう、衝撃なんスよ~。それだけメロが引っぱっていってるからなんでしょうけど。俺、けっこう頑張ったけど、シンプルに思わせてしまってゴメンと(一同笑)。
――ははは(笑)。PVといえばサウンド同様前作とは対照的な作品になってますけど。
将:僕らみたいなビジュアル系と呼ばれるバンドは、オーディエンスに対してドレスコードをちゃんと守るという美学を持っているというか。ちゃんと正装をして人前に出るとうおもてなし精神。それが僕らのよさであり、武器でもあると思うので。こういうバンドじゃないと表現できないことをやろうということで、陰をカラスに例えたり、喪失感を花に例えたりして、ダークなんだけどどこか寂しげで甘美な感じのPVを作りました。
――ダークなんだけどどこか寂しげで甘美な世界観、美学をさらにわかりやすく音にしたのがカップリングの「Scarlet」だと思うんです。率直にいうとこの重厚感、ゴシック感、UKエッセンスを入れながらの切ないダークチューンはまさにLUNA SEA以降の流れを正当に受け継いだバンドならではの曲という気がとてもしたんですけど。
虎:そのとおり!!
将:今、この曲の作曲者である沙我くんが“狙いどおり”という顔してました(微笑)。
沙我:この曲は以前イベントでLUNA SEAをセッションしてて思いついた曲ですから。遊びなのに自分たちも笑えるぐらい本気でしたからね。
ヒロト:すっごい緊張感なんだけど。
沙我:“やっぱいいよね”って言ってた矢先にできちゃった曲だから(笑)。なので、誰が聴いてもLUNA SEAって言うと思います。シングルのカップリングだからこそ入れられた曲ですね。
――3ヵ月連続リリース、1作目ではイタリアンレストランでジェノベーゼ食べて、2作目となる今作で家系ラーメン屋に連れていってくれたあと、次の3作目ではどんなところに連れて行ってくれるのでしょうか(笑)。
沙我:次は…ラーメン屋を出るともう夜の10時頃なんです。そこで“ちょっと夜景行こっか”と。
ヒロト:うん。次は夜景だよね。
Nao:あれ夜景だったんだ~。俺、勝手にホテルだと思ってたわ(一同爆笑)。
将:違う違う(笑)。ホテルの高層フロアのバーラウンジ。
虎:あー、そういうことか。
ヒロト:“都会の夜景をすべて君にあげるよ”という曲ですよ。完全にキメにいってますよね(笑)。
沙我:夜景見ながら「好きだ――!!」って言う(笑)。
将:これでフラれたらしょうがない。
◆インタビュー続きへ
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