【インタビュー】若手V系オムニバス盤『Exalted recipe feat.なまら・ぶい』参加バンドインタビューVol.5【ヴァロア】
札幌をベースに活動中。“義賊”をテーマにバンド活動をスタートさせたヴァロア。サウンド/ヴィジュアル両面に関してはもちろん、ヴァロアという存在自体が既成の枠から逸脱した個性と存在感を放っている。その独自性に惚れ込んだファンたちが、地元・札幌では急増中。ヴァロアは、3月27日(水)に発売となる渋谷REX制作によるオムニバス盤『Exalted recipe feat.なまら・ぶい』に「舌媚-zetsubi-」を手に参加。今回は、メールインタビューという形で回答。かなり積極的に想いをぶつけてくれたように、彼らの言葉へその視線を向け、少しでもヴァロアの放つ想いの息づかいを感じていただきたい。
――まずは、メンバーの結び付きや結成の経緯から教えてください。
楼欷:ヴァロアを始める以前にもバンド活動をしてたんですが、当時、他のバンドで活動していた楓くんの演奏を対バンしたときに見て“一緒にバンドやりたいなぁ”と思い、誘ったのが始まりです。最初はその2人から始まり、そこからジュキ、刹那、るる。の順番で少しずつメンバーが揃っていった形でした。
楓:以前やっていたバンドが解散して、1人でまたバンドを立ち上げようかと思っていたところに、楼欷が声をかけてくれたのがヴァロアの本当の始まりですね。そこからまずは、自分が歌って欲しいと思えるボーカルを探そう、と。そこで出会えたのが、ジュキでした。
――ヴァロアは“幻想奇術怪盗団”を掲げ、現代に生きる義賊・怪盗団をコンセプトに活動を行っています。そのテーマ性を掲げたのも気になります。ぜひ、その理由を教えてください。
刹那:“変幻自在、神出鬼没。俺らは何にでもなれるんだぞ”ということで決めました。
楓:僕らは、音楽性を縛りたくなかったんですね。個人的にも、とにかく幅広くさまざまな楽曲を作っていきたかったんです。ただ、何らかのコンセプトは定めたかった。そこで浮かんだのが、“何にでも化ける、何でもする集団になってしまおう”と想いを持った“怪盗団”というコンセプトでした。
ジュキ:変幻自在、神出鬼没、何にでもなれる、悪と正義、二律背反。こうありたいという姿でいるために、怪盗団というコンセプトが生み出されました。
――札幌を中心に活動中のヴァロア。バンドの特徴や、どういった音楽性を掲げて活動を始めたのか? その辺のことも聞かせてください。
楓:バンドの特徴としては、やはりコンセプト通り“つかみどころが無い”というか。変幻自在ってところをすごく大事にしています。あとは、ストーリーやコンセプトを非常に大事にしてまして、今は第二章として、アメリカンマフィアをテーマにしてやっています。第一章は、ヴァロアというバンド名の由来にもなっているフランスを舞台にしていました。そういった、ストーリーやコンセプトがはっきりしつつも、最終的に捕らえ所が無いというのが一つの特徴だと思います。
――とてもなまめかしい歌声と抑揚を持った音楽スタイルから、キャッチーな楽曲まで、“歌”をしっかり響かせつつも多彩な表情を見せてくれます。メンバー自身は“これがあるからヴァロアなんだ”という音楽性や、バンドとしての特徴/個性をどのように捉えているのでしょうか?
るる。:“これがあるから”じゃなくて“これがないから”と言うか。“これがなきゃいけない”というのがこのバンドには無くて。むしろ、七変化していくことがヴァロアなんだと思います。何にでもなれるからこそ、ヴァロアなんです。
刹那:“俺ら5人がいるからヴァロアなんだ”と思ってやってます。
ジュキ:怪盗団ですので、さまざまなターゲットを変幻自在に狙っていきます。ですので、さまざまな色を映す楽曲こそがヴァロアらしさだと思います。
――楽曲面でも、多彩な音色を加えながら表現。楽曲を形作るうえで必要な表情だからとは思いますが。ヴァロアとして楽曲を作るうえで大切にしていること、心がけている点があったら教えてください。
楓:どんな楽曲を作るときでも、中途半端にならないようにだけは気を付けてます。うちのルーツは、ポップ、ミクスチャー、テクノ、ジャズ、ハードコア等さまざまですが、しっかりと、そういう方向性を出せるように徹底しています。激しいものはとにかく激しく、オシャレなものはとにかくオシャレに。突き抜けた感じを無くさないように気を付けています。音楽的なことだと、5人だけの音では僕の中では表現しきれないので、シーケンスで様々な音を流すのも欠かせない要素になっています。
るる。:楓さんが作る原曲を出来るだけ壊さないようにって、僕は意識しています。
楼欷:自分が作るときに意識するのは、何よりサビのメロディラインですね。一度聴いただけで頭に残るようなもの、というのは心がけています。
刹那:人に感動を与えれるものを作りたい、と思ってます。
――今回、オムニバス盤『Exalted recipe feat.なまら・ぶい』へ参加していただいたわけですが、参加のオファーがあったときの気持ちや、決めた理由も聴かせてください。
楼欷:カラオケ配信されるって話が、一番大きかったかもしれないですね。純粋に嬉しかったです。
楓:北海道のシーンを盛り上げよう、という『なまら・ぶい』のコンセプトにすごく共感を覚えてまして、これをきっかけに何か大きな広がりを見せてくれたらなぁ、と他人事のように思っていたんですけど。そこでこのオムニバスのお話をいただけて“良い流れだな”と思いました。北海道ってやっぱり海を隔てているぶん、ちょっとした独立国家みたいになっちゃってると思うんですよね。全国的な知名度はけっして高くはない。そういうのを少しでも払拭出来るようなきっかけになれば良いなぁと思い、参加を決めました。
――オムニバス盤『Exalted recipe feat.なまら・ぶい』に、ヴァロアは「舌媚-zetsubi-」で参加。この楽曲を選んだ理由を教えてください。
刹那:カラオケで歌いたいからです(笑)。
楼欷:自分の中で“ヴァロアと言えばこの曲”というのが、1stシングルでもあるこの「舌媚-zetsubi-」だと思ったことが一つです。
楓:ヴァロアの入り口として一番良いかな? と判断しました。最も芯の部分に近いというか。まぁ、その芯もつねづね変わってはいるんですけど。あとは、すでに1stシングルとして「舌媚-zetsubi-」は音源化されている曲なんですが、そのシングルに収録された曲のミックスに納得いってないところがあったんですね。あのときは、ちょっとしたトラブルがあって、その状態で収録したんですが。今回のオムニバスのお話が来て“リベンジ出来るな”って気持ちもありました。つまり、今回オムニバスに収録される「舌媚-zetsubi-」はミックスし直してます。本当に細かいこだわりなんですけどね。
――「舌媚-zetsubi-」は、ヴァロアのライブの中ではどんな位置を占める楽曲なのでしょうか?
ジュキ:ステージを艶やかに彩る悩ましい曲です。
るる。:定番、というか。今一番お客さんが知ってくれてる曲だと感じてて、“ヴァロアと言えば『舌媚-zetsubi-』”となっているような気がします。
楼欷:フリや決まった動きがあるんですけど、そんなに難しくないので、ライブで初めてのお客さんでも楽しめる曲だと思ってます。
刹那:スタートを着飾るような、美しくもあり、ちょっとドロドロしてるようなところもあり、1曲の中で“何でも出来るんだぞ”感を出せる楽曲です。
――カラフルに弾けた音の上で艶かしい歌声が絡みつく、彩り派手やかな「舌媚-zetsubi-」。この楽曲が生まれた背景やエピソードがあったら教えてください。
るる。:“怪盗団らしい曲”というのをすごく意識した曲になっています。
楼欷:エピソードとしては、もともと1stシングル用の候補は数曲あったんですが、どれも“怪盗団らしさ”に欠けていたんですね。そこで“シャッフルの曲を作ろう”という話になって、それらしい曲を、僕と楓くんで書いたんですけど。選曲会のときに曲を持ち寄った中、楓くんがこの「舌媚-zetsubi-」を持って来たんですが…これ、シャッフルじゃないんですよ(笑)。シャッフル曲を作って来たのは自分だけだったので、“これはイケる”と思っていたんですが、結果的には「舌媚-zetsubi-」が採用になり、自分が作ったシャッフル曲はボツになるという…。
楓:まぁ、楼欷にはごめんって感じなんですけど(笑)。とにかく最初は“怪盗団”のイメージを先行させたかったんです。怪しくて、スピード感があって、オシャレで、彩り豊かで、魅力的で。そういうイメージに一番近いのが、作る前は“シャッフルのハネてる感じの曲かなぁ?!”と思って提案したんですけど、いざ作ってみたらこうなったって感じですね。
刹那:楓くんが作ってきた曲に感動したんです。リアルに感動したので、1stシングルにしようってすぐなりました。
――「舌媚-zetsubi-」の歌詞は、かなり艶かしい内容。このエロティックな歌詞が生まれたきっかけは何だったのでしょうか?
ジュキ:デモを聴いた時点で“艶のある息づかい、悶え悦ぶ女性の姿”を感じました。歌詞を書く際は頭の中に映像を作ってから書き出しています。彼女の表情を思い描きながらお聴き下さい。
――ぜひ「舌媚-zetsubi-」の魅力を、このインタビューを読んでいる方々に伝えてください。
るる。:妖艶な歌詞とメロディが魅力です。
刹那:曲の表情がわかるような、世界観というか物語があるような、そこらへんを感じ取って欲しいです。
ジュキ:ヴァロア第一幕、始まりを示す曲です。この歌をきっかけに僕らに興味を持っていただけると幸いです。あなたのハートを奪うステージに足を運んで下さい。
――ヴァロアは札幌を軸に活動中。地元では、どれくらいのペースでライブ活動を行っているのでしょうか? 自分たち発信で何かしら行ったりもしているのでしょうか?
るる。:ライブのペースは月1~2回くらいですね。
楓:あとは、数ヶ月に1度くらいのペースで主催ライブも行ってます。たとえば第一章のときは、舞台はフランスで、ヴァロアのターゲットが“女王の首飾り”だったので、ドレスコードに“首飾り(ネックレス)”を定めたライブを行いましたし。第二章のときはアメリカで、ターゲットが“マフィアの裏金”だったので、ドレスコードとして“マフィアファッション(黒づくめ)”。または“外国紙幣”というのをドレスコードにしてました。そういうお客様へドレスコードの指定をすることで、イベントとして一体感を出せるような取り組みは行っています。
――ライブに於けるヴァロアの魅力とは?
るる。:ステージパフォーマンスなどで、お客さんを出来るだけ楽しませられるようなライブを心がけています。
刹那:ヴィジュアルの良さ! あと…表情豊かな楽曲たちに痺れてください(笑)。
楓:もちろん、楽曲とステージパフォーマンスもそうなんですけど。登場時の演出とか、その辺も、世界観やコンセプトを伝えるうえで大事なので、出来ればライブは最初から見て欲しいですね。
――ホームページでは、映画のような映像も公開しています。バンドとしても、表現するうえでは様々な手法を用いたいところなのでしょうか?
るる。:ヴァロアのイメージを伝わりやすくするように、映像を使ってます。
刹那:そうですね。曲だけじゃ分からない僕たちのコンセプトの深い部分だったり、その裏に隠された物語を読み取って欲しいので。
楓:本当に言ってる通り、いろいろテーマとかストーリーがあるんですよ。とくに音源リリース時や衣装が変わるタイミングっていうのは、そういう大筋がしっかりありまして。楽曲や歌詞だけでは伝えきれないからこそ、PVではないですが、ああいう映像は今後も使っていきます。もちろん、一般的なPVも作りたいですけど。ヴァロアは、もっと総合的なエンターテイメントを目指しているんですね。舞台演出も大切ですが、小説やマンガ、アニメなどの手法を用いるのも良いと思ってますし、ヴァロアというものを、とにかくいろんな媒体を通して表現していきたいんです。サイトで公開してる映像っていうのは、単純に今必要なコンテンツだと感じてますし、“あって当たり前”とも思っています。Youtubeなどの普及もあり、動画コンテンツって今はすごくありふれたものだと思うんですよね。だから、表現する上で必要だと感じればどんな手法でも用いていきたいですね。
――今後のバンドとしての展望も聞かせてください。
るる。:“北海道と言えば、ヴァロア”みたいな感じになるように頑張っていきたいです。
刹那:えー、来年の春にメジャーデビューが決まってまーす(笑)。頑張りまーす!
――3月以降の予定もあったら、ぜひ教えてください。音源等の宣伝もあれば、ぜひお願いします。
ジュキ:3月15日のイベントを持ちまして一時活動を休止させていただくくことにしています。ヴァロアとしての活動は一時的に休止しますが、“幻想奇術怪盗団”としてイベントの主催などを行います。
刹那:一時活動休止にはなるんですけども、応援してくださっている方のためにも、なるべく早くこの第一線のシーンに戻ってきて活動したいと思いますし、音源等も急ピッチ作成中なので、買ってください(笑)。
――最後に、メッセージをお願いします。
楼欷:一時活動休止という発表もしましたが、休止期間中にいろんなスキルを上げたり、もっと楽しんでいただけるようなヴァロアになっていくので、これからもよろしくお願いします。
るる。:これを読んでくれて少しでも興味を持ってくれたら、是非ライブに来て、CDも買って、物販を買って…うん、たくさん買ってください(笑)。
刹那:ヴァロアと言えばやっぱり“刹那あってのヴァロア”なんで(笑)、ライブでは僕を中心に見るように。なんだろう、ボーカルとか上手ギターとかは、あんまり見ないように(笑)。基本的に、下手2人の絡みとかを見て欲しいと思います。
楓:まぁ僕は、自分の作りたいものを作りたいように作ってるだけなんですが、それを認めてくださる方々がすごく大切ですし、有り難いんです。それはメンバーも然り、なんですが。で、ヴァロアは本当に総合的なエンターテイメントを描き出すバンドにしていきたいので、その中で何かしら引っ掛かってくれたら、それで良いです。楽曲でも、ステージパフォーマンスでも、コンセプトでも、映像でも、アートワークでも、言ってしまえば特定のメンバーのビジュアルでも何でも良いです。すべてを理解しろ、とは言いませんので、僕らが複合的にやってることのどれか一つでも気に入ってもらえるように頑張ります。そして、応援してくれてる人の予想は絶対に裏切ります。
ジュキ:活動を開始して約1年ですが、こうやってより多くの方に触れていただけることを嬉しく思います。3月より活動を休止致しますが、突然あなたの前に現れるかも? また会える日を…。
――以上、ありがとうございました。
全員:ありがとうございました。
取材・文●長澤智典
V.A.
『Exalted recipe feat.なまら・ぶい』
2013年3月27日発売
REXUME-001 ¥2,300(tax in)
01.「xxx」is D£AD「shining days」
02.THEATER「THE SPIRAL IRRITATION」
03.Zelktage「Voice」
04.L「New World」
05.L&DS「ココロの地図」
06.METEOROID「DIVER」
07.Pastel Holic「明日の朝」
08.2nd awake「frost」
09.ヴァロア「舌媚-zetsubi-」
10.シックス「torment」
◆先行発売記念イベント
<V.A.『Exalted recipe feat.なまら・ぶい』発売記念Event!!>
2013年3月25日(月)SHIBUYA-REX
L&DS(Guest)/「xxx」is D£AD/Zelktage/THEATER/L/Pastel Holic/2nd awake
OPEN 16:00 / START 16:30
前売¥2,700+D / 当日¥3,000+D
※当日限定購入特典有り
(問)SHIBUYA-REX 03-5728-4911
受付時間:14:00-22:00
◆ヴァロア オフィシャルサイト
◆渋谷REX オフィシャルサイト
◆ULTRAVIBE オフィシャルサイト
◆BARKS ヴィジュアル系・V-ROCKチャンネル「VARKS」
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