生誕35周年で発覚、竹の子族は棲息していた

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1970年代の終わりに、代々木公園の歩行者天国に色とりどりのサテン地衣装に身を包み、ディスコ・ナンバーを大音響のラジカセで鳴らしながら輪になって踊る竹の子族と呼ばれる集団がいた。最盛期には見物客が数十万人訪れ、沖田浩之や清水宏次朗(当時は竹宏治名義)ら芸能人を輩出し、社会現象にまでなった竹の子族だ。

◆竹の子族画像

そんな竹の子族の名前の由来となった『ブティック竹の子』が原宿・竹下通りに開店したのが1978年3月18日。竹の子族が誕生して2013年は35周年になる。

竹の子族御用達となったハーレム・スーツと呼ばれる、あの独特の衣装は同店のオリジナル商品。竹の子のように、すくすく大きく育つようにと願って、オーナーの大竹竹則さんが名付けた『ブティック竹の子』第1号店が桜上水に開店したのは1976年12月6日だった。当初は婦人向けの既製服を中心に扱っていたが、やがて店頭ディスプレイ用にと試作したサテン地の衣装が売れ始める。観音菩薩の天衣にインスパイアされ、ディスコで踊りやすいようにと、広い幅の袖、ゆったりとしたえり、前を紐で締める2ピースのスーツを大竹さんが開発した。1977年の秋には新宿・三愛の一角に、このハーレム・スーツ専門店がオープン。初日には用意した150着が完売し、満を侍して若者の街・原宿竹下通りに進出したのが1978年3月18日。やがてお店の前でラジカセを鳴らして踊る集団が表れ始める。その数が増えるにしたがい公道での活動撤退を余儀なくされ、代々木公園の歩行者天国に移動。これが竹の子族と呼ばれるようになった。

『ブティック竹の子』は、最盛期には原宿に3店舗を構え、神戸、福岡、札幌、苫小牧出店に伴って東京以外の地域にも竹の子族を生んでいく。竹の子族は、当時不良のイメージが強かったディスコを日曜昼間の野外に開放し、ダンスをする楽しさを小中学生にまで広げ、ストリート・パフォーマンスの先がけとなった。しかしながらブームは長く続かず1980年代後半には竹の子族は絶滅したと思われていた。

ところが、現在でもあちこちに棲息していた。

まずは、1990年代初頭に札幌で生まれたYOSAKOIソーランだ。袖の大きなきらびやかな衣装を着て、大音響の音楽をかけ集団で踊る。名称こそ違えど、これは竹の子族そのもの。北海道は『ブティック竹の子』のオーナー大竹竹則さんの出身地でもあり、札幌、苫小牧に店舗があった事から、竹の子族の遺伝子がYOSAKOIソーランに受け継がれた事が考えられる。札幌で始まったこのムーブメントは全国に飛び火。今やすっかり市民権を得たイベントとなり、2001年からは竹の子族発祥の地、原宿でも毎年開催されている。

毎月第二土曜日には東京上野の『オマール海老のイタリアン・ロブス』で、竹の子族のイベント『ホコ天Night』が開催されている。主宰者の柴田浩さんは中学生の頃から竹の子に参加していた筋金入りのメンバー。最初は昔の仲間が集まる場を作りたいと始めたが、毎回100人近く動員し、2013年で10年目を迎える人気イベントとなった。当時の衣装や旗を持ち込んで踊るOB達に混じって、10~20代のあきらかに竹の子全盛期以降に生まれた若い世代までもが参加している。

また、中田ヤスタカは<TAKENOKO!!!>と名付けられたDJイベントを主宰している。未成年も入場できるという点は、竹の子族の精神を継いでいるといえよう。中田ヤスタカが音楽プロデュースする、きゃりーぱみゅぱみゅに至っては、自らのファッションを貫き時代の潮流に流されないという意味において、原宿が生んだ竹の子族のDNAを色濃く継承している存在だ。SWITCH2013年3月号では、小泉今日子とブティック竹の子・オーナーの大竹さんとの対談記事が載る。驚く事に、ブームの仕掛け役となった『ブティック竹の子』は、今も原宿・竹下通りに健在。現在は舞台やステージ用のオリジナル衣装を販売し、平日の昼間でも賑わいを見せる。

音楽の部分から竹の子族を捉えたCD『竹の子ディスコ NON STOP MIX』も2012年末にリリースされている。ジグソーの「スカイ・ハイ」で始まり、アラベスクやジンギスカン、ヴィレッジ・ピープル等の洋楽ディスコ曲から、ジュリーに西城秀樹、松田聖子…と、1980年代前後の竹の子世代・ヒット曲26曲がノンストップで収録され、アラ40~50世代に人気の作品だ。ホコテンで流れていたラジカセの音楽がよみがえる好作品だ。

とっくに絶滅したと思われていた竹の子族は秘かにあちこちに棲息、次世代を少しずつ巻き込みつつあった。誕生して35年。今なお、惹きつける魅力を放ち続ける竹の子パワー、恐るべし。

『ヤンキーロックス Presents 竹の子ディスコ NON STOP MIX』
2012年12月19日(水) 発売
VICL-63952 \2,500(税込)
<>内はオリジナル歌唱アーティスト/発表年
※本CDはTRT原宿ヤンキースRCのカバー演奏で、オリジナル・歌唱アーティストの楽曲は収録されてません。
1.スカイ・ハイ~ミル・マスカラスのテーマ~(オープニング)<ジグソー/1975>
2.ジンギスカン<ジンギスカン/1979>
3.恋のダディオー<ヴェロニカ/1981>
4.夢のシンガポール<2 PLUS 1/1980>
5.めざせモスクワ<ジンギスカン/1979>
6.ハロー・ミスター・モンキー <アラベスク/1978>
7.ポパイ・ザ・セーラーマン<スピニッヂ・パワー/1978>
8.ヤングマン(Y.M.C.A.)<西城秀樹/原曲:ヴィレッジ・ピープル/1978>
9.E気持<沖田浩之/1981>
10.ジェニーはご機嫌ななめ<ジューシィ・フルーツ/1980>
11.ハイスクール ララバイ<イモ欽トリオ/1981>
12.恋のバッドチューニング<沢田研二/1980>
13.ハチのムサシは死んだのさ<TEN/1982(原曲:平田隆夫とセルスターズ/1972)>
14.舞・舞・舞<竹宏治/1981>
15.哀愁でいと<田原俊彦/1980(原曲:NEW YORK CITY NIGHTS/レイフ・ギャレット)>
16.ピンクタイフーン<ピンクレディー/1979(原曲:In The Navy/ヴィレッジ・ピープル)>
17.怪僧ラスプーチン<ボニーM/1978>
18.チャンタでいこう<マイケル・ゼーガー・バンド/1978>
19.ダンシング・シスター<ノーランズ/1980>
20.S.O.S<ディー・D・ジャクソン/1980>
21.ゴー・イン・バック・トゥ・チャイナ<鹿取洋子/1980(原曲:DIESEL/1979)>
22.卑弥呼/HIMIKO<パッショナータ/1979>
23.ペパーミント・ジャック<アラベスク/1978>
24.ROBOT<榊原郁恵/1980>
25.青い珊瑚礁<松田聖子/1980>
26.スカイ・ハイ~ミル・マスカラスのテーマ~(エンディング)

◆『ヤンキーロックス Presents 竹の子ディスコ NON STOP MIX』オフィシャルサイト
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