【ライブレポート】ヴェンツェルの歌詞と音楽は、ベルリンに生きてきた私の人生そのもの
ベルリンの壁が崩壊する前の1980年代末からベルリンにて音楽活動を行なってきたベルリンのベテラン・ロッカー、ヴェンツェル(Wenzel)が2013年に新アルバム、『Widersteh, so lang du's kannst』(和訳すると「屈するな、おまえのできるかぎり」という意味)をリリース。そのリリース記念ライブが2月16日(土)、ベルリン・プレンツラウアー・ベルクの大きなコンサート・ホール、ケッセルハオス(Kesselhaus/Kulturbrauerei)にて行われ、会場は古くからの彼らのファンで埋め尽くされた!
◆ヴェンツェル画像
ヴェンツェルは、ベルリンのボブ・ディランと想像してもらえばいい。真のロッカー。自分で歌詞を書き、曲を作り、キーボード、アコーディオン、ギターを弾きながら心底から湧き出てくる声で歌う。オリジナル曲のほか、ボブ・ディランやウッディ・ガスリーの楽曲をドイツ語翻訳してレパートリーとしている。僕は友人のアネットからヴェンツェルを紹介されて興味をもった。アネットは約20年以上ヴェンツェルの大ファンで、「彼の歌詞、音楽そしてレコーディング作品は私たちの人生そのものなの」と語ってくれた。マーシャ・クレラなど東ベルリンで育った若きロッカーたちへの影響も多大なようだ。
いよいよライブ開催!ヴェンツェル&バンド(Wenzel&Band)は9人編成の大所帯編成。まず、小中学生くらいの幼い女の子がコーラスをとっているのに驚く。ヴェンツェルの奥さんと娘がコーラス隊。ボブ・マーリー&ウェイラーズかスライ&ファミリー・ストーン? ホーン隊は3人でチューバにダブルのトランペット編成。2人の弦楽器奏者、ハネス・シェフラー(Hannes Scheffler)とトミー・クラヴァロ(Thommy Krawallo)が卓越した技術を誇り、曲によって互いにギターとベースを持ち替えて、二色の異なった音色を聴かせてくれる。ドラマーのシュテファン・ドーアネッツ(Stefan Dohanetz)の熟練したビートも素晴らしい。ウェンツェル自身のキーボード演奏も非常に気持ちよく、宝石を転がすようなフェンダー・ローズのプレイは、ズート・マニーやマックス・ミドルトンのようである。
アメリカでブルース・スプリングスティーンやニール・ヤング、イギリスのステイタス・クォーとかファミリー(ロジャー・チャップマン)が持っている聴き手の生活に根ざした「泥臭い労働者ロック」がここにある!真実味に溢れるファンキーさがここにある!ヴェンツェルの曲間のMCはとても面白くて観客は爆笑しながら踊りまくっている。なんだか英米ロックの巨人の名前を沢山引用して、ヴェンツェルの音楽を語って非常に申し訳ない原稿となっているのだが、とにかくロックの王道にある面白味がいっぱいいっぱい詰まっていて、率直に無茶苦茶面白いライブだった!
さて、音楽ライターとしての私事で申し訳ないが、ドイツ在住の音楽ライターとして生きようと決めて、ベルリンに住み始めてもう少しで2ヶ月になるのであるが、今、正直“壁”を感じ始めていて少しブルーな気分だ。コミュニケーションの壁とベルリンの音楽の理解の壁。まだドイツ語が上手でないので、言いたいこと、感じたこと、思ったことをスムーズに喋れない。音楽ライターとして、その音楽が生まれてきた背景を描きたいのに、突っ込んだ話ができないし、突っ込んだ理解もできてない。
ヴェンツェルのライブを見たあと、ドイツ語でヴェンツェルの曲とボブ・ディランのドイツ語カバーを何回も歌って、心の底から歌えるようになって、もっと心の底からスムーズにドイツ語を話せて、ドイツのミュージシャンや人々と沢山の情報を交換できて、ドイツそして世界の文化を世界に伝えていける物書きでありたいと、自分の“ロックファン”としての原点を強く強く再確認させられ、なにか勇気を貰えたような感動的なライブであった。
文:Masataka Koduka
◆Wenzelオフィシャルサイト
◆ヴェンツェル画像
ヴェンツェルは、ベルリンのボブ・ディランと想像してもらえばいい。真のロッカー。自分で歌詞を書き、曲を作り、キーボード、アコーディオン、ギターを弾きながら心底から湧き出てくる声で歌う。オリジナル曲のほか、ボブ・ディランやウッディ・ガスリーの楽曲をドイツ語翻訳してレパートリーとしている。僕は友人のアネットからヴェンツェルを紹介されて興味をもった。アネットは約20年以上ヴェンツェルの大ファンで、「彼の歌詞、音楽そしてレコーディング作品は私たちの人生そのものなの」と語ってくれた。マーシャ・クレラなど東ベルリンで育った若きロッカーたちへの影響も多大なようだ。
いよいよライブ開催!ヴェンツェル&バンド(Wenzel&Band)は9人編成の大所帯編成。まず、小中学生くらいの幼い女の子がコーラスをとっているのに驚く。ヴェンツェルの奥さんと娘がコーラス隊。ボブ・マーリー&ウェイラーズかスライ&ファミリー・ストーン? ホーン隊は3人でチューバにダブルのトランペット編成。2人の弦楽器奏者、ハネス・シェフラー(Hannes Scheffler)とトミー・クラヴァロ(Thommy Krawallo)が卓越した技術を誇り、曲によって互いにギターとベースを持ち替えて、二色の異なった音色を聴かせてくれる。ドラマーのシュテファン・ドーアネッツ(Stefan Dohanetz)の熟練したビートも素晴らしい。ウェンツェル自身のキーボード演奏も非常に気持ちよく、宝石を転がすようなフェンダー・ローズのプレイは、ズート・マニーやマックス・ミドルトンのようである。
アメリカでブルース・スプリングスティーンやニール・ヤング、イギリスのステイタス・クォーとかファミリー(ロジャー・チャップマン)が持っている聴き手の生活に根ざした「泥臭い労働者ロック」がここにある!真実味に溢れるファンキーさがここにある!ヴェンツェルの曲間のMCはとても面白くて観客は爆笑しながら踊りまくっている。なんだか英米ロックの巨人の名前を沢山引用して、ヴェンツェルの音楽を語って非常に申し訳ない原稿となっているのだが、とにかくロックの王道にある面白味がいっぱいいっぱい詰まっていて、率直に無茶苦茶面白いライブだった!
さて、音楽ライターとしての私事で申し訳ないが、ドイツ在住の音楽ライターとして生きようと決めて、ベルリンに住み始めてもう少しで2ヶ月になるのであるが、今、正直“壁”を感じ始めていて少しブルーな気分だ。コミュニケーションの壁とベルリンの音楽の理解の壁。まだドイツ語が上手でないので、言いたいこと、感じたこと、思ったことをスムーズに喋れない。音楽ライターとして、その音楽が生まれてきた背景を描きたいのに、突っ込んだ話ができないし、突っ込んだ理解もできてない。
ヴェンツェルのライブを見たあと、ドイツ語でヴェンツェルの曲とボブ・ディランのドイツ語カバーを何回も歌って、心の底から歌えるようになって、もっと心の底からスムーズにドイツ語を話せて、ドイツのミュージシャンや人々と沢山の情報を交換できて、ドイツそして世界の文化を世界に伝えていける物書きでありたいと、自分の“ロックファン”としての原点を強く強く再確認させられ、なにか勇気を貰えたような感動的なライブであった。
文:Masataka Koduka
◆Wenzelオフィシャルサイト