【インタビュー】KEITA「無視したくない、日本人の品格」

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2月20日、w-inds.の橘慶太がKEITAとしてソロデビュー。セルフプロデュースで構築していったというデビューシングル「Slide'n'Step」は、日本発のダンスミュージックを世界に届けたいという彼の熱い思いがたっぷり込められた。27歳のひとりのアーティストとして、独自の音楽世界を確立するため、新たなる境地へと船出を果たすKEITAに、現在の心境を聞いた。

◆KEITA デビューシングル「Slide'n'Step」 画像

■ “こころ”が躍れば、それがダンスミュージック

── KEITAとして、いよいよデビューですね。

KEITA:はい。今回は世界を視野に日本で活動するっていう気持ちが強いんです。今やインターネットが当たり前になってきて、世界の音楽状況、ファッション、いろんなことが世界中で同時進行しているじゃないですか。その中で、日本の良さを守って行くことも大事だと思うけど、世界に挑戦する人たちもたくさん出て来たらいいなぁと思うんです。そんな中で、僕もひとりのアーティストとしてソロでチャレンジしたいということで、名前もアルファベット表記にして、ソロで活動しようと。日本の音楽が世界に羽ばたいて行くきっかけになればいいなと思うし、僕ももう27歳になったので、ひとりの音楽活動をしている男性として、自分の音楽スタイルを確立したいですね。

── その中でもダンスミュージックを追求していくわけですね。資料に書いてあった「聴いて踊らなくても大丈夫。“こころ”が躍れば、それがダンスミュージック」っていう言葉がすごく素敵だなぁと思ったんですね。これがKEITAくんのやりたいことをすべて表しているんだなぁと思いました。

KEITA:日本の方ってシャイな方がすごく多いと思うんですね。クラブに行っても踊らないですし、「踊れないから、私、クラブには行かない」って人も多々いたりして。でも、そういうことじゃないかなって。自分が気持ち良くなって、気持ちが上がれば、もうそれは合格! みたいな(笑)。日本では、まだダンスミュージックの存在って遠いんですよね。以前から音楽的に、ダンスR&Bっていうものをもっと近い存在に持って行きたいっていうのはずっと思っていたことなんですよ。

── K-POPは流行っているけど、日本のダンスミュージックは、どっちかっていうとクラブシーンとか、アンダーグラウンドな感じになってしまっているのが現状ですものね。

KEITA:そうなんです。K-POP=ダンスミュージックでもないわけだし、もっと日本のダンスミュージックも知ってほしいのに、なかなかメジャーなところには上がってこないんですよね。素晴らしいトラックメーカーはたくさんいるのに、唄ったり踊ったりするパフォーマーが少ない。そこをどうにかたくさん生みたいので、まず自分でやっちゃえって思って(笑)。


■ 日本人の礼儀正しさってすごく好きなんです

── シーンを作りたいってことですね。だからこそ、サウンドはしっかり作って行こうという意気込みが「Slide'n'Step」からは感じられますね。

KEITA:もともと、サウンドにこだわりはじめて、ソロ活動をスタートさせたといういきさつもあるんですよ。世界中の音を聴いて、どうやったらこうなるんだろうっていうのをいつも考えていたんですね。で、今回、曲を作るにあたっていろんな方に協力してもらって、自分が納得する、世界にひけをとらないサウンドにしようっていうことを一番意識していますね。

── タイトル曲「Slide'n'Step」は今井了介さんがサウンドプロデュースしていますけど、今話していたことをKEITAくんからも今井さんに伝えて制作をはじめたんですね。

KEITA:はい。僕の中で、自分とトラックメーカーの間に温度差があるとダメだと思ったんですね。トラックメーカーがカッコ良いトラックを作っても、歌い手は別のことをやりたかったってなると、そこで不協和音が生じてしまうから。カッコいいことをやりたい、世界に向けて恥じないサウンドを作りたいっていう気持ちは僕も今井さんも同じで。周りのスタッフも同じ気持ちなので、みんなが同じ方向を向いている力強さは感じていますね。

── 「Slide'n'Step」の制作はどんなイメージで作り進めたの?

KEITA:ソロの一発目だったので、自分のテーマとして頭にあったのは、ダンスとR&Bと、日本人特有の品格を大事にしようという3つでしたね。ダンスを見せることが出来て、R&Bのグルーヴもあって、品があるサウンド。世界に通用する、低音がしっかり出て来るような音、広がるサウンドっていうのをテーマにしていろんな楽曲を聴いた中で、この「Slide'n'Step」はヤバいなと。

── 日本人特有の品格っていうテーマはいいですね。

KEITA:僕は日本人の礼儀正しさってすごく好きなんです。それって日本人ならではの良さだと思うんですね。そういうところを無視したくないなって。海外のアーティストが好きって言っても、自分の育ってきた環境、ルーツを大事にして音楽を作りたいんですよ。自分は日本という豊かな国で暮らして来たのに、海外のアーティストを真似して、急に悪ぶって「オラオラ!」って言っても偽りを感じでしまうので。たとえば黒人アーティストならば、黒人社会で生活している中から、その人の音楽性が生まれたわけで、だから成立している音楽性なわけですよね。自分のライフスタイルや育ってきた環境から考えると、日本人なら品格なんじゃないかなって。

── 作詞もKEITAくんが関わっていますね。

KEITA:はい。ものすごい人数で仕上げているんですけど。ソロの活動ではいろんなことをセルフプロデュースでやらせてもらってるんですね。トラックのイメージやセレクト、ジャケット写真、ミュージックビデオ、詞の世界観も。自分がやりたいことっていうのが全面に湧き出て来るようにいろんな人がサポートしてくれているんです。そういう意味で、この歌詞も、自分の中でイメージをブワァ~っと書いて、あとは僕の間違った英語を正してくれたり(笑)。あとはメロディに乗せてくれたり、たくさんのお力を借りながら、自分のやりたいことを表現出来るように。

── KEITAくんは「歌詞の良い音楽」が好きというイメージがあるんですけど、ダンスミュージックをやるにせよ、リズムだけじゃなく、メッセージもちゃんと伝わるものを作りたいという思いも感じたんですが。

KEITA:はい。そこはすごく大事にしている部分ですね。この曲では、僕自身、ソロ活動をスタートさせるという、始まりのイメージを出したかったんですね。だから、ちょっと強い男っていうイメージで、相手の女性を新しい世界へ連れて行くっていうような内容。歌詞を書きながら、僕自身、ソロとして新しいスタイルを見つけた感覚と似ているなって思ったので、ラブソングにもとれるし、僕自身のことでもあるし、両方の意味合いにとれるように書こうってことで書いたんですよ。


■ 自分の声と唄い方についてもう一度考える時間機会ができた

── コーラスも全部自分でやっているんですよね。何人かで唄っているようなスケールがありますね。掛け合いのように聴こえたり。ダンスミュージックっていうと、歌というよりもノリが重視されたりしがちですけど、歌にもこだわりが満載で。

KEITA:レコーディングには時間がかかりましたよ。曲がすごく難しかったっていうのもあるけど、扁桃腺を切ってから初めてのレコーディングだったんです。そうしたら発声が変わっちゃってたんですね。自分で引くぐらい、喉のコントロールの仕方が変わってて。

── ポリープの手術した方は皆さん苦労するみたいですね。リハビリに時間がかかったりするって言いますけど。

KEITA:最悪でしたよ。すごく悩みました。まったく違うものって考えないとダメなんですよ。

── イチから自分の歌を作り上げるって感じですね。

KEITA:そうなんです。最近それに気付いて。元の唄い方に直そうとするとダメで。

── じゃあ、本当に新たな自分で唄ったんですね。

KEITA:そう。タイミングがすごく良かった。新しい自分に向き合う良いチャンスでした。そのおかげで、自分の声と唄い方についてもう一度考える時間機会ができたから。確実に以前よりも「喉」っていう楽器自体が良くなっていってるっていうのがわかるんですよ。それをまだ使いこなせていないっていうのもわかっているので、ずっとそこに向き合っています。

── 苦しいけどプラスになりますね。

KEITA:超苦しいですよ。出来たことが急に出来なくなったわけですから。精神的なダメージも凄かったし、そういう意味でメンタルも相当強くなりました。ちょっとやそっとじゃ今はへこたれない(笑)。
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