“現代のベートーヴェン”佐村河内 守の音楽にインスパイアされた映画『桜、ふたたびの加奈子』完成
“現代のベートーヴェン”とも評される作曲家、佐村河内 守(さむらごうち まもる)の音楽にインスパイアされた映画『桜、ふたたびの加奈子』が、いよいよ4月6日より公開される。
佐村河内 守は、被爆者を両親として1963年広島に生まれる。4歳から母親よりピアノの英才教育を受け、10歳でベートーヴェンやバッハを弾きこなし、作曲家を志望して中高生時代は楽式論、和声法、対位法、楽器法、管弦楽法などを独学。そして17歳のとき、原因不明の偏頭痛や聴覚障害を発症。高校卒業後は、現代音楽の作曲法を嫌って音楽大学には進まず、独学で作曲を学んだ。1988年にはロック歌手として誘いを受けたが、弟の不慮の事故死を理由に辞退したことも。その後、聴力の低下を隠しながらの困難な生活が続く中、映画『秋桜』、ゲーム『バイオハザード』等の音楽を手掛け、1999年に発表したゲームソフト『鬼武者』の音楽「交響組曲ライジング・サン」で脚光を浴びる。しかし、この作品に着手する直前に完全に聴力を失い全聾となっていた。抑鬱神経症、不安神経症、常にボイラー室に閉じ込められているかのような轟音が頭に鳴り止まないという頭鳴症、耳鳴り発作、重度の腱鞘炎などに苦しみながら、絶対音感を頼りに作曲を続けてきた。
2000年、それまでに書き上げた12番までの交響曲を全て破棄し、全聾以降あえて一から新たに交響曲の作曲を開始することに。同年から障害児のための施設でボランティアでピアノを教えるようになり、この施設の女児の一人は、交響曲第1番の作曲にあたり佐村河内に霊感を与え、この作品の被献呈者となったという。そして2003年秋、『交響曲第1番《HIROSHIMA》』を完成させた。
この『交響曲第1番《HIROSHIMA》』が、クラシックでは異例といえるセールスを記録し、佐村河内 守に注目が集まるなか、彼の音楽にインスパイアされて制作されたのが、広末涼子と稲垣吾郎主演の映画『桜、ふたたびの加奈子』。デビュー作『飯と乙女』でモスクワ国際映画祭最優秀アジア賞(NETPAC賞)を受賞し、世界の注目を浴びる栗村実監督がメガホンをとる話題作だ。
栗村監督は長年、佐村河内と信頼関係を築き上げてきた間柄で、今回の映画の脚本執筆中にも、しばしば佐村河内の音楽に聴き入ったという。その音楽が、『交響曲第1番《HIROSHIMA》』とならぶ佐村河内の代表的なアルバム『シャコンヌ~佐村河内守弦楽作品集』だったという。アルバムにも収められた「弦楽四重奏曲第1番」冒頭の、闇の中から現れる小さな光のような美しい旋律が、この映画で描かれている“光明と闇の対比”のイメージと合致したのだそうだ。
「映画にあわせて音楽が作られるという方法もあるが、音楽にインスパイアされて映画が出来上がっていくという面も重要」と栗村監督は語る。
弦楽作品集から音楽の力を得た粟村監督は、佐村河内に脚本の感想を聞き、時に映像についても議論しながら撮影準備を進めた。そして佐村河内は、映画音楽としての組曲『桜、ふたたびの加奈子』の譜面を仕上げた。まさに音楽とのコラボレーションによって作り上げられたのがこの映画なのだ。
米国『タイム』誌で“現代のベートーヴェン”と評されるなど、国内外のメディアからも注目を集める鬼才・佐村河内守。聴覚を失ってなお創作活動に邁進する彼の音楽は、この映画でもすさまじいエネルギーを放ちながら、ストーリーと融合している。
『桜、ふたたびの加奈子』は2013年4月6日、新宿ピカデリーほか全国で公開。
また、佐村河内の代表作である『交響曲第1番《HIROSHIMA》』の全曲演奏会が、2月25日(月)に東京芸術劇場(池袋)で行なわれる。80分を超えるこの大作が、東京で全曲演奏されるのは初めてのこと、ぜひとも堪能してほしい。
映画『桜、ふたたびの加奈子』
出演:広末涼子 稲垣吾郎
福田麻由子 高田翔(ジャニーズJr.)/ 江波杏子
監督・脚本:栗村実
原作:新津きよみ「ふたたびの加奈子」(ハルキ文庫刊)
音楽:佐村河内守
公式サイト:http://sakura-kanako.jp/
◆佐村河内守作品情報
『シャコンヌ ~佐村河内守 弦楽作品集』
2012年1月18日発売
COCQ-84928 ¥2,940(税込)
DENON(日本コロムビア)
『交響曲第1番《HIROSHIMA》』
2011年7月20日発売
COCQ-84901 ¥2,940(税込)
DENON(日本コロムビア)
◆演奏会情報
<佐村河内守 交響曲第1番「HIROSHIMA」 東京全曲初演演奏会>
2013年2月25日 東京芸術劇場大ホール
19:00開演
大友直人(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団
◆日本コロムビア
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