【ライブレポート】サカナ、The Flickers、奇妙礼太郎ら多彩なミュージシャンたちが集った約8時間<HighApps>特別編大盛況

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▲The Oral Cigarettes

▲KANA-BOON

▲キドリキドリ

▲SEBASTIAN X

▲奇妙礼太郎

▲LITE

▲アルカラ

▲avengers in sci-fi

▲Predawn

▲bonobos

▲FREE THROW

▲The Flickers

▲サカナクション

1月14日(月祝)、HIP LAND MUSICが主催するライブイベント<HighApps>の特別編、<HighApps Vol.10 SPECIAL!! ~2013 New Year Rock Party!~>が新木場STUDIO COASTで行われた。

◆<HighApps Vol.10 SPECIAL!! ~2013 New Year Rock Party!~>画像

大雪に見舞われた中での開催となったこの日。イベントには、「High STAGE」「Apps STAGE」の2ステージに、屋外のDJテント「FREE THROW TENT」が設けられ、ライブステージにはオープニングアクト2組を含めた計12組が登場。

「Apps STAGE」オープニングに登場したのは、先日行われた「MASH A&R」オーディションで第1回グランプリに輝いた奈良発の4人組The Oral Cigarettes。ソリッドなビートと鋭利なギターサウンドで大器の片鱗を見せる。続いて「High STAGE」に登場したKANA-BOONも関西を拠点に活躍する4人組。切れ味鋭いダンスロックと伸びやかで瑞々しい歌声、人懐っこい谷口鮪(Vo, G)のキャラクターでオーディエンスの心を掴んでいた。

「Apps STAGE」の一番手には、こちらも関西発の3人組キドリキドリが登場。マッシュ(Vo,Gt)は「雪、最悪やな! うちらも10分前に着いたもんな」と笑いながら、アグレッシブで迫力あるロックンロールを鳴らす。「いろんなロックがあるけど、いちばんロックなのはこういう曲やと思うな!」と自信満々で叩きつけた「NUKE?」まで、堂々としたステージを見せた。

「High STAGE」のトップバッターはSEBASTIAN X。永原真夏(Vo)が新年に相応しい真っ赤な振袖の着物を身にまとっての登場だ。着物の袖をヒラヒラとさせ舞い踊りながら歌う永原を中心に、半ズボン姿の飯田裕(B)と工藤歩里(Key)が笑顔で楽器を弾き鳴らし、沖山良太(Dr)が前のめりにドラムを叩く。4月29日に上野水上野外音楽堂での自主企画<TOKYO春告ジャンボリー>の開催を高らかに宣言しつつ、ラストの「世界の果てまで連れてって!」まで、奔放で躍動感あふれる彼らの音楽の躍動感をそのまま体現するようなパフォーマンスを見せた。

続いては奇妙礼太郎がアコギ弾き語りで登場。1曲目「天王寺ガール」から、フォーキーなアコギの調べと伸びやかな歌をじっくりと響かせる。ギターに貼ったメモを見ながら「何するか、ここに書いてんねんけど、こんなにやれへんから……」と、あたかも酒場の生演奏のような調子でゆるゆると語りながらのステージ。「もういくつ寝ると~」と飄々と歌った「お正月」や、熱唱でオーディエンスの心を震わせた「君が誰かの彼女になりくさっても」など、ユーモラスな人間味と歌声の迫力、その両方を見せたステージだった。

続くインストロックバンドLITEは、4人が時に目を合わせながら、まるでサムライが真剣勝負をしているかのような緊迫感あるアンサンブルを見せる。テクニカルな演奏で魅了した「Bond」、エキゾチックなグルーヴとエスニックな歌メロで不思議な祝祭感を生み出した「Pirates and Parakeets」などを次々と披露。圧倒的な音圧のシンセ・アルペジオが鳴り響くラストの「100 Million Rainbows」まで、息を呑むようなステージを見せた。

続いてはゲスト・アーティストの1組目として“ロック界の奇行師”アルカラが登場。サウンドチェックからたっぷりとプレイ、「今日は新木場コースト、僕らの力で雪国に変えましたんで!」と笑わせる稲村太佑(Vo,Gt)の、サービス精神たっぷりのステージだ。独特のハイトーンヴォイスと衝動と焦燥に満ちたバンドサウンドでフロアを狂騒に巻き込むかと思うと、「なすびの夢ってどうやって見たらいいんですかね?」という稲村のすっとぼけたMCとのコントラストも魅力の彼ら。最後は「ヒップランド25周年を祝しまして……」と25回のキメでお客さんを沸かせていた。

ここで、大雪のため到着が遅れたbonobosに代わってavengers in sci-fiが登場。暗転からステージ中央に狐面を被ったメンバー3人が登場、まるで祭囃しのように太鼓を打ち鳴らす。そこから3人が楽器を手にとり、そのまま1曲目の「The Planet Hope」へ。和とSFが融合したような不思議なテイストを見せる。「Sonic Fireworks」でバックに花火を描いたカラフルなレーザーなど、光の演出にも彩られた、キラーチューン連打のステージだった。

続いては、アコースティック・ギターを抱え、ウッドベースとドラムとのトリオ編成で登場した女性シンガーソングライター、Predawn。「Free Ride」のジャジーなアンサンブル、「Suddenly」の美しいメロディと軽やかな歌声でオーディエンスを魅了し、あたたかな空気でフロアを包む。「3月27日に……何か出ます。楽しみにしててください!」と、新作のリリースも告げた彼女。最後にじっくり歌い上げた「Sheep & Tear」まで、あたたかく胸に染み渡るような歌声を響かせた。

そして、ゲスト2組目に交通事情でギリギリの到着になったbonobosが登場。「高井戸で機材車を捨ててきたんで、今日は着の身着のままでやってきました」と蔡忠浩(Vo,Gt)もMCで言っていたが、そんなアクシデントを一切感じさせないファンタジックなステージ。蔡、森本夏子(B)、辻凡人(Dr)の3人にキーボード、サックス&フルート、トランペットというサポートを迎えた6人編成で、アルバム『ULTRA』からのナンバーを中心に、ホーン隊の音色を活かしたシンフォニックなサウンドを響かせる。生身のバンド力を見せるようなステージを見せてくれた。

一方、屋外のDJテント「FREE THROW TENT」も、かなりの寒さの中、熱い盛り上がりを見せる。弦先誠人、神啓文、タイラダイスケという3人のレジデントDJに加え、マッシュ(キドリキドリ)、永原真夏(SEBASTIAN X)、山本晃紀(LITE)が登場。この日初DJの永原真夏をはじめ、それぞれのスタイルで客を踊らせていた。

そして、「Apps STAGE」のトリに登場したのは新作『Fl!ck EP』をリリースしたばかりの3人組The Flickers。1曲目「black light」から、ガレージ・ロックとエレクトロを両輪とする狂騒のアンサンブルで、フロアを熱く揺らす。性急なビートとエモーショナルなメロディで、爽快な開放感を生むステージだ。「今日は新しい“仲間”を連れてきたんで」とステージ上にいくつも設置されたタブレットを指さし、サウンドと同期してカラフルな光が明滅する演出も見せた彼ら。安島(Vo,Gt)の渾身の歌声と轟音で、目映いくらいのポップ感と疾走感を生み出していた。

ヘッドライナーとして登場したのはサカナクション。大歓声に迎えられて登場した彼らが見せたのは、1曲目から最後までクライマックスがひたすら続くような圧巻のライブセット。今の彼らの風格を見せつけるようなステージだ。岩寺基晴(Gt)と草刈愛美(B)がステージ前方でオーディエンスを煽り、江島啓一(Dr)にあわせてフロアのほぼ全員が一糸乱れぬハンドクラップを見せた「アルクアラウンド」、5人一列横に並んでのクラフトワークスタイルでオーディエンスを踊らせた「僕と花(sakanaction Remix)」、「みんな、まだまだ踊れる?」と山口一郎(Vo,Gt)の一言から始まったラスト「夜の踊り子」まで、興奮の渦が続く。アンコールで披露したのは、この日が初お披露目となる新曲「ミュージック」。大盛り上がりの中、ライブは終演。

こうして、雪の中に多彩なミュージシャンたちが集った約8時間は、大団円のうちに幕を閉じた。

写真●The Oral Cigarettes/キドリキドリ/奇妙礼太郎/Predawn/アルカラ/The Flickers:Rui Hashimoto (SOUND SHOOTER) KANA-BOON/SEBASTIAN X/LITE/avengers in sci-fi/bonobos/サカナクション:古渓一道
FREE THROW:釘野孝宏

<Event Info>
HighApps Vol.11
2013.3.6 at 新代田FEVER
詳細後日発表

◆HighApps HP
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