【ライブレポート】シュナイダーTMの底知れぬ音楽愛

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2012年12月29日(土)、ベルリン・クロイツベルクの小さなライブハウスWest GermanyにてシュナイダーFM(Schneider FM)のライブを見る。シュナイダーFMは、シュナイダーTMと知られるDirk Dresselhausのフォーク音楽ユニット。シュナイダーTMは過去来日してYMOの前座を務めたこともあるらしく、2006年リリースの、チリ在住のドイツ人アトム・ハートのプロジェクト、セニョール・ココナッツのYMOカヴァー集、『Yellow Fever プレイズYMO』に、テイ・トウワ、マウス・オン・マーズとともにゲスト参加している。また、BARKSでも取り上げられているマーシャ・クレラ(Masha Qrella)のユニットBandaranaikと2012年10月共演しているベルリンのミュージシャン。日本のエレクトロニカ通のファンからも支持を受けている。

◆シュナイダーTM画像

さて、シュナイダーTMは、テクノ、エレクトロニカのファン心のツボを押さえたサウンドを提供する一方、シュナイダーFMは、Dirk Kretz(ベース、ギター)とClaas Großzeit(ドラムス)からなるトリオ編成で、フォーク・ロックファン心のツボを押さえた音楽を演奏!

シュナイダー氏のアコースティック楽曲には、ボブ・ディランの『欲望』あたりのごちゃまぜになった狂乱、フェアポート・コンヴェンションの『フル・ハウス』でリチャード・トンプソンのギターと、定型的なコード進行のリフレインを土台とした静かな熱気あふれる即興演奏が生み出すのと同様の、呪術的な高揚がある。とりわけ、ドラマーの技術が素晴らしく、フォーク・ユニットとは言えど、唸るヴォコーダー・ヴォイス、インプロビゼーションの山場での荒々しいギター・プレイは観客を興奮の坩堝に否が応にも叩きこむ。そして、ロニー・レーンのスリムチャンスと同様にフォーク音楽への深い愛がある。

シュナイダーFMのライブを初めて見た筆者は、シュナイダー氏の影響を受けた音楽的背景に非常に興味を感じ、その懐の深さに深い敬意を感じざるを得なかった。シュナイダーTM&シュナイダーFMの活動に注目しよう。


◆Schneider FM サウンドクラウド
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